今シーズンのホーム初勝利を飾った前節のジュビロ磐田戦。その中継映像の中で、秋山陽介が磐田の中村俊輔に声を掛けられた場面がSNS上で話題を呼んでいる。そのシーンの真相について、当事者である秋山に話を聞いた。
―試合中に磐田の中村選手が秋山選手へ声を掛けたシーンが話題となっています。どのようなやり取りがあったのでしょうか?
秋山 後半、相手ペナルティーエリア内で青木(亮太)からパスを受けようとして、中村選手に体を入れられた場面があったじゃないですか。声を掛けられたのはその後です。自分のポジションに戻ろうとした時に、中村選手から「外にオーバーラップしたけど、俺としては中に入られた方が嫌だったよ」と言われました。自分としても中に行こうか迷ったんですが、青木がシュートを打つと思ったので外をまわったんです。でも、中村選手に言われて「そうだったかもな」って……。
―中村選手には何て言葉を返したのですか?
秋山 びっくりしてしまって「そうですね、たしかに」としか返せませんでした(笑)。
試合中に声を掛けられたのは、秋山だけではない。同じく左サイドで出場した青木もまた、“世界を知る10番”からアドバイスを受けたという。
青木 実は僕も声を掛けられていたんですよ。ジョーに出したパスが流れてゴールラインを割ってしまったシーンでのことです。イメージとしては回転をかけたパスを出すつもりだったのですが、うまく回転がかからなくて。その時にちょうど俊輔さんが僕に「もっとスライスかけた方がいいよ」って。そして「こうやるんだよ」って身振りを交えて説明してくれました。
―もはや対戦相手という感じではありませんね。
青木 本当にそうですよ! あの“中村俊輔”がアドバイスをしてくれて「マジか!」って思いました(笑)。
―他の選手にも助言しているようでしたか?
青木 僕とアキにだけだと思います。同じサイドでしたからね。
秋山 あれは本当にびっくりしました。試合中に相手選手からアドバイスをもらう経験なんて初めてでしたし、その相手が中村選手だったんですから。
アドバイスをした真意は、当の本人しか知り得ないところであるが、青木、秋山両選手を日本サッカーの未来を担う存在と認めた上で声を掛けていたのだとしたら……。敵、味方の垣根を越えたこのアドバイスは、“永遠のサッカー小僧”中村俊輔ならではの粋なはからいだったのかもしれない。