今シーズン、新たなディフェンスリーダーとして日に日に存在感を強めている三國ケネディエブス。その目覚ましい成長の根底には「軸としての自覚」があった。キャリアの転機となってきたルヴァンカップも、今年は主力としてチームを牽引している。“うれしさ半分、悔しさ半分”のタイトルではなく、”重みが違う”タイトルの獲得に向けて、強い覚悟を持って進み続ける。
インタビュー・文=INSIDE GRAMPUS編集部
今シーズンのここまでの自身のプレーを振り返っていかがですか?
三國 開幕からずっと使ってもらって、守備面をはじめいろいろなところで成長できていると感じています。ただ、チームのためになるプレーがまだまだ少ないと思いますし、数字的にもまだ2得点しか挙げられていません。セットプレーのチャンスが多くあるなかで2得点というのはまだまだだと感じているので、攻撃の部分でももっとチームの力になれたらいいなと思っています。
得点以外で足りないと感じているチームのためになるプレーというのは?
三國 シンプルに僕のところから失点してしまったことが何回かありますし、攻撃の部分でももっとスムーズにパス出しをしたり、ロングボールも含めたパスをしっかりと味方につなぐことができていればいい攻撃につながったシーンが多くあります。そういうところの細かいミスが特に最近は目立ってきていると思いますし、そういったところでのチームへの貢献度は低いと感じています。
自分が感じている成長についてはいかがですか?
三國 チームのやり方、戦術にフィットしてきているということ、最後の局面で体を張ってゴールを割らせないこと、開幕時よりもリーダーシップを持ってやれているという部分かなと思います。メンタル面の変化が成長につながっているのかなと思います。
それはどんな要因があると感じていますか?
三國 開幕戦で鹿島(アントラーズ)に3−0で負けて、第2節からは自分としては失うものがないという想いで試合に臨んでいました。前を向いて、ミスをしたとしても下を向かないで、恐れないでプレーしようと心掛けてから、徐々にいいプレーが増えていったので、ミスをしても恐れないというメンタリティでいれたことが良かったんだと思います。
長谷川健太監督が指摘していた「ミスをしたあとに落ちてしまうことがある」という部分を改善できたと。
三國 そうですね。そこを改善できたからこそ今があると思っています。
メンタル面を変えることは簡単ではないと思います。そのために取り組んだことはあるのでしょうか?
三國 鹿島戦のあとから7月に掛けての4カ月ぐらい、メンタルトレーニングを入れていました。それも1つあると思います。
そこではどういったことをやっていたのでしょうか?
三國 グループレッスンと個人レッスンを通して、考え方の幅を広げるようなトレーニングを受けていました。
どういったきっかけでメンタルトレーニングを取り入れたのでしょうか?
三國 上島拓巳くん(横浜F・マリノス)から「どうだ、やってみないか?」と声を掛けてもらったことがきっかけです。オフ期間中に話をいただいていて、開幕したあとぐらいに「そろそろ始まるけどどう?」と連絡をいただいて、「やりたいです」という感じで始めました。タイミング的にもすごく良かったなと思います。
メンタル面の変化は先ほど挙げたリーダーシップにもつながっていますか?
三國 いや、リーダーシップについてはシンプルにずっと使ってもらっていることが大きいかなと思います。やらないといけない立場ということを自覚するようになってから出てきた部分だと思います。開幕戦なんかはけが人の代わりに試合に出たというところで、もちろん最初からリーダーシップを持ってやるべきなんですけど、使い続けてもらったことでだんだんと「チームの軸」ということを自覚しなければいけないと思ったんです。
グランパスでは藤井陽也選手(KVコルトレイク)もけが人やチーム状況の影響で出場機会をつかんで成長を遂げていきました。藤井選手は両脇の丸山祐市選手(川崎フロンターレ)や中谷進之介選手(ガンバ大阪)に支えられているような状況でしたが、三國選手の場合は3バックのメンバーが変わり、自身のポジションも変化するような状況でした。
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