長谷川健太監督
ー以前、「いい内容、いい時間帯を作ることはできていますが、それをどう勝利に結びつけますか?」という質問をしました。そこに対しての監督の手応えはいかがでしょうか?
柏レイソル、鹿島アントラーズという今シーズンの上位に対して、自分たちの時間をしっかりと作れて、鹿島とのアウェイゲームでも前半はしっかりと手応えのある内容でできたと思います。柏戦は彼らが中2日で移動してきたということもあったと思いますが、前半にもう一本仕留めることができていればゲームが決まっていたと思います。あとは結果にどう結び付けていくかの作業だと考えています。逆にそこを結びつけていかないと、ズルズルとという形になってしまうと思います。ただ、まずは内容が向上しないと結果もついてこないと思いますし、試合の再現性という意味でも、試合内容が安定しないとコンスタントに勝点を稼ぐことにつながっていかないと思います。そういう意味では悔しい結果が続いていますが、当たり前ですが選手たちは本当に頑張ってというか、この状況をなんとか打開しようということで、一丸となって、団結してやってくれていると思っています。
数字を見れば明らかですが、後半の失点がJリーグの中で一番多いので、そこは改善しなければいけません。最近の試合では先制点を取れるようになってきて、それが勝利につながっていますし、前回の試合も先制することができたので、本来ならば勝ち切らなければいけない試合だったと思っています。ボックスの中に人がいるのに、セカンドボールを拾われてゴリゴリっと持っていかれるような失点が多いのは明らかです。ボックスの中に8人ぐらいいるけど、結局セカンドボールをクリアし切れずに、それを押し込まれたり、当たって入ってしまう失点が多い。清水(エスパルス)もそういうところでPKを5本取っているチームで、セカンドボールへの反応が非常に早いチームだと思います。選手たちには映像を見せて注意喚起をしていますし、そういった状況のなかでボールを掻き出すとか、ゴールを守るという作業をしなければいけません。人がいなくてやられているわけではないので、最後のところでなんとかシュートコースに入ると。前回の失点は相手が股抜きを狙ったわけではないと思いますが、結果的には2人の股の間を通ってブラインドになり、ダン(シュミット ダニエル)も抜かれているので、ああいうところのシュートブロックの仕方や寄せ方です。少し前は寄せ切れずにシュートが体に当たってゴール方向に飛ぶことも多かったので、そこを寄せることがゴール方向に飛ばせないことにつながっていきます。そういうことも言いつつ、シュートブロックの仕方ももう一度ディテールの部分にこだわってやっていこうと。あの状況は全くやられるような状況ではなかったので、本当にもったいない失点だったと思います。ああいう失点を減らしていくことが勝利につながっていくと思います。そこは「今は苦しい状況だけど、みんなでブレずにやっていこう」という話をして、選手たちも非常に前向きにトレーニングに取り組んでくれています。結果が出るまでやり続けるしかないのかなと思っています。
ーボックスの中に人がたくさんいるのに守り切れないというのは、弱気になってズルズル下がってしまっているのでしょうか? それとも相手のやり方によって下げられてしまっているのでしょうか?
そんなことはないと思います。前節は中山(克広)が相手のカウンターを止めて、自分でドリブルで上がっていったけど奪われて、それを展開されて差し込まれていますので、ズルズル下がったわけではないと思います。どのチームも最後の守る場面では人数が結構いたりするじゃないですか。選手にはCL(UEFAチャンピオンズリーグ)のインテルとバイエルン・ミュンヘンの試合を観せました。インテルはうちとは形が違いますけど3バックのチームです。ゴール前の対応で「このぐらい押し込まれる状況、差し込まれる状況があってもしっかり守っている」という映像を観せました。差し込まれたりとか、人数が余分にかかるというのは、4バックであろうが3バックであろうが、守るときはそれぐらい人数をかけて守る状況はあると思いますが、そこで掻き出し切れないというところだと思います。序盤戦で言うと、あまりにも軽く足を出してゴール方向にボールが飛んでいったり、寄せ切れていなかったり、スライディングしてしまったという場面がありました。そこでしっかりと寄せることで相手の攻撃を防ぐという形になっていくので、そういうことを一つずつ潰していかないといけないのかなと思っています。
ー鹿島戦や柏戦の前半は主導権を握って試合を支配する形を作れました。その要因についてはどう考えていますか?
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