7月17日(水)、2025シーズンのトップチーム昇格内定が発表された名古屋グランパスU-18所属の杉浦駿吾選手のオンライン記者会見が行われ、山口素弘GM、杉浦選手が出席しました。
■山口素弘GM
本日はお忙しいなか、お集まりいただきありがとうございます。名古屋グランパスU-18所属、杉浦駿吾選手の2025シーズンのトップチーム昇格内定が決まったことをお伝えします。杉浦選手はスクールからグランパスでプレーしており、紆余曲折ありながら成長し、トップチーム昇格内定をつかみ取りました。遡ると、杉浦選手が小学6年生のとき、私がグランパスに復帰したと思うのですが、当時から光るものを見せていて、「いい選手がいるな」という印象を抱いていました。アカデミーと成長していくなかで、特に光るのは得点力、ゴール前での質であり、それらが磨かれたと感じています。サッカーにおいてゴール前というのはシビアな局面ですが、そういったところで成長できたというのは持って生まれたものと本人の努力が光った結果ではないかと思っています。得点に至るまでのアクションの回数も非常に増えていますし、そのなかで結果に結びつくようなゴールも挙げています。また、トップチームのトレーニングマッチに参加した際も結果を残していました。それらがトップチーム昇格内定に至ったと思っています。当然、まだまだ成長しなければいけないところは多々ありますが、メンタルの強さを持ち合わせているので、成長の度合いも大きくなるのではないかと思っています。今後に期待したいと思っておりますので、温かく、そして厳しい目で見ていただけるとありがたいです。今シーズン、U-18はプレミアリーグでいい位置につけていますので、彼の力で優勝を勝ち獲ってほしいと思っています。
■杉浦駿吾選手
来季のトップチーム昇格が決定しました、杉浦駿吾です。トップチーム昇格が決まり、大変うれしく思います。グランパスのプロ選手として過ごす準備をするとともに、名古屋グランパスU-18所属選手として責任ある行動を取り、一人の人間として自覚と責任を持った生活を送っていきたいと思います。サッカーにおいては足りないものが多いですが、強みである得点力をより伸ばし、来季に向けて魅力的で力のある選手になりたいと思います。
■質疑応答
ー昇格おめでとうございます。トップチーム昇格を聞いたときの心境を教えてください。
杉浦 昇格を聞いたときは、ホッとしたという思いが一番でした。トップチームの練習にも参加させていただいていたのですが、「もっと自分と向き合っていかなければいけない」とも思いました。
ートップチーム昇格に関する手応えなど、昇格についてどのように考えていましたか?
杉浦 五分五分、もしくは4対6ぐらいの感覚でした。
ー沖縄キャンプで点を取ったり、最近の練習参加を通じて、手応えを感じる部分もあったのでしょうか?
杉浦 そうですね。手応えを感じる材料にはなっていましたけど、確信づくようなものではなかったと思います。
ー周りの人の反応、声はいかがでしたか?
杉浦 一番最初に伝えたのは両親で、そのときは喜んでいましたけど、「あ、おめでとう」ぐらいでそこまではという感じでした(笑)。
ー現実味がなかったのでしょうか?
杉浦 たぶんそうだと思います。
ースクールから在籍したグランパスで、U-18から昇格という形でプロになれることについてはどう感じていますか?
杉浦 アカデミーから昇格できたことに関しては、もちろん僕だけの力ではありません。この先もクラブへの恩返しができるのではないかと考えているので、クラブへの感謝を伝える場がまだあるというふうに捉えています。
ーこれまでを振り返ると、スクールに入り、U-12からU-15、U-18へと進み、ローマに行く機会もありましたし、年代別の日本代表の活動もありました。育成年代の活動を通して得てきたもの、忘れられない経験はありますか?
杉浦 小学生の時には全日の愛知県予選(JFA 第42回全日本U-12サッカー選手権大会愛知県大会兼AIFA 第46回少年サッカー大会2018)で優勝できずにそのまま小学生でのサッカーが終わったり、中学生では夏と冬に全国大会でベスト4までいけましたが優勝できず。ローマに関しては世界との壁を感じました。そういった経験のなかでまだまだ足りないと思っていたので、そういう経験をさせていただいたこともクラブに感謝しています。
ー飢え続けさせてくれたと。
杉浦 そうですね。
ーそのなかで、自分が一番貪欲に取り組んできたこと、軸として大切にしてきたものは何かありますか?
杉浦 まず一つは、常にゴールにこだわり続けることは小学生のときからずっとやってきました。そのなかでいろいろな壁にぶつかることも多かったですが、そのたびに変化を恐れないということを自分のなかで考えていました。
ープレースタイルやポジションの変化も厭わないということですか?
杉浦 そうです。高校1年生のときはサイドハーフであったり、FWであったり、いろいろなポジションをやらせていただいていたので、一つのポジションにこだわらないというところも「変化」というところにつながるのかなと思います。
ー昇格内定のリリースの中で、「自分の武器はゴールへ向かう迫力、アクションと得点を奪う力」と書かれていました。自分が攻撃を動かし、チャンスを作り、仕留めるという、杉浦選手から点が生まれるということだと感じました。この言葉を使った意味を教えてください。
杉浦 意味で言えば、この言葉通り、そこが自分の強みだと思っています。こういったところで公表することによってより注目してもらえると思いますし、自分にプレッシャーを掛けられると思います。そのまま自分の強みを伝えたというところと、自分にプレッシャーを掛けるという意味で発表させていただきました。
ー山口GMへ質問です。成長過程の話が少しありましたが、具体的に彼がどんな成長を遂げたことがこの昇格につながったのでしょうか?
山口 先ほども話した通り、小学6年生のなかでパッと見たときにすぐに「上手な子だな」と感じました。それは誰が見ても分かると思いますが、U-15に上がったときには、今だから言えますが「ちょっとこの子は厳しいかな」と思ったのが正直なところです。それは、うまさがゆえに、いろいろなことをできてしまうところがあったので、「じゃあこの杉浦選手は何が抜けているのか」というのが見られなかったからです。ただ、そこで彼なりにいろいろなことを考えた部分があったのと、世代別の日本代表に呼ばれたことも大きかったと思います。こちらもそれが狙いでローマに行かせたこともありましたが、「この部分は絶対に負けたくない」という部分で、U-18に入ってゴール前で自ら点を決める力、ゴールを生ませるプレーというそのアクションが多くなったのと、もともとシュートの力はあったので、それが目に見える形、数字に表れるようになったなと。そこが一番かなと思います。トップの練習に参加させたときも、トップの選手にも引けを取らないようなゴール前の質が見られました。沖縄キャンプでの試合で、残り15分弱の状況で入って3点決めるというのはなかなかできないことです。そういう”ここ一番の強さ”を持っていると思います。
ートップ昇格は早い段階で決まったのでしょうか?
山口 早い段階ですかね。U-18の試合を見たときに、トップの練習に参加したのも含めて、何度も言いますがアクションのところがかなり力強くなったなと感じました。また、杉浦選手はけがに苦しんだ時期もあったので、そこでしっかりと見つめ直して、体の軸が非常に強くなってきたと。それも非常に大きかったと思います。4月、5月くらいの段階で「上げても全く問題ないな」と思っていましたけど、あまり早めに本人に伝えて鼻が伸びても困るので、じっくり焦らして(笑)。そうしたら、先日の神村学園高校との試合でも2ゴールと。そのうちの1点はペナルティーエリアのライン上くらいから左足を振り抜いたまさしく彼らしいゴールでした。後半にはペナルティーエリアの中に切り込んで得たPKを自ら決めたと。足がつりながらのPKでしたけど、しっかりと決め切ったのは素晴らしいなと感じました。
ー今後、どのようにスケールアップしていってほしいですか?
山口 比較するのはちょっとあれかもしれないですが、U-18からFWで昇格したのは最近で言うと貴田(遼河)選手ですが、彼よりもできることの引き出しは多いと思っています。それをしっかりと自分の力にしながらも、あまり器用にできるようにはなってほしくないなと思っています。最後は自分がゴールを決めるというところはぶれずにやり続けてほしいと思っています。
ープロフィールの確認をさせてください。利き足は右足でしょうか?
杉浦 はい、右足です。
ー家族構成を教えてください。
杉浦 両親と、姉が2人います。姉は自分の5歳上と3歳上です。
ーサッカーを始めたきっかけを教えてください。
杉浦 正直、覚えていなくて、気づいたときにはやっていました。
ーお父さんはサッカーをやっていたのでしょうか?
杉浦 学生時代にやっていました。ただ、その影響かは分かりません。
ー名古屋市南区出身で、在籍校などを見るとパロマ瑞穂スタジアムの近くのようですが、試合を観に行っていましたか?
杉浦 そうですね。小さい頃に瑞穂の競技場に行っていた記憶があります。
ー当時、すごいなと思ったグランパスの選手はいますか?
杉浦 当時かは分からないですが、レアンドロ ドミンゲス選手やダニルソン選手といった外国籍選手が印象に残っています。
ー今シーズン、トップチームの練習に参加して感じている手応え、課題はいかがですか?
杉浦 手応えのところで言えば、ゴール前のシュートの質であったりは劣っていないのかなと思っています。課題、もっと成長しなければいけないなと思うのは、もっともっと頭の回転を早くしなければいけないなと。練習参加を通してそう感じています。
ー頭の回転についてもう少し詳しく教えてください。
杉浦 ボールがないときの動きであったり、次はどこにどうくるかという予測の部分です。
ー2026年に改修が終わる予定のパロマ瑞穂スタジアムへの想いはありますか?
杉浦 パロマの工事が始まって、「パロマがまた使えるようになった時に、自分がピッチで戦っていたらいいな」と思ったことを覚えています。
ー来シーズンから始まるプロ生活での目標は?
杉浦 まずはチームの主力選手になることが近くて大きい目標です。そのためには、きたチャンスをモノにできるかが大事になってくると思うので、まずは早い段階でグランパスでの初ゴールを決めることが今の一番近い目標です。
ー山口GMへ質問です。昇格が内定している段階で、今シーズンの彼のトップチームへの帯同の予定はありますか?
山口 可能性があればトップに関わることは当然だと思います。あとは本人の調子次第だと思います。ただ、トップチームに関わるようになると学校もありますので、東海学園さんのご理解を得ながらというのはあると思います。そこはしっかりとやっていきたいなと思いますし、先程聞いたら「学業のほうも全く問題ない」と力強い言葉が返ってきたので心配していません。
ーアカデミーの頃から年上の選手たちとプレーする機会が多く、そこで切磋琢磨して成長してきた部分があると思います。どんな選手から影響を受けてきたのかということと、自分はU-18の選手たちにどのようなことを伝えていきたいですか?
杉浦 今、トップチームにいる鈴木陽人選手からはサッカーを通していろいろなことを教えてもらっていますし、自分の一つ上の学年にいて、なかなか越えられない壁だと感じていました。彼からは本当にいろいろなことを学びました。陽人は本当にサッカーが大好きで、そういった姿勢はトップにいても感じられます。常にサッカーのことを考えて生活しているところは陽人の魅力だと思うので、そういったところはU-18の選手にも伝えていけたらと思っています。
ー鈴木選手との出会いは、自分にとって非常に大きかったと。
杉浦 そうですね。
ー常にサッカーのことを考えているところ以外にはどのようなことを学びましたか?
杉浦 陽人はコミュニケーションの量が多くて、いろいろな選手とすぐに仲良くなれるし、すぐに言い合える関係になれると感じています。そこは自分もまねしていけたらと思っています。
ー鈴木選手とはまたライバルになります。
杉浦 すごく楽しみです。
ーアカデミーの各カテゴリーでたくさんの指導者たちから学んできたと思います。特に印象に残っていることはありますか?
杉浦 小学6年生と中学1年生の頃に井口(大輔)コーチに指導をしてもらってから、サッカーを細かく考えるようになったと思います。
ー具体的にどのような指導を受けてきたのでしょうか?
杉浦 それまでは自分がやりたいようなサッカーを体現するようなプレーをしていましたが、井口コーチに指導をしてもらってからは、相手の体の向きの逆を取ることや、相手がどのように奪いにきていて、チームとしてそのプレッシャーをどのように掻いくぐるかということを考えられるようになりました。ジュニアのサッカーから大人のサッカーに近づく大事な時に、そういう指導をしてもらえたことが大きかったと思います。
ーこれまで年代別の代表に選出されてきましたが、プロになることでまた考え方、捉え方に変化があるかと思います。日本代表に対する今の自分の気持ちや思いはいかがですか?
杉浦 個人としてはU-17ワールドカップに参加できなかったので、今年と来年で活躍して、U-20ワールドカップを狙っていきたいと思っています。
ー代表に入るため、世界と戦うために身に付けなければいけないと感じることは?
杉浦 まずは、自分のストロングポイントである得点力をもっともっと特長的なものにしていくことが代表に入るために必要だと思っています。