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【インタビュー】中谷進之介「もう一度あの舞台に立つために」

1711月

困難を乗り越えてつかんだ初の栄冠。

輝かしいタイトルは感謝と喜びという明るい光をもたらすと同時に

負けた悔しさの輪郭を色濃く映し出した。

手にした者にしかわからない“味”をもう一度堪能するため、

中谷進之介は“勝つしかない”闘いに向けて、先頭を走り続ける。


インタビュー・文=INSIDE GRAMPUS編集部


ー改めて、JリーグYBCルヴァンカップ優勝おめでとうございます。初めてタイトルを手にした感想を聞かせてください。

中谷 やっぱり決勝の舞台はすごくいいものでした。今、グランパスに在籍している選手は全員が名古屋グランパスの選手として初めての決勝だったので、そういう意味で勝ちきるのは難しいかなと思っていましたが、その中でも地に足を着けてというか、グランパスらしいサッカーをして勝てたのはすごく大きいと思います。僕個人としてもああいった舞台で勝てたことは大きな自信になりました。


ー中谷選手は個人としての取り組みも含めて、ファミリーとのつながりを大事にしている選手の1人だと思います。

中谷 僕がグランパスに来た2018年は、クラブとして観客を増やしていこうという取り組みの結果が出ているタイミングでした。いろいろな企画をやって人を巻き込んでいこうというのがすごく新鮮で、そういうところからもファミリーの方たちの力の大きさを感じていました。ただ、成績を見ると2年連続で残留争いをしていて、不遇の時期じゃないけど、タイトルを獲れていない状況でした。クラブとしての価値、大きさはすごいのに、不遇の時期を過ごしているファミリーにタイトルを獲らせてあげたいという想いはすごく強かったです。ACL(AFCチャンピオンズリーグ)の浦項(スティーラーズ)戦の前に流してくれたクラブの方たちが作ってくれた動画にも、そういった想いが込められていると強く感じました。


ークラブに関係する方々を“ファミリー”と呼ぶこともそうですが、ファミリーとのつながりを大事にする取り組みを継続してきて、それが11年ぶりのタイトルという形で一つ実を結んだのかなと思います。そういったところの達成感みたいなものはありますか?

中谷 そこに関しての達成感はないですね。それはクラブの人たちがやってくれていることですから、僕らが「実を結んだな」と思うことはありません。僕ら現場の人間にできるのは結果を残すこと。それが1年半ぐらいはできなかったですけど、目に見える結果としてタイトルを獲れて、ファミリーやクラブに恩返しができたのかなと思っています。


ールヴァンカップの前後の期間に話を移すと、ACLの韓国ラウンドがあり、帰国後には隔離生活の中で大事な試合が続きました。そして、ルヴァンカップでタイトルをつかみ、優勝した勢いで中3日のリーグ連戦を乗り越えたと思います。かなり張り詰めたような特殊な期間だったと思いますが、今振り返ってみてどうですか?

(残り: 4161文字 / 全文: 5354文字)

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