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明治安田生命J1リーグ第20節 浦和戦 前日監督会見

210月
10月2日(金)、チームはトヨタスポーツセンターで非公開トレーニングを実施。練習終了後、4日(日)に行われる明治安田生命J1リーグ第20節の浦和レッズ戦に向けて、マッシモ フィッカデンティ監督がオンラインでの記者会見を行いました。


マッシモ フィッカデンティ監督


―前節の守備陣に対してどのような評価をしていますか?

どういうゲームだったかを振り返っても結果は変わらないですし、相手を褒めるしかありません。しかし、「特になにかやられた」という感覚が残っているわけではなく、ゴールシーンに関しても人数は足りていましたし、あの瞬間のゴール方向へのプレーも読めるものでした。対策はできたと思います。こちらが負けなくてはいけないようなシュートだったかと言うとそうではなく、相手がゴールネットを揺らす前にできることがあったと思います。勝つことから逆算して、我々が勝つためにできたことを考えると、決定的なチャンスは二つしか作れなかったと思います。逆に言うと、それほど難しい試合だったのかなと。我々が作った二つのチャンスのほうが、決める可能性が高いものだったと思います。神戸が勝利しましたけど、どちらにもあまりチャンスがなく、分析をした上で正直に言うと見ごたえのない試合でした。そういう試合をしてしまったという感覚が残っています。


―浦和には前回対戦で大勝しています。相手はその結果も踏まえて意気込んで来ると思いますが、メンタル面など、どう考慮して準備しますか?

浦和がまた別の力をこの試合に込めてくる、という見方があることは理解しています。私のサッカーに対する準備として、今の時点でなにができるか。試合中のさまざまなシチュエーションで「前回は6点を取った」と思い出してプレーする選手はいないと思います。(浦和が)すべてのプレーに「前回の借りを返す」という思いを込めてくるかと言うとそうではないでしょう。準備の段階で「いよいよ名古屋戦だ」という思いで日々過ごすことはあるかもしれませんが。あくまでその試合に向けて、今いる選手をどういうコンディションで準備ができるか、最近の浦和のゲームをどれだけ分析して、それに対して最も効果的な11人を送り出せるかというところに集中したいと思います。今年のやり方で6点を取れた相手であるということ材料を持ち越そうとは思っていません。今の浦和に対してできるベストを尽くしたいと思っています。


―浦和には個の能力が高い選手がそろっています。対策としてどのようなことを考えていますか?

チームとしてプレーするべきです。個で状況を打開できるという浦和の強さに対して、我々はチーム力を発揮することができればなと。噛み合った時のチーム力については、我々が一番だと思っています。そういったチームの強さを、そのまま個の強さに対してぶつけていく必要があるかなと。ホームであろうとアウェイであろうと、変わらずにそれをできなくてはいけません。それは神戸戦のあとにも言いましたし、ずっと言い続けています。選手がそれを信じて、次のゲームに力を注いでくれたらと思います。


―前節では宮原和也選手が約10カ月ぶりに公式戦でプレーしました。彼のパフォーマンスをどのように評価していますか?

おっしゃるとおり、ほぼ1年の間実戦から離れていました。彼が試合に出るべき状態にあると判断したのでプレーしてもらいました。やるべきことをしっかりとやってくれたと思います。試合前にも「なにができるかを示そうとするのではなく、やるべきことをやってくれ」と言って送り出して、しっかりとそれに応えてくれました。サイドバックは交代させながら回していける選手層があります。その中で、彼もそこに加えていかなくてはいけない状態だと思ったので使いました。よくやってくれたと思います。


―吉田豊選手の交代の際に、オ ジェソク選手を右、宮原選手を左のサイドバックで起用したことに少し驚きがありました。その起用の意図を教えてください。

驚くような交代、起用でしたでしょうか? まず、吉田を交代させなくてはいけなかった理由は足がつっていたからです。そこで交代選手として入るのはオ ジェソクでした。オ ジェソクが左でプレーできる、できないということを言いたいわけではありませんが、どちらも右足をメインに使う選手で、2人を比較した時に、私の中で宮原のほうが技術的に高いものを持っているのかなと判断しました。どちらかが利き足ではないサイドでプレーする時に、宮原に左へ行ってもらいたかったということです。


―サイドバックの選手層の厚みは、監督にとってうれしい悩みなのでは?

宮原、太田(宏介)に関しては今年の頭に手術をし、やっとプレーできる状態になりました。継続性を持ってプレーすることは、今シーズンにおいては難しいのかもしれないという見方があります。ほかの3選手はそれぞれが自分の特長を出して、全員がいいプレーをしてくれています。回しながら使っていきたいと思っていますが、それは平等に順番が回ってくるということではありません。私の中でサイドバックを固定するという考えを持たずに、5人に毎週全力で争ってもらい、出るべき2人を選んでいきたいと。そういう意味での回していきたいということです。


―先ほど神戸戦は「見ごえがなかった」と語っていました。監督にとって見ごたえのある試合や、見ごたえがあると感じる部分、また神戸戦は見ごたえがなかったと感じた理由を教えてください。

(「見ごたえがなかった」と言いましたが)選手たちに対して「そんな試合をしている場合じゃない」という意味で言ったわけではありません。ここまでのシーズンで行ってきた試合と比べて、あの試合は神戸もコンディションが良かったとは思いませんし、どちらにもチャンスがあまりありませんでした。お互いに自分たちの状況を判断した上で、選手たちはまず試合をこなすことに没頭せざるを得なかったのかなと。以前に話したとおり、サッカー選手はアスリートとしての高いレベルを保たなくてはなりません。私なりの魅力的なサッカーとは、選手のコンディションがすごく高いことが一つです。100パーセントに近い状態でプレーしていた選手はほとんどいませんでした。なのでスピード感がありませんでしたが、それでも試合をしなくてはいけない状況でした。3日に1回、あるいは4日に1回という日程で試合が組まれていて、こういったゲームがいくつか出てきても仕方ないのではないかと思います。あとからの評価として、そういったカテゴリーの試合になってしまったと言ったわけです。11人全員を交代できる選手層をどのチームも持っていれば、Jリーグは毎回素晴らしい試合をファンの方々に提供できると思います。私は日程に関して口を出すことはできません。「おもしろくない試合をしてしまった」という以前に、おもしろくない日程なのではないかと思います。


この話をした後なのでさらに理解してもらえるかと思いますが、魅力的なものをぜひ提供したいという前提で、サッカーにはいろいろなものが決め手となって結果が生まれます。神戸戦のあとにDAZNをとおして、また会見の場でも言いましたが、あまり多くの方が私の発言に触れてくれませんでした。(セルジ)サンペール選手の米本(拓司)に対してのプレーです。ファールを取られていないので、ファールとは呼べませんよね。あのプレーは見過ごされてはいけないのに、見過ごされています。サッカーを知らない人でも知っているかもしれない(アンドレス)イニエスタ選手についてどれだけ素晴らしかったかを書くよりも、米本という素晴らしい選手にキャリアを終えてしまうかもしれない危険なプレーをしたサンペール選手(について書くべきではなかったのかなと)。悪意がなかったのであれば、そこで止まる。サッカーをやる上で必要な、相手にケガをさせないという止まる技術がなかった。相手にケガをさせずにボールを奪う技術がなかった。そういったことを誰も書かないのかなと。もし悪意があったとしたら、そういった汚いプレーについてなにも書かないのかなと。あれをファールとして見えなかった審判について誰も記事を書かないのかなと。「あの素晴らしいゴールで神戸が勝った」という記事は何十個も見ましたが、「名古屋は60分に渡って1人多い状態でプレーするべきだったのに、あのミスジャッジがあったからそうならなかった」ということは書いてくれませんでした。そのせいで負けたとは言っていません。そこは皆さんが書いてくれるまでしつこく言い続けようと思います。選手1人ひとりは本当に高いレベルでサッカーに向き合っています。この仕事に人生を、命を懸けてやっている彼らのキャリアが一瞬で終わることがあってはなりません。今は「そういうプレーはピッチ上で許されない」と言っている私がおかしいというような立ち位置になっていると感じます。しかし、これは絶対に大事なことですので、わかってもらえなくても永遠に言い続けたいと思います。


―選手の保護を強く訴えるようになったのには、過去の経験が影響しているのでしょうか?

私が苦い経験をしたからもう二度見たくない、ということではありませんが、「最近はファールが多いから気をつけましょう」と言っている間に、何人かの選手のキャリアが終わってしまったらどうするのですか、ということです。失礼ですけど、皆さんが書かないから誰も騒がないんです。私がどれだけしゃべっても、皆さんがどれだけ注目される書き方をしてくれるか(に左右されます)。神戸戦以降、ある程度この件についてしゃべってきましたが、問題があったということは多くの方の目に触れていないのではないかと思います。なので、問題として位置づけられていないかと思うので、私は「問題ですよ」と言い続けなくてはいけないと思います。日本人はルールをリスペクトすると世界中で称賛されていて、だからこそ私は「日本が好き」だと言い続けています。そこは本当に日本の好きな部分の一つです。ただ、サッカーの中ではなぜルールどおりにやらないのかなと。ルールに最も準ずるはずの日本人がなぜなのかなと。日本では違ったルールを推し進めていくのであれば、同じサッカーという名前でスポーツをやるべきではないと思うくらいの基準の違いを感じます。ヨーロッパであれば最低でも5試合は出場停止で、試合中に(審判に)見られていなくても、悪質なファールと位置づけられて、そういう結果になると思います。腓骨、脛骨が2本とも折れる大ケガにならなかったのがおかしいほどのプレーだということは、皆さんご覧になって理解できると思います。折れなくてよかった、で終わりなのかなと。だからといって、相手の骨を折るようなプレーをしてもいい、それでいこう、というような話にはなりません。そうなってしまってはおかしいです。例えば今後我々の選手がそういうファールをして、「なんでそんなファールをしたのか」と言われたら、うちもやられていて、裁かれていないのであればやらないほうが損だと。そういうやり方は見苦しいと思うので、そんなことを選手にさせるのではなく、「うるさい」、「なんだ」と言われてもしつこく言い続けることが、選手を守るために私がするべきことだと思います。どれだけ皆さんに退屈に思われても、言い続けなくてはいけないなと。もしかしたらこのことについて記事を書く上で、多くの日本人が読みたいと思ってもらうために、私の米本への個人的な考えを理解してくれて質問してくれたのかもしれません。サッカーを見ている多くの方が知っているように、米本は過去にすごく苦しい、重いケガを何度も負っている選手です。そういう選手がやっとまたサッカーができる状態になっていて、その中であのようなプレーを受けてしまったということで、私にとって余計に衝撃的なシーンでした。激しいプレーはサッカーの魅力の一つですけど、それがフェアな方法で行われているのか、ボールに対して体の部位と部位が正当な形でぶつかりあっているのか。ルールブックを読んでいるような話をしていますが、そのとおりに行われていないから私はおかしいと言っています。もちろんJリーグは素晴らしく魅力的なリーグだと思いますが、いくつか「なぜ誰もそれも見ておかしいと思わないのか」と感じる部分があります。