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【インタビュー】前田直輝「前を向き、ただひらすらに」

18月

デビュー戦での負傷、長期にわたるリハビリ生活ーー。苦難の1年半に残した結果は、選手として到底満足できるものではなかった。それでも、常に自らへと矢印を向け、前を見続けたからこそ得られたものがある。感謝の気持ちと強い決意を胸に、歩みを止めない前田直輝の“第二章”が今、幕を開ける。


インタビュー・文=INSIDE GRAMPUS編集部




オランダでは1人のプロサッカー選手としてさまざまな経験をしたかと思います。FCユトレヒトでプレーした1年半は自身にとってどのような時間でしたか?

前田 一言で表すのは難しいですよね。苦しさもあり、楽しさもあり、いろいろなことを経験して価値観も変わった。サッカー選手として満足のいく結果を残すのは難しかったですけど、漢として、1人の人間として成長できたと思っています。


数字、結果は一つの指標である一方で、それが必ずしも成功、失敗を表すものではないかと思います。そのあたりも含めて、「オランダでプレーして良かった」という気持ちは大きいですか?

前田 もちろんです。オランダで活躍して、ステップアップすることを描いて行ったわけですけど、実際に海外へ行かなければ気付かないこと、知らないことが山ほどあると改めて感じました。それを身をもって経験できたことがなにより大きいです。


そんな中、FCユトレヒトで迎えた初めての公式戦で重傷を負ってしまいました。

前田 デビュー戦は、普段と違うモチベーションになっていたというか、間違いなく肩に力が入ってしまっていました。あのシーンだけを切り取れば、もっと早くジャンプしていたら回避できたかもしれないですけど、アヤックスが相手だったこともあり、「なにかを見せられれば未来が変わる」とも思っていて、明らかに力が入っていましたね。たしか、負傷したのが8分だったんですよ。選手というのは痛めた時に、どの程度の痛みなのかを探りながら倒れていたりするんですが、その時は「試合中も痛みが残るだろうな」ぐらいの感覚でした。もちろん、すごく痛かったですけど、アドレナリンが出ていたこともあり、それ以上に「まだプレーしたい」、「軽く折れているぐらいであればやりたい」という気持ちが強かったんですよね。そう思ったあと、立ち上がって左足を着こうとしたら全く力が入らない。「もうダメだ」って思いました。その直後に、一気に強い痛みを感じました。


手術を経て、離脱期間を聞いた時はどういった心境だったのでしょうか?

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