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【インタビュー】加藤玄「俺がいる意味を証明するために」

203月

大学サッカーを1年早く切り上げてプロの世界に飛び込み、現役大学生ながら開幕スタメンでJ1デビューを飾った。加藤玄のプロキャリアのスタートは華々しいものになるかと思われたが、結果は60分で途中交代。チームも0−4で敗戦を喫した。その後は出場機会をつかめず、チームも6戦未勝利と苦しい時期を過ごしているが、それでも決して自信を失ったわけではない。「今僕にできること、僕にしかできないこと、違いをピッチの上で示すことが今の自分に必要」。チャンスが訪れたときにその力を証明するために、この想いを爆発させるために、野心を燃やし続けている。


インタビュー・文=INSIDE GRAMPUS編集部

あらためて、プロデビューを飾った川崎フロンターレとの開幕戦を振り返っていかがですか?

加藤 自分でもどう評価すればいいのかがなかなか分からないな、という感覚です。プレーしていたときの肌感としては意外とやれると思っていたし、それなりにうまくプレーできている感覚がありました。後半に入ってからも最初は押し込まれてなかなかボールを触れていなかったですが、ビルドアップで僕が3回に1回ぐらいボールを受けながら相手陣でボールを動かして、そこから相手の危険なエリアにボールが入って、もう少しで決定機というところまで持っていくことができました。そのとき、相手に「ちょっとヤバいかも」という空気が流れたように感じたので、「これはボールを握れるはず。ここからだな」と考えていたんですけど、その矢先での交代でした。そのときはめっちゃ悔しかった。でも、あらためて試合を何回も見直して、分析をしてもらっている方をはじめ、いろいろな人と一緒に映像を見るなかで、全然ダメだったことが分かりました。一つは、自分としてはうまくプレーしている感覚があったんですけど、客観的に見たら逃げて、ビビってプレーしているように見えたんです。ボールを受けようとしていなかったり、受ける努力を怠っていたり、球際になりそうなところでビビって下がってしまうようなシーンがいくつかありました。何でもっと強気にやらなかったんだろうと。褒められたプレーではなかったですね。


ピッチ上の自分と俯瞰で見た自分でギャップがあったと。

加藤 そうですね。そのどちらが正しい感覚なのかがまだ分からなくて。「いいぞ」と思いながらプレーしていても、やっぱりそうじゃない部分も絶対にあるなと。それは自分がピッチ上で強がっていただけかもしれないし、逆に自分自身の評価が厳しすぎてズレているだけかもしれない。そこはまだ分かっていませんが、57分で交代させられているので、力不足だったことに間違いはありません。


先ほど挙げた後半の頭のシーンのように、ボールに関与しながら前へ発信できた場面もいくつかあったと思います。そこを客観的に評価するといかがですか?

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