アカデミー出身の期待の大器がプロ4年目にしてようやく目覚めた。
今季、背番号「13」がリーグ戦でピッチに立ったのは2,636分。
フィールドプレーヤーとしては稲垣祥、中谷進之介に次ぐ数字を残した。
ただ、2022シーズンはほんの助走にすぎない。
1対1の守備、ビルドアップ、セットプレーでの得点ーー。
まもなく22歳を迎える藤井陽也にはまだまだ十分な伸びしろが残されている。
インタビュー・文=INSIDE GRAMPUS編集部
シーズン後のオフはどのように過ごしていますか?
藤井 今年は割りきってしっかりと休むようにしています。イベントで試合に出たりする機会もあったので、クラブハウスで少し体を動かす日もありましたが、基本的にはほとんどなにもせず、体を休めるようにしています。
改めて、2022シーズンが終わった今の率直な気持ちを教えてください。
藤井 本当にあっという間でした。今までシーズンを通して試合に出場するという経験がなかったのですが、今シーズンは最後まで出続けることができて、すごく充実したシーズンでした。プロサッカー選手としてはお客さんの前でプレーすることが一番だと思いますし、やはり試合に出られて、単純に楽しかったです。知り合いもたくさん観に来てくれて、ピッチにいる自分の姿を見せられたのはうれしかったです。
チームとしてはリーグ戦を8位で終えました。結果についてはどのように受け止めていますか?
藤井 2連勝でシーズンを締めくくれたことは良かったですが、前半戦は思うように勝点を積み上げることができなかった時期もありました。グランパスはタイトルを獲れる力があるチームだと思っているので、来シーズンはこの1年で積み上げたことをしっかりと継続して、もっと上を目指していきたいです。
チームの目指す方向に手応えを感じる部分もあったと思います。内容についてはどのように感じていますか?
藤井 しっかりと前からプレッシャーにいく時といかない時、自分たちの時間帯と相手の時間帯などによって試合の進め方を変えられた時はいい守備ができていたと思います。そういったゲームコントロールができている試合はすごくいい内容だったので、そのバランスを大事にして継続していきたいです。個人的にはビルドアップの部分でいろいろとチャレンジできたところも手応えを感じました。
具体的にはどんなチャンレンジをしたのでしょうか?
藤井 相手のスペースを見つけてロングボールを入れたり、GKを使って相手のプレスを剥がしたり、ドリブルで積極的に前にボールを運んでいったり、そういうチャレンジですね。
ここからは開幕から振り返っていただきます。今シーズンは新しい指揮官として長谷川健太監督を迎えました。どんな気持ちで今シーズンに臨みましたか?
藤井 始動初日のコンディションはみんなそれぞれですが、僕の場合は初日から100パーセントの気持ちで臨みました。じゃないと開幕スタメンは取れないと思っていたので。オフからがっつりと動いて、今まで以上に強度を上げた状態で始動日に臨みました。ですからキャップの最初の頃から、ゲームをやっていても動けていると実感しましたし、長谷川監督からもポジティブな声を掛けてもらっていたので、しっかりと準備してきて良かったと思いましたね。
長谷川監督からのポジティブな声掛けとは?
藤井 「今年は期待しているからな」といったようなニュアンスの言葉です。山口(素弘)GMからもそういった声を掛けてもらったので、「期待に応えたい」という気持ちが強かったです。監督は「若手の突き上げがチームには必要だ」と話していましたし、山口GMからはアカデミー出身選手がトップチームで活躍してほしいという思いが伝わってきました。ですから、そういった思いをしっかりと受け止めてキャンプに臨んでいました。
開幕スタメンを目指して迎えた今シーズンの初出場は開幕から2戦目の(第3節)サガン鳥栖戦でした。
藤井 チアゴ選手の負傷によって急きょ出場することになったんですが、これまで前半に交代出場したことがなくて、正直、準備も不十分だったので反省しています。1-1の引き分けでしたが、失点シーンでは僕のクリアが短くなって失点してしまって。そのほかはある程度落ち着いてプレーできていただけに、あのプレーが本当に悔やまれます。
鳥栖戦以降はコンスタントに出場機会を得ることができました。心境的にはいかがでした?
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