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明治安田生命J1リーグ第31節 広島戦 前日監督会見

210月
10月2日(土)、チームはトヨタスポーツセンターで非公開トレーニングを実施。練習終了後、3日(日)に行われる明治安田生命J1リーグ第31節のサンフレッチェ広島戦に向けて、マッシモ フィッカデンティ監督がオンラインでの記者会見を行いました。

マッシモ フィッカデンティ監督


ー改めてJ1リーグ通算100勝おめでとうございます。238試合で100勝を達成したわけですが、これまで勝ってきた経験や戦術が今のグランパスの強さにつながっていると思う部分はどこでしょうか?

ありがとうございます。去年の頭からこうやってチームを一緒に作ってきて、(ここまで)1年8カ月、名古屋がどうやって取り組まなければいけないのか、どうやって試合に勝たなければいけないかなど、いろいろな話をしてきていますけど、結局すべてはトレーニングの中でそれをどれだけ落とし込めるのか。同じ意識、同じメンタルを持って、行動を共にして、トレーニングを繰り返すことで、そういったものがチームにとって当たり前になってくると思います。ご質問いただいたように、100勝したことの経験、日本で積んだものをどのように選手に落とし込めたかは、やはり練習の質にこだわりながらやってきたからです。あとは選手には名古屋で吸収したいという意欲があり、協力的な姿勢も見せています。その部分に関しては私と選手がグラウンドの中で作業するだけではなく、クラブが監督である私の考え方、メソッドにしっかりと共感してくれて、みんなでやっていこうという雰囲気を作ってくれていると思います。結局はクラブに関わってくれている方、「こういう部分、こういう部分」と挙げていくと、全員が関わっていると思います。私に対しての信頼を与えてくれて、作業させてくれています。日本での経験をどんどん積んで、勝ち方をどんどん見つけてきて、それを名古屋で実際に表現できていると思います。


ータイトなスケジュールの中で結果を残しているのは、守備からチーム作りを進めていくことがチーム全体に浸透しているからだと思います。自身の指導スタイルはセリアAでの経験がもとになって、確立されてきたものなのでしょうか?

1980年代、1990年代は世界中のサッカーに関して優れた監督、選手などあらゆる人がイタリアに集まっていて、私はそこのカルチョを生きてきた人間です。どれだけ勝つためになにをするか。勝てばいいのではなく、本当になんでもできて、いろいろなことをケアしなければ勝てないんだと。そういった考えに対して、「勝てばいい」と表現する方が多いですけど、勝った裏には相手の優れた部分をしっかりと抑えて、相手を上回る優れた部分が絶対になければ勝てません。サッカーはそれだけ大変なものなんだと。パッと見た瞬間、「もっとこうすればいいのに」と誰でも口を出せるのもサッカーです。一つのことを変えるためには、日々の取り組みの中から本当に細かいことまですべてやると、実際に試合をした時、表に出た時に修正されていたりとすごく難しい部分もあります。そういった時代を生きてきた中、とにかく結果、絶対に勝つためになにをするかという考えを求めている部分では、やはり少し堅いサッカーになります。いいサッカーをしたからといって、そのあとにあまり人々の記憶に残らないんですね。やはりしっかりと勝てば勝点というものが残りますので。イタリアから来て、そういった指揮官の私が監督を務めているので、このチームの取り組みに影響している部分はあると思います。


監督を務めている上でという角度で話を加えさせていただきます。やはり同じサッカーを毎日イメージしながら一緒に練習していても、1人のメンバーが替わる、あるいはその選手に替わって抜けた選手がどのような特長を持っていたか。11人のうちの1人を入れ替えたところで、どういった特長がチームに加わったのか。そういった部分を最大に生かさなければいけません。選手が替わったことで、その選手に求めていけないことがあったりと、そういった柔軟性を持ち合わせた上で、そのチームを勝たせるためにどういった力を引き出すかという部分も必要です。11人全員が替わっても、チームとして変えてはいけないものをしっかりと落とし込めているのかという部分もあります。そういった意味で柔軟性をどれだけ持っているかは、監督としての力量を試されていると思います。一つのやり方ですごく勝つ監督もいると思いますけど、多くの場合がそのサッカーをとことんやるために、すごく高いお金を払ってそういったタイプの選手をそろえて、ケガをしてもまた同じような選手を獲ってきたりと、そういったことをやってくれるクラブが背後にいると思います。それは世界中のクラブができるサッカーのやり方ではないですよね。


例えば、ACミランはどう、イタリアのサッカーがどうなのか。イタリアのサッカーといっても、(アリゴ)サッキ監督がACミランを率いていた時のイタリアのサッカーを指すのか、それともほかのサッカーを指すのかによって、イメージがガラッと変わってくると思います。1980年代、1990年代、2000年代とあって、とにかく大きな影響を与えたあの時代があります。オランダの選手が何人かいて、ものすごく豪華なメンバーがそろって、それを生かす監督もいて。その生かし方についても、ほかの監督だったらあのサッカーになっていなかったかもしれません。あの監督があの時代にあのようなサッカーをやろうとしても、あのメンバーがいなかったらやれなかったかもしれません。サッカーはそういう部分もあると思っていて、だからこそ美しい部分もあると思います。スペインでFCバルセロナをイメージした時、5年前のバルセロナをイメージする人はいないでしょう。今はメッシもイニエスタもいないわけですからね。今、スペインのサッカーの中で強いのはアトレティコ・マドリード。どのようなサッカーをやっているかも全く違います。彼らをどのように倒すかということで、周りもサッカーをやっていると思います。根本的にサッカーに対する見方が変わっていると思います。サッカーの世界においては流行りやトレンドなど日々変わるものです。「スペインサッカー」、「イタリアサッカー」と大雑把なまとめ方をすると、人によってイメージしているものが違うんだということも理解しなければ、痛い目、恥ずかしい目に遭ったりすることもありますね。


ー広島戦で重要になってくるポイントを教えてください。

特に明日のこのタイミングで広島と対戦するというところで、相手は最近やっている3−4−2−1のフォーメーションでくると思います。その中でどういった選手を最初の11人として並べてくるのか、各選手がそれぞれのポジションの役割をどのように理解するのか、名古屋と対戦する中で3−4−2−1をどのように理解してやってくるかは、試合が始まった時に相手の狙いと共に、例えば、守り気味でくるのか、攻め気味でくるのか(を見なければいけません)。それがチームとしての狙い、個人として課せられた役割を、どのように表現できているかすべて見ながらやらなければいけないと思います。我々と比較した時、経験という部分では選手を見ていくと相手のほうが上回っているものもあります。今の順位は見ないようにして、広島はこれだけやれるんだと。ほかのチームに対してもそうですけど、その中でも広島は今の順位にいるようなチームではないですし、そういったサッカーをしていますので、警戒心を持って臨みたいです。久々に気候が暑い中でやるゲームになるかもしれないので、対戦相手以外の部分でもいい準備をしていきたいです。明日もいい結果を残さなければいけないのが、最初にやらなければいけないことだと思います。


ーキム ミンテ選手の状況を教えていただけますか?

負傷の種類としては裂傷で、少し裂けてしまった深い切り傷のようなものです。実際に縫う必要もあったレベルです。少し日にちが経ち、今日になった時点ではだいぶ治りかけというか、ほとんど治っている状態です。どこで使っていくかだけです。負傷した当日や翌日あたりには傷口からの感染症のケアなど慎重にやらなければいけないこともありましたが、あとはどのタイミングでもう一度試合に出場するかだけなので、安心してください。