第43回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会で、
クラブ史上初の大会制覇を果たしたグランパスU-18。
チームの快進撃を支えたのは、2人の若きリーダーだった。
“主将”としてチームのマネジメントを行う牛澤健と、
グラウンドマネージャーとして“ゲームキャプテン”を担う田邉光平。
新たな歴史の糸を紡いだ2人の主導者が、大会を振り返った。
インタビュー・文=INSIDE GRAMPUS編集部
日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会での優勝おめでとうございます。少し時間が経ちましたが、現在の心境はいかがですか?
牛澤 優勝した時はそこまでピンと来ていなかったんですけど、日が経つにつれて実感できるようになりました。
田邉選手は試合終了の笛が鳴った瞬間に力強く喜んでいましたね。
田邉 素直にうれしかったです。僕も同様に、あの時はあまり実感がありませんでした。だけど、いろいろな人から「おめでとう」という言葉をもらえる機会が増えて、改めてうれしく感じています。
優勝した後すぐに実感が湧かなかったのはなぜですか?
牛澤 今まで優勝したことがなく、“優勝”がどういうものなのかをわかっていなかったからだと思います。あまりにもテンポ良く勝ち進んだので、「優勝ってこういう感じなんだあ」と思っていました。
田邉選手のトロフィーを掲げる姿に初々しさを感じました。
田邉 初めてでしたからね(笑)。とても気持ち良かったです。
日本クラブユースサッカー選手権大会はユース年代における3大大会の一つです。チームとしてどのような意気込みで大会に臨みましたか?
田邉 シーズン前から「頂点を取る」と掲げていて、特にクラブユースは絶対に取りたいとみんなが話していました。また、クラブユースはグランパスが取ったことのないタイトルです。ここでクラブの歴史を塗り替えることも目標として掲げていました。全員が強い意気込みでクラブユースに臨んだ結果、優勝という形で締めくくれたと思います。
牛澤 3年生にとっては最後のクラブユースです。僕たちの代はクラブにタイトルをもたらせていなかった。だからこそ、ケガをしている選手たちの分まで頑張ろうという意気込みで臨みました。
以前のインタビューでは、シーズン当初の課題として「流れが悪くなった時にズルズル行ってしまい、ピッチ上であまり修正できない」という課題点を挙げていました。クラブユースに臨むまでの半年間で手応えはつかめましたか?
田邉 今はピッチ内で厳しい声が飛ぶこともだいぶ増えて、お互いに言い合えるようになっています。ケンカをしているのかというくらいに言い合っているので、その点では良くなっていると思います。今回のクラブユースはこれまで以上に激しく言い合いながら闘うことができました。
牛澤 勝ちたいというみんなの気持ちが強く出ていた結果として、そのような言い合う形に現れたのだと思います。また、クラブユース東海大会の3位決定戦のジュビロ磐田戦が一つのターニングポイントになりました。チーム全体の意識が大きく変わり、その後のプレミアリーグからここまで負けなしという結果を出せています。あの試合を機に、少しずつ自分たちのサッカーができるようになって、勝てる試合が増えていきました。
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