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【インタビュー】稲垣祥「強くなるために」

2612月

首位争いを演じた前半戦と、苦しみもがいた後半戦。キャプテンの胸に残るのは不甲斐なさと失望感。さまざまな要因が重なり合って難しい時期を過ごしたが、手応えと忘れてはいけない精神を再確認した。稲垣祥とグランパスはここから這い上がる。


インタビュー・文=INSIDE GRAMPUS編集部


2023シーズンが終わった今の率直な気持ちは?

稲垣 悔しさや不甲斐なさが大きいです。チームとしては前半戦で形、勝ち方が見えたのは大きなことですし、後半戦も意図を持ちながらサッカーができていたというところはあります。ただ、後半戦の苦しい中で、もう一つ盛り返す姿を見せられなかったところは力のなさもあるし、責任を感じています。また、個人で言えば正直、全く満足できないし、自分自身に対して今までにないぐらいの失望感に近いようなもの、「俺がこれだけしかできないんじゃダメだ」という思いを強く感じました。


チームを勝たせられなかったことなのか、パフォーマンスなのか、どういったところで特に「失望感に近いもの」を感じていますか?

稲垣 自分のパフォーマンスを上げて、チームを勝たせられなかったところです。僕がもっとしっかりと仕事を果たしきれていたら、チームの結果が違ったと思うところがあります。自分自身ですべてを抱えているわけではないですけど、11人のうちの1人として出ている身、ボランチという中心のポジションでやっている身として、それくらいの責任感を持ちながらプレーしているので、本当に申し訳なかったと思っています。


デュエルや危機察知能力、トランジションの速さは変わらずすごいものがあり、チームを支えていたと思います。

稲垣 それはもう最低限ですね。絶対にやらないといけないことだし、それができないのであれば、自分がこのクラブにいる意味がないと思います。その最低限がありながら、わかりやすいところで言えば、「もっと点を取れただろ」というところ。チームが得点力不足で苦しんだり、最後の局面で決めきれない、押し込めないとなった時にフォーカスされるのは前線の選手だけど、ボランチも得点が少ないだろと。そこはすごく責任を感じます。わかりやすいところで言えば、という話ですけど、そこも自分がもっとチームを引っ張り上げられるところだと思います。


得点に関してはリーグ戦で3ゴールを挙げていて、いずれのゴールも特長でもある嗅覚やポジション取りの良さが発揮されたゴールでした。後半戦はチームとしてなかなかラインを押し上げられないこともあり、ボランチがゴール前まで入っていきにくかったと思います。

稲垣 その難しさがありながらも、“一振り”でゲームの状況を変えられるのが自分の良さでもあるし、価値を出せるところです。長いシーズンを闘っていく上で、苦しいゲームやうまくいかないゲームはいくらでもあるんですけど、そこで“一振り”が出てくるかどうかが、優勝争いするチームか、そうじゃないチームなのかを分ける大きな部分だと思います。チームとしてベースを作りながら成長していって、よりいい内容、より自分たちが意図した形に、というところを求めながらも、それができない試合や拮抗して点が生まれない、相手の守備がすごく良くてなかなか入っていけない時の“一発”をチームとして持っておかないといけないと思います。


稲垣選手自身のプレーで言うと、第24節の浦和レッズ戦で見せた久保藤次郎選手へのラストパスなど、幅が広がったような印象があります。

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