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【加入内定選手インタビュー】相馬勇紀「グランパスのキーマンになれるように」

306月

来シーズンの加入が内定している相馬勇紀。

関東大学サッカーリーグのアシストランキングでトップに立つ快足アタッカーは

特別指定選手の承認も決まっており、試合出場への期待も高まる。

「自分の武器は、J1でも通用するという自信がある」

東京五輪を目指す21歳がグランパスにもたらすものとは––。


インタビュー・文=INSIDE GRAMPUS編集部



来シーズンのグランパス加入が内定しました。クラブの印象を教えてください。

相馬 歴史があって、ビッグクラブというイメージです。小さい頃から憧れていました。風間(八宏)監督が来てからはショートパスを多く使っていくスタイルになっていますよね。大学の先輩である秋山(陽介)さんが試合に出ていたこともあって、特に去年の試合は多く見ていました。綺麗なサッカーをしていて、すごくいいチームというのが素直な印象です。


グランパス加入を決めるにあたり、秋山選手の存在は大きかったのでしょうか?

相馬 そうですね。他にも風間監督の存在もありました。実力があれば試合に出していただけるということは、試合のメンバーを見ていても明らかです。その点は自分の中で大きかったですね。大学時代にお世話になり、今はここでU-18の監督をされている古賀(聡)さんにも相談に乗っていただきました。

どのようなことが加入の決め手になったのですか?

相馬 練習参加させていただいた時に、「ここならたくさん吸収できる」と感じました。例えば、佐藤寿人選手が練習前に早くグラウンドに出て、毎日トレーニングをしているのを見ました。佐藤選手のような偉大なキャリアを持つ選手と一緒にプレーできる機会はなかなかないと思うので、たくさんのことを聞きたいと思いますし、見て盗んでいきたいですね。また、自分のプレースタイルと真逆のところに身を置き、選手としての幅を広げたいという思いも理由の一つです。今の順位に関係なく、「サッカー選手として長く活躍したい」、「日本代表に入りたい」と考えた時に、グランパスなら成長できると感じました。そういった部分で、ここには優れた選手がたくさんいるので、できる限り吸収していきたいです。同時に、このチームの中で一つ違う存在として、キーマンになることを意識してやっていきたいですね。もし出させてもらえる機会があれば、「自分が勝ち点をもたらす」という気持ちで試合に出て、結果にこだわっていきたいです。出るからには絶対にアシストを記録したい、ゴールにつながる直接的なプレーでチームに貢献したいという思いがあります。


選手としての特長を教えてください。

相馬 一番見てほしいところは、1対1の突破やスピードを生かしたドリブルです。自分のストロングポイントなので、Jリーグに入っても絶対に誰にも負けたくない思いがありますね。もう一つはキック精度やアシストの部分です。関東大学サッカーリーグのアシストランキングでトップになり、自信をつけているポイントです。


アシスト数にはこだわりがあるのでしょうか?

相馬 そうですね。得点とアシストは結果として数字に表れるのですが、得点を取れない、という課題が自分の中にありました。それならばアシストで結果を残そうと。実際に試合内容が良くても勝つことができなければ意味がないですし、評価される部分も最終的には結果だと思っています。ですから、数字へのこだわりは強いです。今年はアシストの歴代最多記録を塗り替えることを目標に設定しています。今は「8」なので、前期終了までには二桁に乗せたいですね。後期に8アシストして、歴代最多記録を更新したいと考えています。


数字にこだわるようになったきっかけはありましたか?

相馬 2年生の時に、1部から2部に降格してしまったんです。試合中にいいプレーを出せても、結果的にそれが得点につながらないことが多く、降格という悔しい結果になってしまいました。その経験から結果が大切だと思うようになりましたね。サッカーは最終的に結果がすべてなので、個人の得点やアシストがチームの勝利につながると感じました。


得意なポジションを教えてください。

相馬 左サイドです。右サイドでプレーすることが多かったんですけど、今は左サイドでハマっている感覚があります。秋山さんとポジション争いをする可能性もありますし、秋山さんみたいにサイドバックでプレーすることもイメージしています。サイドバックをやることで、どういう動きをされたら嫌かも分かると思うので、多くのことを吸収できると思います。



早稲田大で過ごした期間で、一番成長したところはどこですか?

相馬 精神面ですね。大学1年生の時はやんちゃというか、悪く言うと自己中心的な感じでした。これまでの自分はうまくいかない時に、他の選手に要求することが多かったんです。自分にも目は向けていましたけど、人のせいにしていた部分もありました。古賀さんに出会って、3年間指導していただいた中で、人間性の大切さや自分と向き合う大切さを教わりました。古賀さんに言われていたところを自分で実感する機会があって、精神面は本当に変わったなと感じました。


その実感というのは?

相馬 今年の3月、全日本大学選抜に入ったことが大きな転機となりました。全日本でプレーした時は周りのレベルが高くて、みんなが僕の得意なプレーだけをやらせてくれるんです。ビルドアップになるべく関わらないようにサポートしてくれて、仕掛ける部分を任せてもらうような感じでした。そういう状況で、得意なプレーでうまくいかなかったら、ただただ自分の実力が足りないだけということになります。周りのみんなが他の全部をやってくれているわけですから、自分のところのミスを人のせいにする余地はないですよね。そこで自分に向き合う大切さというか、古賀さんに言われてきたことを実感して、大きく変わりました。周りの選手のせいにせず、すべてに対して自分のどこが悪かったかを考えるようになったところから、自分のプレーがグッと伸び始めるのを感じました。同時に結果もついてきたことで自信にもなり、試合中も常に自分のプレーに集中できるようになりました。


プレー面での成長についてはいかがですか?

相馬 自分は小学生の頃から12年間、三菱養和というクラブに所属していました。養和は個の特長を伸ばすことにフォーカスしているクラブで、大学でも長所を伸ばし続けることを意識してやっていました。でも、大学レベルになるとほぼプロに近い存在なので、やらないといけないことが増えたんです。やらないといけないことを練習でしっかり習得しつつ、練習後などの空いている時間を自分の長所を伸ばす時間にあてていました。スピードをさらに速くするトレーニングも始めていてますし、体の変化も大きいですね。コンディションはかなり上がっていると感じています。また、古賀さんを含め、いろいろな方のお世話になって意識が変わりましたね。古賀さんは“傾聴力”とよくおっしゃっていて、まずは聞くところから始めました。


一方で、ご自身の短所についてどう分析していますか?

相馬 最初は守備が苦手でした。ポジショニングも分からないし、アプローチの仕方も分からなかったんです。ただ、守備の部分は大学でたくさん習い、体の動きが良くなってからは自分でボールを奪いきれる機会が増えていきましたね。苦手としていた守備ですけど、今は守備をしている時間帯も楽しく感じています。ボールを取ることに対しても、ドリブルで相手を剥がすことと同じくらいの楽しさを感じています。


部の活動には、プレーするだけではなく、様々な役割や取り組みがあると思います。どのような経験をされましたか?

相馬 チームには主将、副主将、主に1年生を指導する新人監督、チームマネージャーという自チームの分析をする役割、対戦相手の分析をする役割などがあります。同時に、僕たちには社会貢献活動や、大学サッカーの注目度を高めるというミッションもあるので、広報や集客という役割もありました。広報の仕事には、SNSを最大限に利用して、早慶戦やリーグ戦で観客を集めることなどがあります。社会貢献活動としては、サッカースクールを開催したり、近くの保育園に行ってサッカー教室を実施したりしています。自分は分析の担当で、相手の特長を把握して伝えることが主な仕事です。この仕事はプレーにも生きていて、試合中に「今は下がったほうがいい」、「ここをたくさん使ったほうがいい」と考えながらプレーできるようになりましたね。秋山さんも分析の担当だったので、よく一緒にいた思い出があります。下級生に多く仕事を振りがちな先輩でしたけど(笑)。



来シーズンからはプロとしてのキャリアが始まります。プロ選手としてどのようなビジョンを持っていますか?

相馬 プロに入ることがゴールではないので、まずは試合に出て勝つことです。自分の武器はJ1でも通用するという自信を持っているので、それを生かして活躍したいです。目の前の大きな目標としては、東京五輪があります。オリンピックに対しても、選ばれることではなく、試合に出て活躍することに基準を置いています。そこから考えると、J1の舞台で圧倒的な力を示さないといけません。そこを意識して頑張っていきたいです。


グランパスでのプレーについて、どのようなイメージを持っていますか?

相馬 グランパスの練習に参加した時に、ショートパスで崩していく選手が多い一方で、自分からアタックする選手が少ないという印象がありました。チームに一人、自分みたいな存在がいることで、周りももっと生きるのではないかと思います。例えば自分がランニングすることで、味方にスペースができると思いますし、逆に相手が前掛かりになったところを狙って、自分が一瞬のスピードで背後を突くこともあると思います。練習に参加する中で、「フィットする」というイメージはできました。


特別指定選手承認が決まり、試合出場の可能性も出てきました。最後に、今後に向けた意気込みをお願いします。

相馬 選手生命というものは、変化を求めなくなったらそこで終わりだと思っています。中期的な目標を持ちつつ、どこを成長させていきたいか、自分の武器をどう増やすかを明確にして、日々目標を持ってやっていきたいです。チームに合流した時に、「あいつすごいな」、「絶対に必要だな」と思っていただける存在になれるように頑張っていきたいと思います。