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明治安田生命J1リーグ第34節 鹿島戦後 監督会見

712月

12/7(土)、明治安田生命J1リーグ第34節が行われました。名古屋グランパスは豊田スタジアムで鹿島アントラーズと対戦し、0-1で敗北。試合終了後、グランパスを率いるマッシモ フィッカデンティ監督が監督会見に臨みました。


マッシモ フィッカデンティ監督


まず、今日の試合がどういうゲームだったかを総括すると、今までで一番良いゲームだったと思います。前半40分までのスピード感を含めて。具体的に言うと、前からプレスにいくという部分で、これまでで最も良かったのではないかと思います。最後にしっかりと締めて終わりたかったという残念な気持ちはもちろんありますが、このクラブに私が来てから2カ月指揮を執りました。合わせて4年苦しんでいる名古屋グランパスで8、9週間、私が来てから経つと思います。この期間はとにかく長く感じました。浦和レッズまでも関わる、すごく難しい状況での残留争いとなりましたが、就任した頃はもっと多くのチーム、ガンバ大阪もまだ残留争いにいました。今シーズンはそういう、難しいシーズンだったと思います。


前節の磐田戦と今日の試合、どうしても戦力として手元に置けなかった選手、ケガや前節は出場停止もありました。そこもしっかりと、来年のスタートには戻ってくると思います。他のチームとこれまで試合をしてきた中で、自分たちが順位的に切羽詰まっている状況なので、そういう影響がプレーに出ていたのもありました。今回「ほぼ」と皆さまは言われていましたが、私の中ではもう残留は決まっているという考えで今週のトレーニングを行ってきました。そういう時の方がきっと良いプレーができるだろうなと、サッカーとはそういうスポーツなので、そう思っていました。負けた上で言うことではないかもしれませんが、良かったと思います。


ひと区切りという意味で、今年は残留させてくれとクラブからは言われていました。選手はチカラを合わせ、一つ前の試合で残留することができました。今日の試合を終わってから、選手には「君たちのおかげだ」と感謝の気持ちを伝えました。


―いいゲームという手応えがあり、残留というミッションも達成しました。

残留という目標が、決して私の監督としての目標ではありませんし、常にそれが私の仕事ではないということを先に付け足しておきたいと思います。チームに来た時はもうカップ戦もない状況で、目指すべきものはそこでした。


―来シーズンも監督を続投する前提として、どのようなサッカーを目指したいのでしょうか?

セレモニーの場では伝えませんでしたし、あそこで拍手を受けるようでは逆に「このチームは大丈夫なのか?」と感じるところでした。ブーイングをもらえて良かった。そのことをチカラに変えると私も話しました。このチームを追いかけてくれる方がブーイングをする、そういうチームにいるんだと安心しましたし、もう死んだチームと思われたらなら拍手をされ「お疲れさま」と見送られて終わりだったと思います。私が来る前の勝ち点と比べても、直前の15試合で勝ち点を「8」しか挙げられていない状況の中で、前節で残留を決めたことについて、監督交代の結果は出たのかという点では、前よりは結果が出ているということはあります。勝ち点いくつを獲得して残留してくれという話ではありませんし「残留させてくれ」というところで私が就任して残留させたという点で、もし今日のブーイングが私に対してのものならば、それはちょっと違うのではないかと思います。チームに対してブーイングされているのなら本当に喜ばしいことです。挑発しているのではなく、そう思ってくれいている皆さんを満足させなければいけません。15試合で勝ち点7のチームはどういう状況か。人間で言えば危篤状態であり、その状態の流れの中で何に対してブーイングされていたのか。もっとやらなければいけないと感じた選手、見返してやらなければと捉えるならそうですし。私が挨拶をしている時にもブーイングを受けましたが、自分の後ろ、横に立っていたスタッフたち、私個人ではなくチームに対してのブーイングだと、自分が選手の立場ならそう感じたと思います。残留というミッションを達成しただけであって、ここまでの8試合には不満ばかりですし、もっといい結果を目指してやってきました。最低限の目標を達成しただけで、ブーイングをしてもらって、ファンの皆さまも目指しているところは私と同じだと感じましたし、安心しました。私はイタリアから来て、残留するということはどれだけ評価されることなのかとかという考えも違いますし、一つの試合を落とせば生活自体が苦しくなるかもという、全く違うところから来ています。ブーイングをどう捉えるべきか、メンタルも含めて、もちろんブーイングがない方がチームがうまくいっているということでいいのですが、それをどう解釈、消化しプラスにするかということを私は持ち合わせています。


―今日の試合では、特に前半に後ろからつなぐ攻撃がこれまでの試合より多かったように思いますが、それは監督からの指示なのか、それとも降格というプレッシャーから解放されたことで本来の戦いができたということなのでしょうか?

私が日本に来て感じているのは、サッカーというものをいろんな言葉にして表現しようとしすぎているのかなと思います。見てわかってほしいという思いはあります。いろいろと喋って、実際に形のないことに対して言葉を並べるのがうまい人をイタリアでは「煙を売る人」と言います。いろんな人がサッカーについて話していますが、「煙」だらけで、私は見て感じることと、自分のことだけではなく、いろいろと書かれる内容について日本のサッカー界では、そんなに言葉でまとめられることではないんじゃないかなと感じることがあります。まずサッカーというのはどういうサッカーをしたいと、監督がどんな理想を持っていても、結局今日の試合にどういう11人をそろえられるか、あるいはベンチを含め18人。日本では18人ですが、イタリアではもっと多くを連れて行きます。技術的に、戦術的に、いま手元にいる選手からどう11人を選びグラウンドに並べるかということで、対戦相手に対してどう力を引き出せるか、いろんな対応をできるのが優秀な監督だと思いますし、イタリアでは評価されます。わかりやすい話をするなら、私が日本へ来て「バルセロナのようなサッカーを目指します」と言っても驚かれないと思います。「今度の監督はバルセロナのようなサッカーをする」と日本の新聞に記事で出ても、そうなんだ、楽しみだと受け取られますが、イタリアでは「大丈夫か?」と思われます。書いている方も読んでいる方も思われます。ここで先の話に戻りますが、現実的にこんなサッカーをしていては勝てるわけがないだろうと怒っているファンを見て、あそこで拍手ならこのサッカーで満足しているのかと思いますし、サポーターの方なは本物を求めているんだということで安心しました。20年前から私は日本と関わりがありました。日本には毎年のように遊びにも来ていましたし、長友(佑都)選手が最初にイタリアへ来た時の監督だったという縁もあります。イタリアの言い方では「自分のポケットの中より日本をよく知っている」という表現をしますし、それくらいよく知っています。話が逸れましたが、やるべきことは地に足をつけてやり、理想やできそうもないことを口だけでうまいことを言って許してもらうようなことはいっさい求めていません。もう残留という仕事は終わりましたし、ここからは私がやるべきことをやって、皆さんを納得させることに取り組んでいきたいと思います。ですので、今ここでうまいことを言ってもう来年は大丈夫だということは絶対ないと思いますし、取り組みをしっかり見ていただきたいと思います。


今自分が名古屋でどう位置付けられているのか。皆さんにどう捉えられているのか。この4年間ずっと私がこのチームで監督をしてきて、この今の状況の責任が全て私にあるというように皆さんが思っているのではないかなと。私は選手としても監督としてもこの世界で長くやってきて、シーズン最初の試合に向け6、7週間の準備期間が必要だというのが私なりの考え方です。それが、この短い期間、時間のない中で一緒にミッションをやり遂げたという思いはあります。