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【クラブ30周年レジェンドウィーク特別インタビュー連載2/4】増川隆洋さん

95月

5月14日(土)セレッソ大阪戦の試合前に行われるレジェンドマッチを前に、試合に出場するレジェンドOBにインタビューを実施。第2回の対象者はセンターバックとして守備を支え、2010年にリーグ優勝を経験した増川隆洋さん。現在の仕事やグランパスで過ごした9年間、レジェンドマッチへの意気込みを語ってもらった。


インタビュー・文=INSIDE GRAMPUS編集部、写真=J.LEAGUE


2021年2月17日に現役引退を発表されました。引退後から現在に至るまでの状況を教えてください。

増川 現役を引退する前の年から、福岡県で児童発達支援の事業を始めました。最近はサッカーの指導もお手伝い程度にやらせてもらっていますが、メインは児童発達支援の事業となります。


児童発達支援とはどういった取り組みなのでしょうか?

増川 軽度な発達障害を持った未就学児をサポートする事業です。脳科学を使ったカリキュラムを組みながら、養育という形で改善していく取り組みをしています。


現役引退を発表される前に事業を始めたとのことですが、児童発達支援に携わることになった経緯を教えてください。

増川 セカンドキャリアを考え、「なにかを始めたい」と考えていた時に知り合いに誘われたんです。もともと子どもが好きで「子どもに関わる仕事がしたい」と思っていたので、始めてみることにしました。


サッカーの指導についてお聞きします。ゆくゆくは指導の現場に深く関わっていきたいという思いがあるのでしょうか?

増川 そうですね。やはりサッカーが好きですから。現役を続けないことを決めた時点で、選手としてそこから上にいくことはないわけで、そうであれば自分の経験、持っているものを伝えて選手を育てられればいいなと。伝えるのはそこまでうまくないんですけどね(笑)。


指導している年代は?

増川 今は小学生を見ています。どの年代を教えるのが適しているのかは、これからわかってくるかなと思います。


指導を受ける立場と指導をする立場では、考え方が大きく異なるかと思います。

増川 とにかく伝えることの難しさを感じています。思っていることがパッと出てこなかったりしますから。プレーしている時は思ったとおりにやっていると思うんですけど、それを言葉にするのがすごく難しい。理解してもらうのに時間が掛かったり、思ったような結果にならなかったりするので。


指導する立場になったことで、現役時代に受けた指導を振り返る機会もあるかと思います。

増川 みんな、ちゃんと考えて言ってくれていたんだなと思います(笑)。現役としてプレーしている時は、指導者がどういう意図を持っているかを深く考えずにこなしているところもありました。今思うと、「こういうことを考えて言ってくれていたんだ」と感じることが多々あります。もっとちゃんと聞いておくべきだったなと思いますね(笑)。


小学生という年代では、「プロになりたい」という意志を持つ子どももいれば、「体を動かすためにサッカーをやってみよう」という理由でプレーしている子どももいます。目的意識が異なるという点でも、指導に難しさを感じるのでは?

増川 そうですね。確実に温度差はありますよね。一人ひとりに合わせたレベルでやるのか、それともある程度のレベルで統一すべきなのか。どういったレベルで接していくのかという点でも難しさを感じますね。


指導者にもさまざまなタイプがあるかと思います。現時点で、自身はどういったタイプだと感じていますか?

増川 まだ形ができていないと思います。今はシンプルに楽しくやれることが一番いいと思っていますね。もちろん、その中で大事なことは伝えていかなくてはいけないんですけど、まだまだ伝え方が馴染んできていないなと。これから、ですね。


ここからはグランパスでのお話を聞いていきます。2005年、グランパスに加入した経緯を教えてください。

増川 前年の2004年、アビスパ(福岡)で多くの試合に出場することができ、翌年もチームに残るつもりでオフシーズンを過ごしていた中、大学時代のコーチから「近いうちにオファーが来るよ」と言われたんです。その時はまだ、チーム名を明かされていませんでした。アビスパとは契約に関する話を始めていたタイミングだったので、GMの方に「オファーは来ていますか?」と聞くと「来ていない」と。その次の日ですね、「オファーが届いた」と連絡があったのは。そこでようやくオファーを出してくれたのが名古屋だとわかりました。


オファーを受けた時の心境は?

増川 すごく悩みました。僕自身、スムーズにプロ入りできたわけじゃなく、練習生としてアビスパが受け入れてくれたことでなんとかプロになれたんです。そういう経緯もあって、アビスパを出るつもりはありませんでした。ただ、いろいろな方に相談して「移籍してみてもいいんじゃないか」とアドバイスをもらい、僕自身も「トライしてみよう」という気持ちになりました。なんと言っても、オファーをくれたクラブが名古屋でしたからね。僕からしたら考えられないほどのビッグクラブです。そういった心情の変化もあり、移籍を決めました。


加入前のグランパスの印象は?

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