NGE

明治安田生命J1リーグ第30節 大分戦 前日監督会見

2711月

11月27日(金)、チームはトヨタスポーツセンターで非公開トレーニングを実施。練習終了後、28日(土)に行われる明治安田生命J1リーグ第30節の大分戦に向けて、マッシモ フィッカデンティ監督がオンラインでの記者会見を行いました。


マッシモ フィッカデンティ監督


ー今シーズンも残り4試合になりました。選手たちにはどのようなメンタルで試合に臨んでもらいたいですか?

シーズンをとおして結果を出さなければ、このような順位に位置できていないと思います。メンタル面に関してはチームが強くなるため、結果を出すために、どのようなプレー、どのような戦い方、どのような戦術をするかということ。メンタル面での充実がなければ、ここまでの結果が出ていないと思います。残り4試合に向けて、メンタルの部分では今までチームに備わっていなかったなにかを求めるより、「ここまでの結果を出せたチームだから、その部分(メンタル面)については心配していない」というのが正直な感想です。残り約1カ月、気を緩めずにやっていこうと。「そういった声掛けがチームにとってふさわしい」と言っていいくらい、メンタル面はすでに充実していると思います。


ー上位争いを繰り広げている中、ご自身はどのような心境なのでしょうか?

一言で答えると、自信しかないです。それがどういった意味なのかは、そういうふうに過ごしているから自信満々でやっていけます。現場でチームとして活動しているスタッフ、選手がどれだけサッカーに集中できるか。サッカー以外のところでもこなさなければいけない役割があります。今シーズンは難しい年ですので、そういった部分の負担を少なくした状態にして、サッカーに集中することが例年以上に簡単ではありません。しかし、なるべくそういった環境を作ってくれるサポート体制がありますし、このチームは勝つための雰囲気作りにも取り組めています。私自身も同じことが言えます。今は自信がみなぎっている状態で、「残り4試合を全部やってやろうじゃないか」という心境です。


ーチームは攻守両面でうまくいっていると思います。攻撃面でより求めたいことは?

選手に求めていいレベルは、ものすごく高いものがあると思います。それだけの素材が集まったチームだと思っていますから。「今はこのようなことができている。さらにこのようなことができたらいい」というより、対戦相手に合わせてどのようなことをやるべきか。そこを間違えないことが私の役割でもあります。選手たちがあらゆることに対応していく能力を常に上げていくことも大事だと思います。具体的な部分というより、就任した時やシーズン最初から言っていますが、「なんでもできるようにやっていこう」と。これだけできたらどこにも負けないというサッカーはありません。対策されたら、さらにその上をいかなければいけません。そういった貪欲さを常に持ち続けてもらいたいです。気持ちのレベルを落とさないでもらいたいということを求めています。


ー大分戦に臨むにあたって、気をつけたいことや選手たちに伝えたいことは?

今週はチームがこういう雰囲気だから、特別に盛り上がっているということはありません。私は選手たちを信じているので、今週もある意味淡々と、いつもどおりのやり方、試合に向けてのアプローチの仕方をしっかりやったという感覚です。相手をしっかりと分析し、それに対して自分たちがどういった部分で上回れる可能性があるのか。それを全員が理解し、グラウンドでどう表現できるか。みんなが統一して理解しています。いつもどおりの手順を踏んで準備できたと思いますので、今週も必ずいいゲームができると思います。


ー前節の湘南戦では完璧な守備ができていた中、セットプレーからの失点がもったいなかったように感じました。

どういったチーム同士が対戦しても、全くもって隙がないということはサッカーの世界ではありえません。そういう部分をなるべく減らすこと、相手の狙いを理解してシャットアウトすることなどのぶつけ合いだと思います。湘南戦でも、おっしゃるとおりもったいない失点だったなと。セットプレーに関しては、ほかのシーンではしっかりと全部対応していましたので。あんなに高い打点でヘディングされ、それが当たってもう一度戻ってきてしまうのは、なにか狙いがあって戻ったわけではなく、運という面も少しあると思います。ただその中で、あのシーンでなにもできなかったのかと。次回以降で繰り返さないために、相手が蹴る前になにかできたのではないかなど、あえて自分たちに問い詰める作業を今週もやってきました。「もったいなかったね」で終わるのではなく、これを機に「さらに強くなろう」と。失点に関してはそのように位置づけています。


ー30試合を終えて、クリーンシートが13試合あります。優勝を決めた川崎Fよりも多い数字ですが、この事実をどのように受け止めていますか?

今何位なのかということにつなげるために、いろいろな数字は関わってきます。一番大事にしているのは、今何位なのかということ。そういった目標にたどり着くために、常に意識していかなければいけない数字として失点数、得点数、得失点差があると思います。無失点の試合が13試合という質問をいただきましたが、私の答えとしてトータルの失点数は川崎Fに次いで2番目ですし、得点数も真ん中より上です。ゴールの取り方、ゴールを取らせないことがいい形ができるかは、どういったチームを作っていくかという過程の中に入っていました。それらは当初から口にしていた部分です。実際に実現できて、順位にも反映されています。選手たちもそういう取り組み方をして正しかったと自信を持ってもらえると思います。


ーチームの対応力が上がっていることについて、試合前には詳細な分析やスカウティングが欠かせないと思います。コーチ陣や裏方にいるスタッフの貢献も大きいと思いますが、ご自身はどのように感じていますか?

スタッフ陣から選手にいろいろな物事を伝えていく時、監督がいて、監督の側にアシスタントがいるように、だんだんと人数が広がっていきます。我々テクニカルスタッフの意思統一ができないといけないですし、監督一人が物事を伝えていくわけではないのがサッカーの世界です。スタッフチームの意思統一ができていて、一体感があり、すごく強い頼もしさを感じます。サッカーのチームを作る上で、どのようなサッカーをやりたいのか、どんなメンタルを持って闘う集団にしていかなければいけないのか。それらが頭の中に入っていないと、ただ「このことを伝えてきてくれ」と、誰かを送り込んで選手と話をしてもらっても、本来伝わるべき形で伝わるのかという心配も出てきます。そういった部分でも私がどんな方向にチームを導いていきたいのかということを、一緒に作業しているスタッフ全員が共通の理解をしてくれていると思います。そういった強さは結果にも表れていると感じています。


そういった括りでいうと、どの部分が素晴らしいというより、そこが素晴らしいからうまくいっているという捉えられ方をされたくないです。そういった角度から話すとしたら、なによりも名古屋グランパスというクラブが本気で勝てるチームを作ろうとして、全員の取り組んでいることが結果に表れていると。質問いただいたのでテクニカルスタッフの部分に話を絞りましたが、私がこういう結果を出せているのは、小西(工己)社長をはじめクラブに関わる全員のおかげです。チームがサッカーに取り組みやすい環境を作ってくれ、私はグラウンドの中で試合のために動いている、関わっている人間をまとめることが仕事です。クラブが全体をしっかりとまとめてくださっています。具体例を挙げると、さまざまな制限がある中で常に多くの観客を集める努力をしてくださいました。そういった部分でこのチームが勝つためにできることを、それぞれがそれぞれの役割でやるべきなんだと。そこで全力を尽くすという取り組みがグランパスの中で当たり前になっています。そういったチームに名古屋グランパスはなれていると思います。この強さはたまたまではなく、今後も続いていくものになっていると思います。


ー月曜日の練習では山﨑凌吾選手が別メニューで走っていました。彼の状態はいかがでしょうか?

11月3日の鳥栖戦で負傷し、約25日が経過したところです。ケガの直後、山﨑に関してはどういうふうに復帰まで進んでいかなければいけないのか、痛みにどれだけ耐えられるのかという話をしました。痛みに耐えられるか、耐えられないかで大事になってくるのは、復帰するためのトレーニング強度をどれくらいまで上げていけるのか。痛みが伴ってしまうので上げられない、痛みを感じながらでもやっていけるという部分が大きかったです。徐々にではありますが、トレーニングをしていき、今週になって彼のできることが増えてきました。全力に近い状態でまっすぐの方向なら走れています。やれる項目が一気に増えてきました。そうするとトレーニングの効果もあり、体を使うことで、よりそのスピードが上がっていくことが起きています。うまくいけば来週の半ばくらいに全体合流できるかもしれない、というくらい復帰に向けて一気にスピードが上がっています。もしかしたらその次のゲームでは100パーセントのコンディションではなくても、ベンチ入って、何分か試合に出なければいけない状況があったら起用できる状態まで上げていくことにチャレンジしながら彼とやっていきたいと思います。


ーセリエAでも活躍したディエゴ・マラドーナ氏が他界されました。元サッカー選手としてどのようなことを感じましたか?

多くの方がどういう選手だったのか、どれだけ偉大なプレーヤーがお亡くなりになられたかに関して口にされていると思います。そういった角度から話をしても、同じことしか言えないと思います。もちろん、同じようなことを言っている方も、とても深い悲しみを感じたと思います。それだけ偉大な選手でしたので。ほかの方があまり言わないような彼の偉大さを言うとしたら、ファウルをした選手への処罰が今の時代とかなり違いましたので、彼がプレーしていた頃に今のルールを当てはめたら、対戦相手は毎回5、6人になっていたのではないかなと。命を奪う以外なら何をしてでもしょうがないというくらいでしたので。相当厳しい手を使って、彼をなんとか止めようとやられている中であの活躍でしたので、今あのような選手がいたらどうなってしまうのかなと。さまざまな時代をまたいで、現代のなになにと言われることがありますが、彼は唯一無二の存在と言っていいと思います。そのようなエピソードを言うことにより、最近サッカーを観始めた方も彼の偉大さを感じていただけるのかなと思います。


私の目線から話せるとしたら、マラドーナ選手がキャリアの中で輝いていた一つとしてイタリアのナポリでプレーした時を挙げられると思います。どの時代でも、その時代のトップをいくスーパースターがいます。いろいろな意見があると思いますけど、代表的な選手として(リオネル)メッシ(FCバルセロナ)選手やクリスティアーノ・ロナウド(ユヴェントスFC)選手が挙げられます。私もその(マラドーナ選手と同じ)時代にサッカーをやっていましたので、これだけ守られている中であの活躍をしているのか、止めるためだったらなにをやってもいい、誰が彼を止められるんだとムキになっていましたし、そういう環境の中でサッカーをやらされていました。


悪質なプレーをされたことに対し、マラドーナ選手が腹を立ててやり返した映像はそこまで残っていないと思います。それだけ、なにをしても止められなかったという部分もあったと思います。その時代、周りはどうだったかというと、マラドーナ選手しかいなかったわけではなく、ACミランに(マルコ)ファン・バステン選手や(ルート)フーリット選手がいたり、ユベントスには(ミシェル)プラティニ選手がいたり、日本でもプレーしたカレカ選手がナポリにいたり。イタリアのサッカーはトップな選手が世界中から集っている環境の中、(マラドーナ選手は)ぶっちぎりの王さまのような存在であったということもあります。世界中が悲しんでいる中、イタリア国民にとってマラドーナ選手のイメージは突き抜けたものがあります。私の母国でも多くの悲しみに暮れていると想像できます。