長谷川健太監督
こういう展開になると思っていましたし、2点差で勝つのはなかなか難しい相手だと思っていました。1点差プラスアルファというところで、勝っている状況でキャスパー(ユンカー)と(永井)謙佑を入れて、菊地(泰智)も入れてというところで2点目を取りにいきました。そこでなかなか取ることができず、延長戦で先に同点に追いつかれましたが、よく謙佑が走ってくれたと思います。こういう勝ち方じゃないと、今の広島に勝つことは難しいだろうなと思っていました。(PK戦では)ミッチ(ランゲラック)が決めてくれて、(森島)司が足をつりながらも「蹴ります」と自分から言って、決めたときには「これは勝つかな」と少し思いました。ただ、何があるか分からないので最後まで見守っていました。選手がこちらの意図を理解して、第1戦も含めてしっかりと闘った結果が、この2戦目につながったと思いますので、180分プラスアルファの戦いを、本当にみんながミッションではないですけど、コンプリートしてくれたなと思っています。
ーランゲラック選手がPK戦でキッカーを務めたことについては、本人が「試合前に監督と話して決めた」と言っていました。彼に蹴らせる決断をしたこと、彼を2番目にした理由を教えてください。
コーチから「1番目に蹴らせますか?」という話がありましたが、「1番目はな」と。でも、ミッチが一番うまいのは分かっていたので、蹴らすことには全く異論はありませんでした。あとは順番だけで、「じゃあ2番目にしましょう」ということです。相手が外したあとに決めてくれたので、非常にいい形でミッチも乗ってくれたのではないかなと思います。
ー先ほど名前が挙がった永井選手はオウンゴールを誘発した場面以外でも、馬力を出して、チームをもう1回勢い付けてくれたと思います。彼のプレーの評価はいかがでしょうか。
謙佑にはいろいろな話をして、どういう状況で、どういう形で、という話をしていました。あの状況で、荒木(隼人)であったり、佐々木(翔)であったり、中野(就斗)とマッチアップするうえで、彼のスピードを1つ頼りにして攻撃を仕掛けていくしか道はないなと思っていました。
ーピンチもあり、ヒヤヒヤした場面もあったと思いますが、心境はいかがでしたか?
最後は向こうもメンバー交代をして、どちらが1点を取るかというゲームでしたので、そのへんはもう仕方がないと割り切っていました。当然、危ない場面もありつつも、1発裏抜けでビッグチャンスを迎えることができればと思っていました。そこは広島がきてくれたからこそ、背後のスペースが空いたとも言えると思います。どちらが点を取るかという展開のなかで先に取られましたけど、よく謙佑がオウンゴールを誘ってくれたのではないかと思います。
ー最後まで粘って勝ち上がった選手たちにどんな声を掛けましたか?
「よく頑張ったな」という言葉しかないですね。1戦目からどういう形で広島に勝つかという話をして、選手もよく理解して、1戦目ではいろいろとありましたが、勝っていい形で次に進めます。昨シーズンは準決勝、ベスト4で負けてしまったので、次は昨シーズンを超えられるようにしっかりとまた準備をしていきたいと思っています。
ー第1戦で温存した山中亮輔選手とパトリック選手のラインで先制点を奪いました。起用やセットプレー、時間帯という点も含めて狙い通りだったのかなと思います。
狙い通りかどうかは別として、こちらの期待に応えてくれたと思っています。山中はキックの精度が非常に高い選手で、ああいう数少ないチャンスをどうやってモノにするかというところが1つ勝負だったと思います。立ち上がりがあまり良くないと言われている広島に、開始9分で(ゴールを奪うことができた)。リーグ戦のアウェイでの試合もパトリックが開始早々にミスをかっさらう形で先制点を取るような試合ができたので、まずはそこを狙っていきたいということで、パトリックと山中を先発で使いましたが、本当に期待通りのプレーをしてくれたと思っています。