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明治安田生命J1リーグ第32節 FC東京戦 前日監督会見

219月
9月21日(火)、チームはトヨタスポーツセンターで非公開トレーニングを実施。練習終了後、22日(水)に行われる明治安田生命J1リーグ第32節のFC東京戦に向けて、マッシモ フィッカデンティ監督がオンラインでの記者会見を行いました。

マッシモ フィッカデンティ監督

 

ー現在のチーム状況は「好調」という言葉では表せないほどいいと思います。このような状況にあるチームをより良くしていくために、マネジメントの部分で気にすることはありますか?

チームがうまく回っているということは、どちらに転ぶかわからないさまざまな要素が今はいい方向に動いている、そういったチーム状況にあることを全員が理解しています。その中でそれぞれの役割や立ち位置などがありますけど、全員がチームのためにということを考えています。時間があると、あーだこーだと必要以上に議論しがちなものですが、ここはこうなんだと1本線引きすると足並みがそろう。一人ひとりがどのようにしたいかではなく、チームとしてこうやるべきなんだと。私の役割はすべてをはっきりさせること。選手の協力もありチームとしてひとつになれています。

 

ーここ最近はセットプレーでの得点が増えています。セットプレーの練習量を増やしているのか、またはなにか変化をつけられるようになったのでしょうか?

セットプレーで点を取ることに関しては、そこで点を取れるんだという可能性をどれだけ信じられるかだと思います。逆に言うと、もっともっと練習をしても、入らない時は入りません。一概にこのようなやり方をしたから点が入っているというサッカーのマニュアルになるようなことをやっているわけではありません。そこに答えはないと思います。どれだけ信じられるかが運も味方して結果につながっているので、このままいってほしいなと思っています。もちろん、練習では毎回丁寧に取り組んでいます。

 

ー自身はACチェゼーナの監督時代、現FC東京の長友佑都選手を指導した経験があります。彼がFC東京に与える影響についてどのように感じていますか?

部分的に話すというより、彼と私の全体的なストーリーを振り返りながら、「結果的にこのようなものを与えられるんじゃないか」という答え方をさせてもらいます。2010年に彼がチームに加わった時、直前のワールドカップ、FC東京でのプレーを見て、私はイタリアでも十分にできる選手だと思った上でイタリアに来てもらいました。獲得した際の周りの反応を見ると、「なぜあの選手を獲得したんだ」、「本当にイタリアでできるのか」という疑いの目があったような雰囲気でした。結果、その後のキャリアを見ればわかると思いますけど、あれだけのすばらしいプレーをしてくれました。ヨーロッパの中で無名だった日本人のサイドバックを獲得することが、チェゼーナとして正しい選択だったと証明してくれました。その後、インテル・ミラノに移籍し、インテルの歴史の中でも強かった一つの時代をレギュラーとしてプレーしていました。さまざまな監督のもとでプレーし、海外でプレーした日本人選手の中でも一番の経歴を持っているでしょう。そんな彼がFC東京に加わるのは、彼が持っている世界で通用するクオリティー、あとは経験が大きなものになると思います。FC東京がどのようなチームかに関して、FC東京に対してどのような思い入れを持っているか。私自身もFC東京への愛情を変わらずに持っていますし、FC東京というチームが与えてくれたものに返したいという思えるものを、同じ感覚として彼も持っているのではないかなと。ただほかのチームに彼が加入したというより、あのFC東京にもう一度、愛情を持って受け入れられた彼がFC東京に与えたいものがどれだけあるかを考えると、敵としてはすごく怖いなという感覚があります。

 

ー長友選手が出場した先日の試合をチェックしたと思います。どのような印象を持ちましたか?

彼がどのような戦術を用いた戦い方を強いられても、左サイドバックというポジションで対応する能力、技術力も持っています。彼の良さは横浜FC戦でも見えたと考えています。グラウンドコンディションがすごく良かったわけではない中、しっかりとプレーできていました。左右どちらの足でも蹴れるという彼の特長も随所で見られたので、調子はすごくいいと見ています。

 

ー長友選手のようなすばらしい選手を擁する相手に対し、監督としてはその選手を抑える戦術をとるのか、それともその選手にボールが渡らないような戦術をとるのか、どのような考えでしょうか?

ご質問の意図はすごくよくわかりますが、サッカーに対しての見方が私と違うのかなと思います。ちょうどいいので、長友選手がイタリアでプレーしていた時から、一つ例に取るとACミランと対戦したらイブラヒモビッチ、パト、インザーギ、ロナウジーニョ、ロビーニョなどがいて、そういった選手一人ひとりを対策しなければいけないのかというと、もちろんそれぞれの良さを出させないことは大事ですけど、彼らもチームのベースに則ってプレーしている中、まずはチームの良さを出させないこと。個々の部分では対峙する選手についての知識を頭に入れておく必要がありますけど、チーム全体のやり方をそれぞれの相手で変えることは今までもやってきませんでした。どちらが上、下ではないですけど、世界的に名の知れた選手が対戦相手にいる中でも、私はそういった試合に対しての準備の仕方をしてこなかったので、今回もFC東京全体の良さを出させないように、しっかりと消すという対策をして挑みたいと思います。

 

ー「FC東京全体の良さ」とはどの部分だと考えていますか?

私がFC東京の監督に就任する前、毎回上位争いをしているより、「中位の常連」と言わざるをえない結果が続いていたと思います。ただ、残留について心配するような位置でもないと。そこから私が指導して、2年目には3位に入る結果を残しました。その後、その勢いのままというより、クラブとしていろいろと模索しながらやった中、今の長谷川健太監督が指導してからはトップ5に入るくらいの戦力的にも、やっている内容的にも、そこに入るのが当たり前のレベルのサッカーをずっとやってきて、うまくハマればトップを狙える戦力、内容もあると思います。ものすごく強いチームだと位置づけています。彼ら自身のカラーをしっかり出しながら、そこを徹底してやると。今やっているサッカーにふさわしいメンバーがそろっているので、手強い相手との対戦ですし、毎回FC東京と対戦する時にはそのような位置づけをして準備しています。

 

ーFC東京との対戦ではインテンシティーの高い激しい試合になる印象を持っています。ピッチ内での優位性を保つために、それ以外の部分でどこに気をつけて試合を進めたいと思っていますか?

お互いの特長というところで、ご質問いただいたようにインテンシティーの部分はどちらも譲らないと思います。それを大前提にお互いが「良いサッカー」だと言えることをグラウンドの中でやれた試合になるのか、それともお互いの潰し合いだけになってしまうのか。どちらも根本的にそういった方向(潰し合う)に向かうことをベースにサッカーをしているチームではないので、クオリティー高く見応えのある試合になることがお互いにとって理想で、FC東京側もそれを望んでいるのかなと。その中でどちらがうまさで上回れるかという勝負になることが大事ですし、そういった試合になってほしいと願っています。我々も今のタイミングでFC東京に勝つことで、リーグ戦の中での楽しみが残ります。ファミリーの皆さんのためにもそういった試合を見せられればと思います。