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2024JリーグYBCルヴァンカップ 決勝 新潟戦後 監督会見

211月
11月2日(土)、2024JリーグYBCルヴァンカップの決勝が行われました。名古屋グランパスは国立競技場でアルビレックス新潟と対戦し、3-3(5PK4)で勝利。試合終了後、長谷川健太監督が会見に臨みました。

長谷川健太監督


90分で勝たなければいけない試合だったと思います。新潟の優勝へ懸ける想いが、(後半終盤の)PKという判定になったと思います。延長戦でもう一度リードしましたが、後半に追いつかれてしまいました。今大会はこういうゲームがすごく多かったと思います。ベスト8の(サンフレッチェ)広島戦、準決勝の(横浜F・)マリノス戦もそうでしたが、簡単に勝ち上がることはできませんでした。「決勝戦も難しい展開になるだろうな」と覚悟をして臨みました。新潟、サポーターの初優勝へ懸ける想いが、同点弾につながりました。それでも、「ミッチ(ランゲラック)がいるから、PKになれば」とも思いながら戦況を見守っていました。4番目、5番目のキッカーを悩みましたが、「キャスパー(ユンカー)と山岸(祐也)が外したら仕方ない」ということで、彼らに託しました。期待通りのプレーをしてくれたと思います。雨の中、最後までグランパスファミリーの皆さんが熱い声援を送ってくれて、優勝が決まったあとに笑顔で喜んでもらえたことを幸せに思います。今日、試合に出られなかった選手の想いも全員が背負い、一緒に闘いました。苦しいシーズンでしたが、チームとして少しずつ積み上げ、素晴らしい選手たちに助けられたと思います。選手の気持ち、献身性が優勝という結果に結びついたのではないかなと。選手、クラブ関係者、グランパスファミリーに感謝したいです。ありがとうございました。


ー新潟がダニーロ ゴメス選手を投入して以降、グランパスの左サイドに問題が生じた印象です。どのように対処しましたか?

彼の左足を警戒するというのは、試合前から選手に話していました。先発で出てくるのかなと思っていましたが、相性の良さということもあり、太田(修介)選手を使ってきたのではないかなと。小野(裕二)選手、長谷川(元希)選手が落ちて、空いたスペースに太田選手、谷口(海斗)選手が出てくる作戦だったと思います。ダニーロ ゴメスが出てきたことによる“味変”、変わった部分にしっかり対応しようと話していたのですが、徳元(悠平)が疲労の溜まった足を気にしていたので、同点に追いつかれたら山中(亮輔)を入れて、延長も含めて点を取りにいこうと思っていました。ただ、残り1分で追いつかれてしまったので、延長でキャスパーと山中を入れようと。延長戦は「いってこい」の展開でしたから、ダニーロ ゴメスに多少やられてしまうのは仕方なく、逆にこちらがワンチャンスで取れればなと思っていました。延長戦はどちらが最後に刺せるか、という展開になったと思います。


ーリーグ戦で苦しい戦いが続くなか、今日の決勝戦に臨むにあたってチームに働きかけたことは?

10月はほぼほぼルヴァンに懸けていました。本来はそうであってはいけないんですが、ルヴァン重視で戦ってきました。準決勝後にけが人がいるなか、決勝に向けたコンディショニングを重視しながら選手を起用してきました。チームに迷惑を掛けてしまいましたが、何としてでもルヴァンのタイトルを獲らなければいけませんでした。選手たちも理解し、意図を感じて準備してくれていたと思います。河面(旺成)も野上(結貴)も、まだまだ本調子ではないものの、よくコンディションを戻してくれたと思います。いろいろな選手が「ルヴァンを獲るんだ」という気持ちを持っていたと思います。ミッチにとっては優勝が懸かった最後の試合になるので、クラブ、グランパスファミリーの想いも感じながら、しっかり準備してくれました。このチームには優勝経験者が8人もいるので、私が何かを言うことなく、それぞれがしっかり準備してくれました。


ー日本代表を率いる森保一監督が、長谷川監督のことを“勝負師”と表現していました。今日の試合で試された瞬間はありましたか?

全くないんじゃないですかね(笑)。6回目の決勝で3度の優勝ですから、5割の勝率です。勝負師であれば、8割ぐらいの勝率でないといけないと思います。今日も選手に勝たせてもらったと思っています。


ー両チーム熱い想いを持って臨んだ一戦でしたが、気持ち以外の部分で勝負を分けたポイントは?

山岸が苦手なPKを決めたことだと思います。5番目のキッカーは河面の予定だったんですが、あのコンディションのなかで最後までよく頑張ってくれたということで、山岸を繰り上げたんです。「大丈夫か」と聞いたら、一瞬の間があったあとに「いけます」と。外したら仕方ないと思いながら見ていましたが、キャスパーとともに決めてくれたことが勝敗を分けたポイントだったと思います。


ー3ゴールこそ奪われましたが、マンツーマンをベースにした守備で新潟に多くのチャンスを作らせませんでした。この大会のために構築してきた守備に手応えを感じているのでは?

昨年からやってきたことです。一番最初は川崎(フロンターレ)戦で、そのあとに日産でのマリノス戦でもやりました。ポイントでしか使ってこなかったシステムです。アウェイの新潟戦は3−5−2でやったのですが、点が取れずに負けていた時期で、いいかみ合わせではなかったと思います。対新潟という部分では、トップ下を置く形がハマるのではということで、9月の新潟戦で手応えを感じる結果になりました。リーグ戦3連勝というところで、チームも選手も手応えを感じ、準決勝のマリノス戦もこの形で勝ち上がることができました。今日は「外されたらやられるけど、覚悟を持ってやっていこう」と。前線からアグレッシブにいくことをどれだけやれるかがポイントになると思っていました。立ち上がりは外されるシーンもありましたけど、時間が経つごとに前の選手のエンジンがかかって、いい場所でボールを奪えるようになりました。そのいい時間帯で永井(謙佑)の得点が生まれたと思います。キャスパーやパトリックがうまくやれるかというと、それはまた別の問題になりますから、キャスパーが出たときに3−4−3に変えました。リーグ戦で何度かキャスパーにこの形を試したんですが、あまり機能せずにいい形を出すことができませんでした。本人とも話しをして、1トップ2シャドーのほうがやりやすいということで、試合に出場した場合は3−4−3に変える準備をしていました。本来は誰が出てもやれるようにしなくてはいけないのですが、時間がなくうまくやれなかったと。そういう意味で、今日は選手たちがうまくやってくれたと思っています。


ー永井選手の活躍が光りました。

永井は点を取ってノッたと思います。9月に月間MVPを取ったように、誰が見てもすごい活躍をしたと思っています。10月はいつもの永井に戻ってしまったところもありましたが、今日はいい時間帯に点を取り、攻守でスーパーな活躍をしてくれたと思います。交代するつもりはなかったんですが、本人が「つりそうです」と言っていたので交代をしました。素晴らしいプレーをしてくれたと思います。


ー3度目のルヴァンカップ優勝は、監督として史上最多となりました。今回の優勝の味を教えてください。

ミッチが全てだったんじゃないですか。後半、「PKを止めて劇的な形で終わるかな」と思ったんですが、延長戦、PKにもつれることになりました。私が選手として初めてナビスコカップを制したときはPK戦でした。ガンバ(大阪)で優勝したときはPK戦で負けていたので「今回はどうなるかな」と思っていましたが、「ミッチがやってくれるだろう」と。さすがの威圧感を見せてくれたと思います。ミッチだけでなく、選手たちが崩れずに闘ってくれたと思います。彼らがよく頑張ってくれた結果だと思います。