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【クラブ30周年記念 ファンクラブ会報誌連動企画】ざっくばらんトーク 岡山哲也スカウト(完全版)

269月

名古屋で生まれ育ち、クラブが創設された1992年にルーキーとして加入。以降、13年間プレーし続けた“ミスター・グランパス”は現在、アカデミースカウトとして未来のグランパス戦士発掘に奔走している。現役時代と同様に“現場”を駆け回る岡山哲也氏に近況をうかがいつつ、現在のチームへの想いを語ってもらった。


昨年からアカデミースカウトを担当されています。どういった業務を行っているのでしょうか?

岡山 私が見るのは中学生年代の特に中学3年生です。主に地元の愛知県や三重県、岐阜県のタウンクラブからトップチームにつながる選手を見つけ出し、まずはU-18に加入してもらう。そういった仕事に取り組んでいます。もちろん、スカウトするエリアは国内全域ですから、JFA主催の各地域のトレーニングキャンプや各地域のトレセン活動、公式戦、夏のクラブユース全国大会、タウンクラブ主催のフェスティバルなど、全国津々浦々を飛び回っていますね。


スカウトとして、主に選手のどのような点を注目するのですか?

岡山 私が最も注視するのは選手個々の瞬間的なプレーです。いろいろな局面で瞬間的になにができるのか。パス一つを取っても、パッと切り返して相手をかわしてから出したり、一つ遠くにいる選手に出したり、意図的にタイミングをずらしたり。そういった瞬時の判断力やその瞬間の技術力に注意を払いながら見ています。


中学年代は身体的な成長にも個人差があると思います。見極めが難しいのでは?

岡山 たしかに難しいですね。この年代の身体的な成長の度合いには大きなばらつきがありますから。体が大きく足が速い早熟な子もいれば、晩熟タイプの子もいます。ですから、フィジカル面よりも重要視するのはやはり局面での素早い判断力。そういった能力は体の大きさ、強さとはあまり関係ありませんからね。


岡山さんの中学(名古屋市立豊正中)時代と比較して現在のアカデミーの選手たちはいかがですか?

岡山 僕らの中学時代とは比べものにならないくらい今の子どもたちの技術的なレベルは高い。びっくりするくらいうまいですよ。その反面、一芸に秀でていたり、とんがっているという意味ではやや物足りなさも感じますね。ラインぎりぎりまでボールを追いかけてスライディングして泥臭くボールを拾うとか、がむしゃらな野性味あふれる、やんちゃなタイプは減ってきているかもしれません。僕はそういったプレースタイルにも注目します。強い意思を感じさせる選手がいれば、ちょっと引っ込み思案な選手もいる。じっくりプレーを見ていると性格的な面も伝わってくるものです。クラブの指導者の方に選手のキャラクターを聞いたり、直接本人と話をしてその受け答えから特徴を感じ取ったりもします。メンタリティーも評価基準の一つですからね。


スカウトを進める上で、保護者とのコミュケーションも大事ですよね?

岡山 もちろんです。最終的には選手の保護者の方々とお話をして、十分なご理解を得る必要がありますから。ただ、スカウトを進めていく中では、親御さんに過剰な期待を抱かせることがないよう、タイミングを計りながら慎重にコミュケーションを取るように心掛けています。


今年5月14日、豊田スタジアムで『クラブ30周年レジェンドマッチ』が開催されました。あの試合を振り返っていただけますか?

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