「ボール奪取能力やインテンシティが高い選手で、そこは稲垣祥や米本拓司とそん色なくやってくれる」。そう指揮官に言わしめるファイターが、このチームの核となる強度を支える。複数のポジションをそつなくこなす“便利屋”から、スタメンをつかんだ内田宅哉の眼にはまた新たな高みが見えてきた。サボることを知らない男が名古屋のために走り、闘い続ける。
インタビュー・文=INSIDE GRAMPUS編集部
7月からボランチとしてスタメン出場を続けています。自身のパフォーマンスについてどう感じていますか?
内田 ボランチをやり始めた頃と比べれば、少し良くなってきているかなと感じています。ただ、チームが勝てていないですし、チームとしてうまくいっていない部分があるので、そこも含めてまだ足りない部分が多いと感じています。
試合を重ねるごとにできることが増えているというか、内田選手の特徴を発揮しているような印象です。頭の中が整理されてきたような感覚はありますか?
内田 そうですね。特に守備面で、プレーしていく中で洗練されてきた部分が多いと感じています。ただ、その分考えることが増え、攻撃面で少し考えすぎてしまっているのかなと思うところもあります。そういった点では思いきってプレーしてみたりとか、大胆なプレーをする必要もあるのかなと、最近は感じています。
守備が洗練されてきたというのは、どういった部分が大きいですか?
内田 ポジショニングもそうですし、味方との連携という点でもわかってきている部分が多くあります。少しのズレで相手にチャンスを作らせてしまうこともありますが、なんでそうなってしまったのかも理解できています。そういうところは連携を含めて良くなっていて、自分の中で頭の整理ができているのかなと感じています。
開幕戦以来となるボランチでのスタメン出場となった第19節川崎フロンターレ戦後には、「米本(拓司)選手がハードワークや守備の強度を見せていたので、自分がそこをどれだけ表現できるかを意識していた」と話していました。その時は米本選手が出場停止で出られなかったため、その代わりという意識があったのでしょうか?
内田 というよりかは、名古屋のボランチは守備があってこそだと思っていたので、そこは基準としてあるべきだと感じていました。そこにプラスアルファで自分の特徴を出せればいいなと考えていました。
ボランチとしてスタメンで出始めた頃はその基準を意識していたけど、最近はもう整理されてきたと。
内田 そうですね。結構前からあまり意識せずにできるようになってきました。球際で闘うことだったり、ハードワークする部分というのはもともとできていたと思います。それをどうチームに還元するかというところを連携も含めてできてきているので、そこに関してはあまり考えすぎずにできているのかなと感じています。
その分、攻撃で考えることが増えてきた。
内田 はい。やっていくうちに相手のプレッシャーが変わってきますし、スタメンで出始めた頃は自分がボールを持ち出して攻撃の起点になる回数がもっと多かったと思います。そこがちょっと少なくなってきていると感じているので、もっと出していかないといけないと感じています。
相手がグランパスのカウンターを警戒してきたり、対策を取って来る中でチームとしてもやり方や形を変えている状況です。
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