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天皇杯 JFA 第101回全日本サッカー選手権大会 ラウンド16 ヴィッセル神戸戦 前日監督会見

178月
8月17日(火)、チームはトヨタスポーツセンターで非公開トレーニングを実施。練習終了後、18日(水)に行われる天皇杯JFA第101回全日本サッカー選手権大会ラウンド16のヴィッセル神戸戦に向けて、マッシモ フィッカデンティ監督がオンラインでの記者会見を行いました。

マッシモ フィッカデンティ監督


ー新加入選手のキム ミンテ選手、シュヴィルツォク選手が試合に出場しています。準備期間が短い中、チームのやり方として彼らにどのようなことを求めているのでしょうか?

ミンテがどういうきっかけで合流できたかというより、どのくらい難しいことをやりきってくれたかというところ。北海道コンサドーレ札幌では主に3バックで、ゴールに近くなれば5枚で守っていました。逆に言えば、3枚で広いスペースをカバーしなければいけない瞬間もあれば、ゴールに近くなると5枚で自分の担当するエリアというか、ゾーンがありました。マンツーマンで付いていかなければいけない部分、4バックの布陣よりも少ないところをしっかりと守りきればいいという部分もある中、グラウンドのポジション、(ラインの)高さによって守らなければいけないゾーンの広さはすごく変わり、全く違ったやり方をしていると言っていいほどのことをあれだけうまく対応してくれました。決勝点を奪ったということだけでもクローズアップされて、褒められていいほどですけど、それ以上にディフェンスで我々のやり方をすぐに理解して、やりきったのはすばらしかったのではないでしょうか。2人を比べていくと、ミンテは日本での経験があった上で、先ほど言ったような難しい対応をできたのかなと。クバ(シュヴィルツォク)に関しては別世界から来て、日本のことを全く知らず、日本人はどういうふうな考えを持っているのかも知りませんでした。いくらサッカーというスポーツが同じルールのもとで行われているとしてもすべてが新しい中、彼も彼の中で今までのサッカー経験を生かして、「しっかりとしたレベルでやってきたんだ」という経験に裏打ちされたプレーを見せてくれたのかなと。彼の良かったプレーは、試合でなんシーンかあったと思います。決してすべてのプレーで1人でやりきったというより、味方からのパスをうまく呼び込んだり、あるいは2人で連携して作り出したり。そういった部分は徐々に見極めながら、彼も試合の中で適応してくれているのかなと。総合的に見て、日本のサッカーで、どうやってこのチームの中で役割を持ってやっていくかに関しては、まだまだ全部整理しなければいけない状態です。逆に言うと、もっと良くなっていくのかなという期待感のほうが大きいです。


ーシュヴィルツォク選手について、ほかの選手たちには彼をどのように活かすように伝えているのでしょうか?

グラウンドの中央あたりで彼がボールを受けて、組み立てのきっかけになるプレーをしたシーンがありました。クロスに対してゴール前やゴールに近い位置で顔を出したこともありました。試合終了間際、残念ながらゴールにはなりませんでしたが、吉田(豊)からの縦のボールに対して、直前に相手が押し上げるラインと同じような動きをしながら、蹴る瞬間にもう一度裏を取るシーンもありました。あのプレーのように1人で相手と駆け引きすることもできます。クロスや足元へのボールを待つとか、「こういうシーンを作れば彼が活きる」というより、言い方を極端にすれば万能型のプレーヤーです。以前も彼のことをそのように評価したと思います。そういった部分をフルにうまく使っていきたいです。逆にチームの状況はケガをした選手が戻ってくる時を含め、「チームで闘う必要がある」と理解してプレーできる選手だと思うので、そういった形で最大限に活かしていけたらと思います。


ー以前「一度勝ってスッキリするのではなく、勝つべくして勝つプレーが大事」だと言っていました。前節の湘南ベルマーレ戦はまさに内容も伴った試合だったと思いますが、手応えはいかがでしょうか?

少し前の話になってしまいますが、チームとして日本に帰国して隔離生活を2週間過ごさなければいけませんでした。選手のメンタルの状態が、この戦い方をしていると自分たちの力で勝ち試合にもっていくことが難しい、チームの勢いがないという雰囲気を感じながら、でも試合をこなさなければいけない。隔離期間が明けて、やっと休養が取れてそういった部分で充電しきれるかというと、そこまでの日数があったわけではありません。ここから先も連戦が組まれていて、どこかで2週間、3週間も休めるかというと、そうではありません。やりながら、闘いながら、その中でも一つひとつの試合を勝つためにプレーしながら、調子を上げていかなければいけない。すごく難しい状況であったと思いますけど、プレーの内容が勝敗よりも大事かもしれないと位置づけたことに関しては、そういうプレーができる状態にもっていけばこのチームは多くの割合で試合を勝利で終えることができるだろう、という感覚が自分たち自身にあります。まずは自分たちが自信を持って毎回の試合に入れるように、といった状況を取り戻して、また勢いをつけていこうと。その先のことを帰国してからの会見で話していませんでしたが、前に良かったのに少し落ちてしまったから前の状況に戻そうではなく、我々はまだ成長したい、もっともっと上にいきたいという欲があります。まずは少し落ちてしまった部分を取り戻して、さらにまた本来見ていた、もっともっと上にいこうというチームの勢いを取り戻したいなと。その感覚は勝ったからではなく、プレーを見ても戻ってきたかなと感じています。


ーリーグ戦の連戦の中で天皇杯4回戦が行われます。別の大会だと割り切るのか、それとも連戦の中の1試合の捉えるのでしょうか?

どういったカードかというより、天皇杯を含めどの大会も残っていて、チームにはなるべく上にいきたいという野望があります。疲れている中でも試合をこなす中、リーグ戦が続く中で違った大会があるのは悪いことではないと思います。繰り返しになりますけど、どのような日程でも多くの大会に残れているのは一つのモチベーションになると同時に、これだけ厳しい日程ですので疲労が溜まる原因になります。日程に関してはずっと言っているように、我々がこれだけの試合数をどうやってやりますかと。ここは中5日、ここは中4日で、というように決められるものではありません。どこかで1週間空いてでも、中2日、中2日でやらなければいけないことを受け入れなければいけません。終わってから「体が動いていなかったのはなんでか」と言われたら、それ(日程)が理由だとはっきりと言います。ですが、やる前はその中でどのように勝つかということしか考えていません。今回の天皇杯もまたすばらしい相手と対戦でき、勝ったらベスト8まで進出できると。そういったことはモチベーションにしかならないので、勝利を目指して闘っていきたいと思います。


ー対戦するヴィッセル神戸は今夏に大型補強を行うなど、前回対戦とは違ったチームになっていると思います。どのような印象を持っていますか?

神戸が対戦した直近の柏レイソル戦の映像を見ました。試合結果がどうだったはもちろん大事ですけど、1分、1秒でどのようなプレーをしていたのか、どんなプレーをチームとして表現できているのかを分析しています。ものすごくいいプレーをしているなと。柏はこうくるだろうと予測して、神戸のいいところ、最終的に結果につながるゴールにならないように、やりきった、闘いきった結果、あのような結果(柏が2−1で勝利)になったのかなと。ただ、神戸の一つひとつのプレーを見ていくと、すばらしいプレーが多いなと思います。大型補強に関しての質問もいただいたので、1人(武藤嘉紀)は私がプロサッカーの選手としてデビューするきっかけに携わった選手で、彼のクオリティーはよくわかっています。大迫(勇也)選手に関しては日本代表のセンターFWですので、どのくらいすばらしい選手かは説明する必要がないくらいです。そういったレベルの選手を、移籍のウインドーが開く度に補強しています。神戸のトップの方の考えが今回のウインドーでも見えたのかなと。その形で実際に神戸はどんどん強くなっています。今シーズンのリーグ戦に関しては川崎フロンターレと横浜F・マリノスが抜けているので、神戸がそこに加わっていくのは勝点の差で難しいと思います。ただ、独自のやり方でリーグを盛り上げる存在で、神戸のそういった部分も魅力的だなと思います。