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明治安田生命J1リーグ第36節 G大阪戦 前日監督会見

1911月
11月19日(金)、チームはトヨタスポーツセンターで非公開トレーニングを実施。練習終了後、20日(土)に行われる明治安田生命J1リーグ第36節のガンバ大阪戦に向けて、マッシモ フィッカデンティ監督がオンラインでの記者会見を行いました。

マッシモ フィッカデンティ監督


ーこれだけ試合間隔が空いた期間を過ごしたのは今シーズン初めてと言っていいくらいだと思います。十分な準備期間がとれた試合になると思いますが、時間が空いたことで逆に気を付けなければいけない部分はありますか?

冗談のようですが、本当に今年初めてこういう時間、休養という意味での時間を取れたのではないかと思います。これまでの疲れが溜まっていたので、何日間か完全に休みを取りましたし、そこでしっかりと充電できた部分もあります。今年はタイトルを一つ獲れたというところはありますが、残りの3試合をどう過ごすかによっていろいろなものが変わってくるということもよくわかっています。しっかりと最後までやりきって、残りの3試合もすべて勝つという、今までと同じような取り組み方でやっていきたい。全員がそう思っています。


ー厳しい日程の中で、どのチームよりも多くの試合をこなしたからこそ手にできた強さ、連携というところで感じることはありますか?

疲労が溜まっていたことがいろいろなシーンにおいて、試合を左右する要素になってしまったというところはあります。その中でも自分たち次第でなんとかできた可能性があったと思う試合がいくつかありますので、まずはそういった部分の悔しさがあります。それと同時に、近くで選手を見ていて「こんな状況なのに、試合が始まった瞬間によく体を動かしてくれている」と感じることが多くありました。それは選手たちが持っている体力的なベースというところ以上に、体にムチを打って、気持ちで体を動かしているんだと。サッカーの中ではそういう部分もすごく大事だと思いますので、気持ちでそういうところまで闘えるという、自分の限界の先が見えたことは必ず将来、役に立つと思います。


ー次節の相手であるガンバ大阪は、4月に対戦した時には相馬勇紀選手の活躍もあり2−0で勝利した相手です。それから期間は空いていますが、今回の対戦でも縦への速さを出していくこと、相手の前線のタレントに気を付けることが重要になりますか?

まずどういう戦い方をするかという話をする前に、ガンバは強いチームとして見るべきものがたくさんあると思います。最近の2試合、横浜(F・マリノス)、大分(トリニータ)との試合の結果によって、やっと一息つけるという状態になったというくらい、シーズン終盤まで落ち着かないような、J2というものがちらついている状態でやっていたと思います。ただ、去年は2位ですし、そういったチームでも翌年にはリスクがあるリーグなんだということでもあるので、逆のことも考えなければいけません。ガンバに関しては今はああいった順位(13位)だけど、本当はもっと上の順位にいなければいけないチームだということは皆さんもわかっていると思います。戦い方という部分では、縦へのスピード感というのはもちろんですし、パスを回そうと思えばそういうこともできる選手がそろっている。どんなことでもやってくることができるチームなんだと評価した上で準備をしたいと思っています。


ー今シーズン初めてこれだけの期間が空きましたが、相手を分析する期間はたくさんあればあるほどいいものなんでしょうか?

どのくらいの情報量をベースに対戦相手を見ていくかという点で、(今までは)時間がなかったから分析を抑えていたというわけではありません。ですので、時間があるからやっとやりたいように分析ができる、(分析する)試合数が増えたということでもありません。今までどおり必要な試合数を観て分析しています。ガンバは練習や最近の試合で復帰した選手がいるので、選択肢が多い状態だと思います。「こう来るのではないか」と決めてかかると全く違った陣容で来る可能性もありますので、どちらかと言うと、残り3試合をしっかりやるということ、私と選手たちがどれだけそこにこだわってやるか。その部分の温度を高くしていって、その熱を試合にぶつけたいと思っています。相手のことだけではなくて、こちらの準備のところにすごく時間を割いたというところもあります。


ー来年のACL(AFCチャンピオンズリーグ)出場権を争う3位の神戸とは残り3試合で勝点5差があり、数字上は厳しい状況だと思います。改めてアジアの舞台への想いを聞かせてください。

我々自身が今出せる一番いい成績を出しても、結果は相手次第というのが相手がリードしている状況においての現実です。ただ、3試合が終わった時に、「あの試合で勝っていればなんとかできた」と言うことがないように、まず自分たちができるベストを尽くすこと。ACLはすごく重要で、絶対に出たい舞台なので、そこを目指して全力を尽くしてやっていきたいと思います。


ーキャリアでのベストのシーズンを過ごしていると感じる稲垣祥選手について伺います。彼は以前、「監督に自分の良さを引き出してもらっている」と話していました。稲垣選手の良さを引き出すという点で個別の指導や会話で思い当たる節はありますか?

まず私自身が監督として、常に全力を出しきらなければいけない、出しきれたとしてもわからないというくらい生き残るのが難しい場所から来たということで、そこでなにをすべきかと。それはまず自分自身が持っているものをすべて出しきる能力が求められるという感覚です。そして、持っているものに常に上積みをしていかなければいけません。ただ、新しいことをどんどんやることだけに意識がいってしまって、出せるものが多くなるのではなく、新しいことを始めると持っていたものがなくなってしまうということだと、違った進化、望ましい進化の形ではありません。そういったベースがある中で、監督としてより選手の力を引き出すという部分に関しても、プロの監督というのは戦術論とかそういった部分だけではなくて、チームをどうまとめて動かすかという中で、一人ひとりの選手というところへのアプローチの仕方でも、彼らの能力をなるべく最大値に近い形で引き出すことができたら、試合に勝つ可能性が上がります。それは優秀な監督と評価される人は持ち合わせていなければいけない能力です。よくメンタルやメンタリティという一言で片付けられてしまいますが、その中にもいろいろな要素があると思います。どういうふうにトレーニングにアプローチするか、一つひとつの戦術トレーニング、体を動かすというところには説明を聞く、サッカーを理解するというものもプロのトレーニングでは入ってきます。どれだけ頭を働かせることができるかというところも重要ですし、それらサッカーに必要なものを360度、あれもこれも試合に勝つためにつながるんだ、という視野を広く持ってサッカーに接することができたかという点において、今年の稲垣はその取り組み方を続けてきたことで一気に花開いたのではないでしょうか。稲垣自身がもともとそういうものを持っていたというところと、私もそういうふうに考えているというところで、2人の考え方が一致したことでも、サッカーに取り組みやすい環境を提供できたのではないかと思います。


ーシーズン終盤なので伺いたいのですが、5人交代制について、Jリーグに与えた影響や監督としてのやりやすさなど、意見を聞かせてください。

そもそも選手のコンディションの部分を考慮して、試合間隔が短いというところで5人交代制が導入されたと思います。コンディションが整わなかったり、90分もたないというところを5枚のカードを持っていることをどのチームも有効に使え、全チームが恩恵を受けたのではないかと思います。ただ、その5枚というのを、優秀な選手が多いチームにとっては戦術を変えるために使うということもできます。勝敗に影響するレベルで、5枚の交代枠が誰にとってアドバンテージがあるかというとやはり、スカッドを見た時にこっちのほうが強いんじゃないかと思われるような、選手層が厚いチームがそういった部分では優位に立ったのかなと。5人交代制についてはそういった部分もあると思います。