プロ4年目を迎えたアカデミー出身の藤井陽也は
今シーズン途中で巡ってきたチャンスを生かしポジションをつかんだ。
これまで積み上げてきたものが間違っていなかったことを証明し、
試合を重ねるごとに頼もしさを増す加速度的な成長には目を見張るものがある。
大きな期待、そして“13番”を背負って、明るい未来へ進み続ける。
インタビュー・文=INSIDE GRAMPUS編集部
今シーズン、ここまでの個人の出来をどのように感じていますか?
藤井 最初の頃と比べるとできることが多くなってきて、自信を持ちながらプレーできています。試合に出場するたびに課題が出てくるので充実感はすごくありますが、まだまだ満足はしていません。
開幕前を振り返ると、「今シーズンに懸ける想いはすごく強い」と話す姿が印象的でした。
藤井 毎年勝負だと思ってここまでやってきましたけど、今年はよりその気持ちが強かったです。監督が替わり、主力だったキム ミンテ選手や木本(恭生)選手が移籍したことに加え、序盤は丸山(祐市)選手がけがをしていたためセンターバックの人数が少なく、チャンスがあるのは明確でしたから。プレシーズン期間は開幕スタメンを目指して取り組んでいて、キャンプもすごくいい感じでやれていたんですけど、開幕戦での出場は叶いませんでした。そこからは「チャンスが来たらポジションをつかんでやる」という気持ちで過ごしていました。
その思いどおり、チアゴ選手のけがやシステム変更で巡ってきたチャンスをがっちりとつかみました。
藤井 プロになってからの3年間でも何回かそういったチャンスはありましたが、モノにすることができませんでした。「ここを逃したらもう次はない」と思っていたので、今回はしっかりとチャンスを生かせて良かったと思います。
これまでの3年を振り返ると、手応えを感じつつもなかなかチャンスが巡ってこないもどかしさがあったのでは?
藤井 そうですね。1年目、最初の半年くらいはメンバーにも入れない状態でしたけど、チャンスをもらった時に自分のプレーをしっかりと出せて、数試合はスタメンで出られていました。でも、そこから監督交代もあり、出続けることができませんでした。1年目である程度「やれる」という自信を得た中で、2年目の出場はほぼ「0」で……。「出られればやれる」という自信はあったので、すごくもどかしかったです。3年目も似たような状況でしたけど、天皇杯やACL(AFCチャンピオンズリーグ)でチャンスをもらって、できることもあれば、継続して使われない理由もあって、“あと一歩”というところが大きいと感じていました。出られない時にどうするかを常に考えていたことが今につながっているのかなと思います。
あと一歩、出られない時にどうするかを考えながらどういったことに取り組んでいたのでしょうか?
藤井 一番は体を大きくすることですね。1年目や2年目はめちゃくちゃ細かったので(苦笑)。食事とトレーニングのサイクルを毎日毎日繰り返して、常になにかを食べて、常に筋トレをしていた2年間でした。
屈強な外国籍選手にも負けない強さを見せ、取り組んできたことの成果を感じているのでは?
藤井 そうですね。筋トレもそうですけど、足を速くするトレーニングにも取り組んだので、身体能力の勝負で勝てるようになったことを実感しています。まだまだですけど、外国籍選手に対しても自分の強みが通用するというのは積み重ねてきた成果だと思います。より高みを目指して、満足せずにもっともっとやらなければいけないと思っています。
強みが通用するという自信を得られたことで、メンタル面での変化もありそうですね。
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