この4月、多くの“フレッシャーズ”が社会人としての歩みを始めました。『INSIDE GRAMPUS』では恒例の連載企画『俺たちの1年目』を今年も実施。第二弾となる今回は2012年にプロサッカー選手としてのキャリアをスタートさせた阿部浩之選手にインタビューを行いました。
インタビュー・文=INSIDE GRAMPUS編集部、写真=J.LEAGUE
2012年に関西学院大学を卒業後、ガンバ大阪へ加入されました。複数のJクラブからオファーがあった中で、G大阪を選んだ理由は?
阿部 大学時代の自分のプレーや力量を考えた時、足りない部分を一番補えるクラブかなと思ったので、あえて競争が厳しいガンバへの加入を決めました。
大学4年時には関西学生サッカーリーグで得点王になり、MVPを獲得。全日本大学選抜やU-21日本代表にも選出されています。大卒の即戦力としてプロの世界でやっていく自信はありましたか?
阿部 自信は少なからずありましたが、当時のガンバは常に優勝争いをしているようなレベルの高いチームだったので、すぐに試合に出られるとは思っていなかったです。もっとレベルアップしないとプロの世界でやっていくのは厳しいかもしれないな、と。すぐにレギュラーや結果と求めるよりも、自分自身のこれからの成長を見据えてガンバというクラブを選んだ記憶がありますね。
大学時代にガンバの練習に参加したそうですが、何か違いを感じましたか?
阿部 実はその前の高校時代にヴィッセル神戸の練習に参加したことがあって、その時の衝撃はハンパなかったです。「これは無理や」とめっちゃ思いましたから。
無理だと感じたところは?
阿部 もう全部ですね。パワー、スピード以外にもハードワークといった頑張るメンタルも含めて全部。当時の神戸には日本代表の大久保嘉人さんがいて、もうバリバリでしたし、「この人、めちゃくちゃすごい」って強烈なインパクトを受けました。一番うまいのに一番必死で練習しているし。これがプロの世界で、これが本物のプロ選手かって。でも、高校時代にプロの練習に参加して、それを体感できて本当に良かったと思っています。そこでプロの基準を感じ取り、「あのレベルでプレーできるようになれば、絶対にプロでも通用するんや」と思ったし、それからめっちゃ練習するようになりましたから。大学時代にはガンバ以外にもいくつかのJクラブの練習に参加しました。その時は自分も成長していたので、ある程度は通用するなと感じる部分があったり、まだまだやなと思える部分もあったり、長所も短所もどっちもレベルアップできるように一生懸命練習したのを覚えていますね。
加入した2012シーズンのガンバのメンバーで、印象的だった選手、衝撃を受けた選手はいましたか?
阿部 (当時のメンバーリストを見ながら)いやー、イカついメンバーがそろっていましたね(笑)。やっぱりフタさん(二川孝広/現FCティアモ枚方)かな。ヤットさん(遠藤保仁/現ジュビロ磐田)、家長(昭博)くん(現川崎フロンターレ)もすごかったし、自分のポジションが前のほうだったから、前線の選手ばっかりを見ていましたが、すごい選手ばかりでした。個々に特長があって、一人ひとりが本当にうまかったです。
そんなレベルの高いメンバーの中で危機感を覚えたこともあったのでは?
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