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米本拓司「勝利へ導くために帰ってきた」

1512月

グランパスへ復帰することが決まった米本拓司選手にインタビューを実施。移籍の経緯やクラブを離れて得られたもの、グランパスファミリーへの想いについて語ってもらった。


インタビュー・文=INSIDE GRAMPUS編集部


復帰が決まった現在の心境を聞かせてください。

米本 またファミリーの皆さんの前でサッカーをできることをうれしく思っています。また豊田スタジアムをホームとしてプレーできるのは本当に楽しみですし、ああいうホームスタジアムがあるというのは本当に心強いですね。それは試合に出ないと味わうことはできないので、日々努力していきたいと思います。


米本選手が復帰して「心強い」と思っているファミリーもたくさんいると思います。

米本 そう言ってもらえるのはありがたいですけど、自分はグランパスでなにかを成し遂げたわけではありません。帰って結果を残して、またそう言ってもらえるように頑張りたいと思います。


改めて、湘南ベルマーレへ期限付き移籍した経緯を教えてください。

米本 湘南が僕に興味を持っていて、山口(智)監督が話をしてみたいと言ってくださっているというお話をいただきました。それで山口監督と電話で話をした時に、自分の足りない部分を指摘してくださって、「湘南に来れば足りないところを補えると思うし、補いながらも経験をチームに伝えてほしい」と言っていただきました。この歳になるとそういうことを言ってくれる方はなかなかいませんし、自分がグランパスに加入した時も成長するために移籍することを選びました。この歳でも求められたり、成長できる場があると思った時にチャレンジしてみたいという気持ちになって移籍を決断しました。


山口監督から指摘された足りない部分というのは?

米本 ボールの受け方、引き出し方だったり、相手を剥がすプレーです。湘南では“ブレイクのポジション”と言うんですけど、パス1本で相手を剥がせるのであればそこに立とうということ。それを言われた時に、「自分が今まで目を瞑っていた部分だった」、「これで自分がもう1個上のサッカーをできるようになる」と感じました。僕自身としてもそこを意識しないと攻撃の部分で成長できないと思っていたので、そこが一番の決め手でした。


そういったことに挑戦したことも含めて湘南での経験はいかがでしたか?

米本 若い選手が多くて、ギラギラした選手もたくさんいたので、日々の練習から本当にやりがいがありました。ただ、「5位以内」というチームが掲げていた目標を達成できなかったのは自分の力不足でもあるので、悔しい気持ちと申し訳ない気持ちがあります。


そういった悔しい気持ちもありつつ、自身の成長を感じているのでは?

米本 ポジショニングについて山口監督からは「良くなっているけど、まだまだ足りない」と言われました。それでも狙っているポジションを取ってうまく相手を剥がせた時には「これが言っていたことなんだ」という快感というか、「ここで受けられたら相手も来れないし、これができれば自分のプレーも楽になって、次に受ける味方の選手も楽になる」と気付くことができました。「これぐらいでいい」と思っていたところを「それは違う」と言い続けてくださったので、すごく自分のためになったと思います。ただ、そういった状況を何回も何回も作るところまではいけずに終わってしまったので、そこは来シーズンも意識しながらやっていきたいと思っています。


そういうポジションを取るためにはリスクもあると思います。そういった部分の難しさはありました?

米本 結果的に終盤戦は試合に出られなかったので難しさはありました。それにアンカーというポジションはプロになって初めてでした。(FC)東京の時に4−3−3をやっていましたけど、その時はインサイドハーフだったので。その位置でつなぎの部分があまりうまくなかったから最後出られなくなったと思います。そこは難しい部分がありましたね。


その難しさと同時にやりがいも感じていたのでは?

米本 そうですね。やりがいがなければ移籍した意味がないですし、そういう悔しい思いとかがあって負けたくないという気持ちが生まれるじゃないですか。それがなくなった時は自分がプロを辞める時だと思います。この歳でそう思えたのが収穫だったし、だから来年またやってやろうという気持ちがあります。出られなくなったこともあり、いい意味で「湘南には絶対に負けたくない」という気持ちがすごくあります。


悔しい気持ち、やりがいを感じていた中で名古屋への復帰を決めました。

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