リーグ戦21試合を終え、19試合に出場した森下龍矢選手にインタビューを実施。長谷川健太監督を新指揮官に迎えた中で、新型コロナウイルスなどの影響でチーム作りが思いどおりにいかないまま船出となった今シーズン。好不調の波があり、フォーメーション変更もしながら乗り切った前半戦をどのような想いで闘っていたのか。そして、逆襲に向けて意気込みを語ってもらった。
インタビュー・文=INSIDE GRAMPUS編集部
今シーズンここまでを振り返っていかがですか?
森下 チームとして新しいことに取り組んでいるというのが大前提としてあって、新しいことを始めるからには課題が出てきます。それは伸び代だと思いますけど、チームが苦しくなったり、逆にいきなり良くなったりと浮き沈みは絶対にあるもので、まさしくそういうシーズンになっていると思います。ただ、やっていることの方向やプレーしている時の前向きな気持ちは絶対にいいものだと思うし、僕自身はやっていてすごく楽しいです。これを突き詰めて、名古屋のサッカー、長谷川サッカーを完成させたいですね。いや、完成と言ってしまうとゴールがあるみたいで嫌なので、より良いものにブラッシュアップしていきたいです。
新しいサッカーに取り組んでいく中で、プレシーズンキャンプでは新型コロナウイルスの影響で活動休止期間がありました。当時は「問題ない」という声が挙がっていましたが、改めて振り返ってみるといかがですか?
森下 もちろん客観的に見て問題があるかないかと言ったらそれは問題ありますよね。でも、選手目線で見ると、そういうことに左右されないことが一番大事というか、そういうふうに自分を仕向けるのも選手として大事な力だと思います。今振り返っても充実したキャンプだったと思いますが、もちろん日程的にも充実するのが一番良かったと思います。ただ、そういったことに屈することなく、短い時間でもやってやろうというポジティブな姿勢を選手一人ひとりが出せたと思っているので、良かったのかなと思います。
チームトレーニングができない中でもコミュニケーションを取る機会が増えたという話もありました。
森下 キャンプはコミュニケーションを取る場所だと思っています。コロナという波が一つ来たことで、新加入選手と昨年からいる選手がよりうまく混じり合えたというか、波を一緒に超えたからこそ、みんなが一つになっていったのかなと思います。
具体的にはどんな会話をしていたのでしょうか?
森下 当たり前ですがほとんどがサッカーの話で、例えば守備にいく時に僕が行っていいのか、前の選手が最初に行くべきなのかとか。いろいろな話し合いがある中で本当に細かいところを選手一人ひとりが作り上げていくことができていたかなと思います。大枠は監督を含めスタッフの方々がすばらしい提示をしてくれている中で、細かいところは選手一人ひとりがすり合わせて詰めていく必要があると思いますが、その細かいところをピッチ外でも話し合う機会がたくさんあったかなと思います。もちろんピッチの中でタイムリーに話し合うのが一番大事だと思っているので、試合や練習ができたほうが良かったというのは事実だとは思いますけど、制限された中でもちょっとでも時間があれば選手たちで話し合うという姿勢があったからこそ、初戦の(ヴィッセル)神戸戦で勝つことができたのかなと思っています。
長谷川(健太)監督は就任会見で「2021年までは飛び出しからの得点が少ない」、「裏を取る動きをしてもそこを使うパスが出てこないからその動き自体も少なくなって外回しの攻撃が多くなる」という話をされていました。
森下 やっている時は必死なのでなかなかできないこともありますけど、シンプルに去年は守備を重視した闘い方だったということで、「自分たちから前にいこう」というのはなかなかなかったのかなと思います。健太さんが来て「自分たちからアクションを起こして攻撃していこう」ということを目指していて、まだまだぎこちないし伸びしろはたくさんありますけど、自分たちからやれている、やろうとしていることが一番の価値だと思います。そこさえ良くなればグランパスはもっと上を目指せると思いますし、上を目指したいと思っています。
シーズン序盤は長谷川監督が目指すサッカーを体現するために裏を狙っている選手を使うことや各場面での速さを強調したトレーニングが多かった印象です。そういった中で感じていたことは?
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