図らずも生まれた余裕が
新たな自分を呼び起こした。
「毎日が楽しくて仕方ないんです」
柔和な顔つきに充実感がにじみ出る。
挑戦の連続がいざなう次なるステージ――。
実りに満ちた男の“第二章”が幕を開けた。
インタビュー・文=INSIDE GRAMPUS編集部
チーム始動から約1カ月が経過しました。新チームの印象はいかがですか?
長谷川 オフシーズンに選手の入れ替わりがあって、「また新しいチームになったな」と感じています。新加入の中には特別指定選手や二種登録選手として、昨シーズンをともに戦った選手たちもいますけどね。
チームの雰囲気はすごくいいように感じます。
長谷川 騒がしい選手たちがたくさんいるんでね(笑)。そういった選手たちがチームを盛り上げてくれていて、伸び伸びとプレーできるような環境が作られていると思います。ただ、その中にも厳しさはあります。昨シーズン、常に残留を争う苦しい順位にいた悔しさを俺らは忘れていませんから。
和やかな雰囲気がありつつも、トレーニングはピリッとした緊張感の中で行われていますよね。球際の激しさや迫力からも厳しさが伝わってきます。そういった空気はどのように作られているのでしょうか?
長谷川 昨シーズンの経験は影響していると思います。悔しい思いをしたからこそ、高い意識を持ってやれているんですよね。また、新戦力が加わったことで、チーム内競争のレベルが上がったことも大きな要因です。誰もが「試合に出たい」、「ライバルに負けたくない」という強い想いを持っていて、そういう感情が厳しい空気を作っている。すごくいいことだと思いますよ。ただ、ピッチを出れば“仲間”という意識も強いんです。そういう感覚があるチームは絶対に強くなっていくと思うので、これからも継続していきたいところですね。
雰囲気だけでなく、在籍選手の年齢層も大きく変わりましたよね。かなり若くなったというか。
長谷川 「若すぎる」と感じるぐらいですよ(笑)。上には千葉(和彦)さん、たけちん(武田洋平)とジョーがいて、次に俺と(小林)裕紀とミッチ(ランゲラック)ですからね。「俺もそういう歳になったんだ」とつくづく思います(笑)。年上の選手たちとはチーム全体のことについてよく話すんですよ。俺自身、これまでに先輩たちからいろいろなことを教わってきたし、それなりの経験はしてきたつもりですから。それを後輩たちに受け継ぐ時が来たのかなとも思っています。
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