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明治安田生命J1リーグ第38節浦和戦後 監督会見

412月
12月4日(土)、明治安田生命J1リーグ第38節が行われました。名古屋グランパスは豊田スタジアムで浦和レッズと対戦し、0-0で引き分け。試合終了後、マッシモ フィッカデンティ監督がオンラインでの会見に臨みました。

マッシモ フィッカデンティ監督


私を含め選手も全員、残ったエネルギーを使いきるしかない難しい状態での試合でした。本当に難しい内容でした。(出られる選手の)駒が少ない中で、出場停止の長澤(和輝)のほかに、中谷(進之介)に関して今日は最初からプレーしてくれましたが、コンディションがギリギリまで試合に出られるかどうかという部分が実はありました。ただ、周りもそれをサポートしながら、チーム力で最後まで闘いきるグランパスらしさを見せられたと思います。

 

今日の試合も含め、この1年間、あるいは2年間継続して取り組んできたこのチームのシーズンが終わったという一区切りで振り返ると、本当に評価できるいい過ごし方、取り組み方をした2年間だったと思います。久しぶりにタイトルを獲れるところまできましたし、選手に対して、チームをどれだけ大事に背負えるかということを説いてきて、それが実を結んだ1年でした。参加したすべての大会で優勝も含めいい位置まで進みましたし、リーグ戦も中位ではなく、上位と言ってもいい順位で終えたと思っています。シーズンをとおして、とてもいい過ごし方ができたのではないでしょうか。

 

ー今日は相手に対応した試合の進め方をしていたように感じましたが、一番重要視していたのはどこだったのでしょうか?

中盤にケガや出場停止の選手がおり、交代の駒もないという状況で、相手が優位にならざるをえない中盤のところで、もう少し前へパワーを持って進めることができず受ける展開となり、どう受けるかという選択肢を取らざるを得ませんでした。試合の流れを変え、受けるのではなく押しきるということをメディアの皆さんはイメージされていたと思います。ただ、稲垣(祥)は今シーズンここまで闘い、疲労がここ最近の試合で試合中にも、時間が経つにつれ出てしまうところはありました。その中でメンバーを代え、中盤の選手を入れてという選択肢がない上でいろいろな形でやりくりをすること、そして選手自身も「本来ならこういうサッカーをやりたい」というものはあったと思いますが、最初に話したとおり、残っているエネルギーを使ってなんとかこの試合を乗りきろうということを全員が受け入れ、チームのために一生懸命闘ってくれたと思います。

 

ー後半、木本恭生選手をディフェンスラインへと下げ、サイドバックの選手に高い位置を取らせて前へ出ようとしていたようですが、どのような指示をされたのでしょうか?

グラウンドの中央の部分で相手に主導権を握られていたので、まずそこでしっかりと守るということ。そして真ん中で強さが足りない、前へと持ち上がるパワーが足りない状況で、両サイドバックの選手と両インサイドハーフの位置に攻撃的な選手を配置し、真ん中から攻められないのなら外から攻めるんだと。それをやるために今日できるのがあのような形でした。その意図を理解して、選手たちはチャンスを何度か作ってくれましたし、前半との変化をつけられたのではないでしょうか。

 

ー2年連続でリーグ戦を上位で終えましたが、ここから優勝争いに加わる、再びACL出場権を獲得するためにはなにが必要だとお考えでしょうか?

いろいろと記録的なシーンの積み上げがあるという上で、ベースとなるものをこの2年間で作ることができたと思います。それが2年続けて上位に行けた、たまたま上位だったと評価されるべきではないと思います。あとは、チームのオーナーの方々からも「より強いチームを作るための明確な今後の目標を持つ時期にあるのではないか」と評価されました。ではどうするのか。ここまでと同じことを続けたから次にいけるのではなく、より変化を加えチームをさらに更新していく作業をしなければ、ここから先は詰まってくると思っています。そういう変化を加える、自分のアイデアをクラブ側と話しています。具体的に言うと、「中盤の駒が足りないことが今日の試合に影響した」というようなことや、「こういう選択肢を持てばこういう戦い方を、柔軟性を持ってできたのではないか」など、実際にどうサッカーをするかを私の立場から話すべきだと思っています。あとは、それをどれだけできるか。クラブもこういうことができたらという考えはありますが、そういう部分でのチーム力もそれぞれで違いますし、あとはクラブがどれくらいやってくれるかということに期待しながら、私は現場でやっていきたいと思います。

 

ー来シーズンを考えた上で、今シーズンのこの部分を変えたいなど具体的な考えがあればお聞かせください。

まずサッカーというものは攻守どちらかを強化して、ほかは残したまま変える、というスポーツではありません。私がプロの監督をやっている以上は、部分的な箇所で答えることはあまりできるものではありませんし、そんなに単純なことではありません。全体的に強くなるためになにをして、個々の部分に結果としての強みを持ち続けたまま、より総合的な力をつける取り組みをサッカーではしなくてはいけません。

 

ー今シーズン、グランパスは公式戦55試合をこなしました。最後にこれだけの試合数を闘ったシーズンを振り返ってください。

どんな言葉を掛けても、どんな練習を準備しても、最後は選手たちがどう動くかでそれだけの試合数をこなせたと思っています。ケガからの復帰という意味では金崎(夢生)もだいぶ良くなってきて実際にプレーしていて、もう少し早く本調子になるかと思ってはいたのですが、シーズンの初めに1年をかけてコンディションを取り戻すシーズンになるかもしれないということを予測として話していました。計算に入れられる状態になるかと思っていたのですが、なかなか追いつかず、丸山(祐市)のケガも予期していなかったものです。阿部(浩之)や山﨑(凌吾)、米本(拓司)など何人かの選手も抜け、計算できなくなりました。想定していたより難しい状況となりながら、これだけの試合数を内容も伴いながらやりきったことは、選手たちが頑張ってくれた、ただそれだけです。さらにその先のことを考えると、(敗退せず)もうあと何試合かできたのではないかと批判されるような試合もあったかもしれませんが、そういう影響が出ても仕方ないくらいの試合数を、この日程の中で選手たちがやったことを理解してもらいたいなと。彼らは本当にベストを尽くし、足を動かしたくてももう動かないという試合も何試合かあったと思います。それを1年間、続けてくれた選手に本当に感謝したいと思います。