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明治安田生命J1リーグ第33節 FC東京戦後 山口素弘GM囲み取材

2910月
10/29(土)、明治安田生命J1リーグ第33節が行われました。名古屋グランパスは豊田スタジアムでFC東京と対戦し、2-1で勝利。試合終了後、山口素弘GMが囲み取材に応じました。

山口素弘GM


ーもう1試合残っていますが、シーズンの総括をお願いします。

まだもう1試合あるので、細かい総括は次の試合が終わったあとにしたいと思います。


ー今日の試合ではいろいろなチャレンジが見られましたし、1年間積み上げてきたものもあると思います。そのあたりの評価はいかがですか?

積み上げてきたものは、今日の試合を観てもわかると思います。いろいろと言われている得点の部分も含めて、今日は酒井(宣福)を2列目で使ってみたり、年間をとおして「取れないからどうする」という試行錯誤はずっとしてきていると思います。それが実を結んだこともあったり、「もうちょっとだな」という時もあったり。そういったところは今日の試合も同じかなと思います。


ー狙っていた成績には届きませんでしたが、そのあたりについてはいかがですか?

それは私もそうですし、監督や選手たちもそうですし、ファミリーの方もそうですが、このクラブはもっともっと上を目指すということは思っていることです。それに届かない悔しさは誰もが、特に現場の監督、スタッフや選手たちは思っている以上に、思っていると思います。それはしっかりと受け止めたいと思います。


ーコロナ禍という部分でも苦しめられたシーズンだったと思います。そういった不確定要素も含めた今シーズンの歩みはいかがでしたか?

シーズンの最初からそういうことがありながら。ただそれはどのチームにも言えることです。そこは言い訳にしようとも思っていないし、言い訳にしてきていないし、その中でどうやり繰りするか。各大会でどうやって勝ち上がってとか、結果的にフィールドプレーヤーのほとんどが公式戦に出場したりとか。全体的な底上げはやってきたと思います。


ー土台作りのシーズンという捉え方はしていないと思いますが、結果的に土台作りをしたシーズンになったのかなと思います。

言いたいことはわかりますが、土台作りと捉えてやっていないですよ。それは全く思っていませんし、前監督の(マッシモ)フィッカデンティからどうやって積み上げるか、というところでした。(横浜F・)マリノス戦の前までは失点はリーグで2番目に少なかったし、監督が替わってもそのベースはありました。ただ、やり方は進化というかしっかりと前からいきながら、前からいくとそれだけリスクはありますが、リスクを負っても失点は少ないと。ランクル賞のミッチ(ランゲラック)おかげというのも多少あるけど、今までの意識と今年プラスした意識をうまくミックスさせながらできたのかなと思います。


ー来季につながる体制が出来上がって、来季も継続していく方針でしょうか?

継続というよりも、もっともっと上げようということです。それは今日終わったからということではなくて、シーズン中もずっと監督と話をしていて、強化部ともそういう話をしてきました。自分たちは積み上げてきたつもりで、もう少し継続してやればいけるだろうと思いつつも、どのクラブも努力している部分はあるので、自分たちが思っている以上にスケールアップしないといけないなと思います。


ー監督に任せて強化を図っていくと。

監督だけではないですね。それは私の立場としてもそうだし、クラブ全体としてなのかなと思います。クラブ全体としてやらないといけないし、当然ファミリーの皆さんの力もほしい。ファミリーの皆さんの力というのは大きいし、今日もこれだけ集まって、力を与えてくれている。欲を言えばもっと力をもらって、当然我々もスケールアップしないといけないと思います。


ー来季も長谷川監督が指揮を執るのでしょうか?

今日の社長の挨拶、監督の挨拶がああいう中身だったので、そうなるんじゃないかなと思います。ただ、まだもう1試合あるし、皆さんに今後どうなるのかは当然発表します。


ー長谷川監督の評価はいかがですか?

さっきも言ったようにいろいろな試行錯誤をしながら、どうやって勝点3を取るかという工夫をしているのは近くで見ています。まだ本人にも言っていないので、ここで評価を言うのは……。夏の補強であるとか、そういうのも大事ですし。来季に向けてどうやって補強するのか、もっとプラスアルファしないといけない部分はあるので、そこを考えていかないといけないなと。


ー数字の課題は明白だと思いますが、補強ポイントとして考えていることはありますか?

「誰が見ても」という感じはありますが、かといってすごいストライカーを連れてきたら全部がプラスになるかと言うとそうではないので、なかなか難しいと思います。そういうことになったら、攻撃力が上がるわけではないですし。ポイントがいくつかあるので、しっかりと見極めたいです。これはいつも言っていることですが、短期で結果を出さないといけないクラブでありつつもやはり中長期を考えないと。以前話したように、常勝チームを作るというのは一つの課題でもあるので。「1回だけ優勝してそのあとは……」というのは違うと思うし、すごく難しい作業です。それをやれと言われているので、粛々とやっています。


ーいかに今の戦術に合う選手を見つけてくるか、ということですね。

そうですね。戦術に合うというのもそうですし、いろいろな要素があります。外国籍選手だったら、日本に合うかというのもありますし。ただ、外国籍選手は高いので……。まあ外国籍選手に限らず、日本人でもいい選手がいるし、うちに合いそうな、いろいろな組み合わせがあるんじゃないかなと思いつつ、私も含めて強化部や現場の人と話して決めたいです。あとは予算。


ーコロナ禍以前は派手な補強をしていたと思いますが、現状を踏まえて現実的な補強になるという見方でよろしいですか?

難しいですね。なにをもって派手なのか、ですね。エンターテイメントという部分を考えたら、華というのももちろん必要です。ただ、今のサッカーの流れから言って、どういう選手がすばらしい選手かという評価は変わってきていると思います。私もグランパスに来て、どういう選手がいいとか、グランパスらしくやってくれているなというのは、共通認識になってくるのかなと。すごくいい選手、活躍できる選手を安く獲るのが私の仕事ですからね。


ー監督のサッカーに合わせた選手を獲っていく形のほうが強いのか、クラブに合う選手を獲ることがファーストチョイスなのか、どちらでしょうか。

クラブとして求めているものもありますし、そのすり合わせは今年もやっていて、うまく噛み合っているかなと思います。もちろん現場は「こういう選手がほしい」とかもありますし、クラブとしてはゆくゆくのことを考えてこういう選手を獲っておきたい、というのもあります。なので、両方ですね。そこはポジションとか、いろいろなバランスがありますし、ポジション別のバランスを考えた上での(補強)ということだと思います。当然ぶつかり合うこともありますよ。それで全然いいと思いますし、遠慮なんかする必要はないと思います。それは監督もよく理解してくれています。


ー中長期的なことで言えば、バンディエラとなる選手を育てるということも考えていますか?

それは皆さんもわかるとおり、藤井(陽也)がこうやって出てきてこれだけ活躍するというのは、皆さんがどう予想していたかわかりませんが、こちらとしては「これぐらいはやってくれるだろう」というのはありました。シーズン序盤は不安定さもあったけど、そこを我慢して使ってくれた監督というところもあると思います。ただ1人なので、そういう選手がもう3、4人出てきてほしいなと思います。逆に、彼が活躍してくれているのは、ほかの若い選手にとっては励みというか、「負けられない」という気持ちがあるでしょうし。アカデミーのスタッフもそうですし、選手たちにも刺激にはなっているのかなとは思います。


ー相馬勇紀選手は早稲田大学の時に特別指定にして、日本代表に選ばれるような選手になりました。そこもクラブとしてのここ数年の成果なのかなと思います。

そうですね。相馬も大学時代からやってきて、これで11月1日の朗報を待って、送り出すというか。頑張ってもらえればよりいいのかなと思います。