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2021JリーグYBCルヴァンカップ 決勝 C大阪戦 前日監督会見

2910月
10月29日(金)、チームは埼玉スタジアム2002でトレーニングを実施。練習終了後、30日(土)に行われる2021JリーグYBCルヴァンカップ決勝のセレッソ大阪戦に向けて、マッシモ フィッカデンティ監督が前日会見に登壇しました。

マッシモ フィッカデンティ監督


ーこれまで何度も大事な試合を経験してきたと思います。大舞台の前日、特に大切にしていることがあれば教えてください。

私のキャリアのためにどうというより、名古屋グランパスというチームにとって、本当に久しぶりにこういったすごく価値の高い大会のファイナルに挑めるのはすごく大事なことです。そういった試合をやるんだという位置づけで、今晩を過ごして明日を迎えたいと思います。


ー27日の天皇杯準々決勝ではC大阪に敗れました。ルヴァンカップに向けて、どのような対策を考えているのでしょうか?

どのような過程で明日を迎えるのか、これだけ大変な日程の中でやってきたなど、いろいろあると思います。逆にそれだけの犠牲を払ってきた上で、こういった戦いの舞台に立てることを考えると、明日は先日の天皇杯から何人かの選手を変えるかもしれませんが、あらゆる言い訳をなしに、それだけのものをなかなか闘うことができないんだと、そういった機会は頻繁に訪れるものではないと頭に入れた上で、出せるものをすべて出すんだと。試合にどうアプローチするかというところからが、試合の勝敗を分けると思います。そういった形で選手たちをグラウンドに送り込みたいと思います。


ー明日の決勝戦は収容人数が上限20,000人で行われます。会場に来ることができないファミリーに向けて、意気込みをお願いします。

この2年間、そういった部分(収容制限)がすごく残念だなと。スタジアムで全員と一緒に闘えないのは残念だと思っていました。それは繰り返し述べてきたことです。明日スタジアムに来れない方にというより、どんな形であれグランパスを応援してくださっている方の気持ちは届いていますので、皆さんと一緒に闘って、皆さんと一緒に喜びたい。そういった結果になるように全力を尽くしたいと思います。


ー公開練習を見たところ、できる限りの選択肢を持ってきたと思います。采配にも幅を持っているのでしょうか?

ご覧になられたとおり、手術というレベルの処置をした丸山(祐市)、米本(拓司)、阿部(浩之)。最近で試合に出ていたのは米本になりますけど、この3人が欠けているだけで、あとは全員が試合に出られる状態です。全員に来てもらった上で、試合直前にメンバーを決めたいと思います。


ーC大阪は天皇杯との対戦時と比べて、メンバーを大きく変えてくることも予想されます。天皇杯のチームとは別のものとして準備したのか、それとも同じようなところから準備を進めたのでしょうか?

先ほどと回答がほとんど同じになってしまいますけど、ACLに向けて13日に出発してから今日の29日まで、これだけの犠牲を払ってきて、明日それをやってきた価値があるんだということを自分たち自身で証明し、いい終わり方をすることが大事です。相手がどうこうより、どれだけ自分たちの力を出しきれるかというところに、選手たちにも神経を使ってもらいたいです。私自身もそういった準備の仕方を徹底して、この2日間をやってきました。


ーチームが苦戦を強いられていた約2年前に監督に就任し、今回はそこから着実に力をつけてきてつかんだチャンスだと思います。監督としてどのような思いを持って試合に臨みますか?

「2年間」とわたしも最近よくインタビューで口にしますけど、振り返ると本当に大変だったなと。すごく難しい状況の中から、あらゆるものを変える必要があると、グランパスに来た瞬間思いました。グランパスの周りを囲む環境や感覚がすごく残念で、もったいないなとか、おもしろくないという雰囲気に満ちている状態でした。まずはその空気を変えて、いろいろなものを変えていく。そして結果を出しながら、それをやらなければいけないところから作業を始めました。去年1年目に、ACL出場権を獲得するという結果を出しました。それは私が結果を出したということではなく、グランパスというチームがそのようなチームに変わることができたということです。その中で2年目を迎えて、ACLに出場し、韓国で敗退してしまいましたけど、その浦項(スティーラーズ)はファイナルに行っているので、そういった強いチームと対戦するまではしっかり勝ち続けたと言えると思います。天皇杯ではセレッソ大阪に敗れてしまいましたけど、準々決勝まで進むことができました。そして明日はルヴァンカップのファイナルがあります。リーグ戦もACL出場権を争える位置にいます。そういった取り組みが、結果として残るものと共にそういった1年を過ごしたということで、皆さんの印象にも残ると思います。すべては明日の試合に勝つことで、いろいろな方向にいいものがつながっていくとわかっています。逆に負けてしまったら、瞬間的にすごく大きな失望があると思います。ただ、そういった部分の失望は、降格などとの失望とは全く違った種類だと見分ける必要があります。前もって負けた時の話をしてもしょうがないですが、そういった舞台にチャレンジするところまでこないと、そういった失望感は味わえません。しっかりと勝って喜ぶこと。ここまでこれたことを誇りに思って、選手たちには闘ってもらいたいと思います。


ーこの2年間は本当に大変だったと思います。監督がチームの変化を感じた試合やエピソードがあれば聞かせてください。

結果にこだわってやるという中、一つひとつの結果。ここまできたんだとはっきりと、我々自身が手応え、肌感覚でチームとして良くなっている、プレーの質が変わってきたとかではなく、数字をしっかりと残してきました。ACL出場などのエピソードがポイントだと思います。去年の最終節、(サンフレッチェ)広島戦にしっかりと勝ったことで、3位を確定させてACL出場を決めたこと。私なりの表現で言うと、ただおいしいケーキを作っただけではなく、そこにサクランボも乗せることができたと。形として見栄えもすごくいいものに仕上げた上で、1年を終えられた。そしてグランパスが国際大会に戻るものを自分たちで勝ち取ったわけです。そういった中、何年か続いていた下を争うようなところから、今年はACLを闘うなどそういったシーズンを迎えている。その幕開けが去年の広島戦だったと思うので、そこはまず一つのポイントだったと思います。今年はそういった戦いをしながら、より多くの大会をやりながらも、今回はルヴァンカップのファイナルにいくことができた。タイトルの匂いがするところまできているのも、私としては決勝進出がまた一つ大きなエピソードとして残るのかなと。そのエピソードがいい形で終われるようにしたいです。


ー就任した当時からチームが一番変わったこと、またはチームに一番植え付けてきたことはなんですか?

特にどこが変わったかという質問に対して、全く逆の答えになってしまいますけどすべてだと思います。すべてを変えなければいけないほど、グランパスがそういった状況にあったのかなと。幸いにも2019シーズンの残り何試合で、そこで残留を勝ち取らなければ状況でグランパスから声を掛けていただきました。その残り試合で闘い残留を決めることができました。2018年にグランパスがJ1に戻ってきて、最終節の試合を自分たちの結果次第では残留を確定できない状態で終わったと思います。グランパスの試合が終わり、試合会場の瑞穂スタジアムで他会場の結果を待っている時、川崎(フロンターレ)対(ジュビロ)磐田の状況が変わって、少し時間が経ってからニュースが入ってきて、みんなでお祝いして、残留を確定させた。そこから、2019シーズンも同じように下を争うのかなと。そういった雰囲気の中、「グランパスはこんなはずではないのに」という空気がありながらも、実際に来てみるとすべてを変えていかないと、新しいサイクルを始めることができないなと。ずっとこれの繰り返しだなと思うところから、私はこのチームの作業を基礎、基盤から作り直さなければいけないなと。そういうふうに感じたところから手を付けられました。すごく短い時間で私が一人で結果を出したわけではなく、どういったビジョンを持って、「こういうやり方をして、グランパスが本来いる場所に戻りましょう」と。社長をはじめ、「本当に同じ感覚でそのとおりやっていきましょう」、「私たち全員がマッシモのことを支えるから」と。そういった空気を作ってくれたので、この短期間でクラブとして結果を出したというより、タイトルを争える位置まで上げてこれたと思います。本来いるべきところはもっと上だと思うので、こういった作業を続けていかなければいけないと思っています。