長谷川健太監督
ー9月で残り5試合というのは、例年に比べるとすごく早く感じます。監督としてはどう感じていますか?
はい、早いですね。あっという間の29試合だったと思います。
ーそういう意味でもチーム作りは難しかったと思います。現状のチーム状態についてはどのように感じていますか?
皆さんが良く書いてくださるので、そうなれるように、引き続き精進していかなければいけないと思っています。
ーいろいろなところで積み重ねが見えたシーズンでした。次のステップとして考えていることはありますか?
中央の崩しがまだうまくないというか、コンビネーションが定まっていないというか。やはり長くやっているチームに比べて、コンビネーションはまだまだだと思います。前回の試合(川崎フロンターレ戦)でもバイタルエリアに入った時の連係などは、シーズン当初とメンバーが変わっていることもありますが、崩しのイメージの共有がチームとしてまだできていないかなと。あと、クロスがいい形で上がった時の中の入り方。イメージはあるのですが、まだそのとおりに体が動いていないところがあると思うので、深く割った時の中の入りだったり、バイタルにボールがうまく入ったあとの崩しなど、そういうところがさらに出てくるといいなと。(アビスパ)福岡戦は相馬(勇紀)から(永井)謙佑のラインでうまく崩したシーンはありましたが、練度という意味ではもう一つだと思うので、そういうところはこれから上積みしていかなければと思います。
ーそれは単純に人数が足りていない、もっと多くの選手が中に入ってほしい、ということでしょうか?
ゴール前に人数はいるのですが、2トップの2人だけの関係になってしまうとなかなか崩せないと思うので、そこにインサイドハーフやウイングバックが絡んでくると、人数的にも連係的にも高まっていくのではないかなと思います。
ー相馬選手が日本代表のメンバーに選出されました。ワールドカップ本大会直前のこのタイミングで自チームから選ばれるというのは、監督としても喜ばしいことなのでは?
はい。最終的にはまだわかりませんが、この段階で(ワールドカップに出場する)代表の候補の選手がいるかいないかはチームの士気にもつながってくるというか、士気が上がる一つの要素になると思います。身近な選手が代表に選ばれることで、チーム内で「自分もあれ以上やれれば(代表に)選ばれる」という一つの基準が近くにいるのは、チームにとっても非常にいいことだと思います。ミッチ(ランゲラック)もオーストラリア代表に選ばれたということで、(チームとしては)ここまで非常に苦しいシーズンですが、そういう中で2人も候補に選ばれたというのは、チームにとって非常に喜ばしいトピックだと思っています。
ークラブでの活躍も認められての選出だと思います。相馬選手は最近、カットインやゴール方向へのクロスで多くのチャンスを作っていますが、監督からああいうプレーをしてほしいという指示があったのでしょうか?
はい。一時、皆さんから「5バックでの攻撃はどうなんですか?」という質問があり、「森下(龍矢)はやっているけど、相馬は最近少し足りていない」という話をしました。そういう中で、相馬に「もっと仕掛けろ」という話をして、そこから非常にいい形で仕掛けて、自分でも突破したり、前節はうまく周りを使いながらのプレーをプラスでやってくれていたので、相馬の中では少しずつ自分のプレーが見え始めてきたのではないかなと思います。
ー彼のような突破力を持ったプレーヤーが味方を使いだすと相手にとっては脅威になりますが、そのようなプレーばかりになってしまうと、という部分もあると思います。そのあたりのバランスについては、どのような指導をしていきたいですか?
「1対1なら仕掛けろ」という話をしています。(味方を)使ってもう一度自分が使われることをすれば相手のマークを外しやすくなってくると思います。(味方を)使うことによって、(相手が)そこに気を取られて自分がカットインすることもできると思います。そのあたりは相馬と話をしながら、彼の中で少しずつそういうイメージを作っていってくれていると思います。
ー次節対戦するサンフレッチェ広島とは今シーズン4度目の対戦になります。今の広島をどのように見ていますか?
3バックでずっとやってきているチームなので、システム的には非常に練度が高いと思っています。そこに新しい監督が来て、闘う戦術というか、そういうものを植え付けたと思います。非常に完成度の高いチームになっているのではないかと思っています。
ー広島の特徴としてはハイプレスを掛けてくることやナッシム ベン カリファ選手、ピエロス ソティリウ選手といった外国籍FWがいる部分があると思います。名古屋としてビルドアップでポイントになることは?
前回の川崎戦と同様に、しっかりと自分たちがビルドアップできるかどうかだと思っています。
ー監督は以前、「交代選手が結果を出してくれるとより活性化する」とおっしゃっていました。川崎F戦では交代選手が活力を与えた印象があります。監督としてはどう感じていますか?
まさしく、本当にそのとおりだと思っています。プラスアルファでゲームを決めるような仕事をしてくれるようになれば、チームとしてさらに大きな結果につながると思います。もちろん流れを変えるという仕事をしつつ、結果という部分にこだわりを出していけば、試合に出る回数が増えていくのではないかと思っています。
ー川崎F戦では甲田英將選手が5カ月ぶりに復帰しました。彼にはどんな言葉を掛けましたか?
もう「とにかく行ってこい」と。
ー今シーズン、広島にはルヴァンカップを含めて3敗しています。ここでどういう戦いを見せるかはファミリーも注目していると思います。
日程的には中2日という厳しい日程ですが、そのあとは(リーグが)中断になるので、持てる力をすべてぶつけて闘っていきたいと思っています。
ーここまでの戦いで培ってきたものがあると思います。残り5試合ではそこを継続していくのか、先に向けて新たな力を試す時間を作っていくのか、そのあたりの考え方はいかがですか?
現状のベストメンバーを残り5試合も選びながら闘っていきたいと思っています。