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明治安田生命J1リーグ第23節 川崎F戦 前々日監督会見

1610月

10月16日(金)、チームはトヨタスポーツセンターで非公開トレーニングを実施。練習終了後、18日(日)に行われる明治安田生命J1リーグ第23節の川崎フロンターレ戦に向けて、マッシモ フィッカデンティ監督がオンラインでの記者会見を行いました。


マッシモ フィッカデンティ監督


―10連勝中の川崎Fとの対戦にあたって守備面が重要になると思います。監督はどのようにお考えでしょうか?

今シーズンを振り返って、川崎が圧倒的な勝ち方をして、記録ずくめの1年になるだろうと多くの方が見ていると思います。正直、私もそういうものだろうと思っています。メディアの方々にとっては、期待も込めて「リーグ戦で唯一川崎に勝った名古屋との対戦」という報道をしてもらえると思います。相変わらず勝ち続けて、また10連勝後に名古屋と当たるということで、話題にしやすい数字もたまたま重ねっていると思います。そういった位置づけをされているのはわかっていますが、あくまで10連勝をしている川崎と対戦する、こういうシーズンを送っている川崎と対戦する、だからどうするか、ではありません。名古屋はここ最近いい形で勝ちが続いていますが、試合ごとの入り方がしっかりできなくてはいけないと、選手たちが準備の段階から理解して取り組んでいます。今我々が好調と言える、その取り組み方を続けなくてはいけません。それが川崎との対戦だとしてもです。話題になっている部分はいい意味で力に変えて、我々のやり方を変えるような影響を受けてはいけないと思っています。


―川崎Fはリーグ最多得点、最小失点を記録しています。どういった試合展開を考えていますか?

昔からそういう数字を出す時に同じような話をしてきましたが、サッカーを見る上で、また次の試合の勝敗を占う上で、あらゆる数字が使われています。選手の走行距離でしたり、ボール支配率でしたり、時間帯ごとのいろいろな数字などですね。結局のところ、必要な数字は得点と失点の数字です。世界中で、リーグを制覇するチームはどちらも優れていなければいけません。守備がしっかりとしていなくてはいけないですし、得点も取らなくていいわけではなく、取らなくてはいけません。川崎が結果としてたまたまそういった数字を残しているわけではなくて、守備も素晴らしく堅いチームですし、攻撃も個人のクオリティーを何倍にも膨れ上げさせるバランスを、今の監督がチームに落とし込んでいると思います。「本当に素晴らしいチームを作っている」と、前回の対戦で直接伝えました。我々も今の数字は決して悪くないと思います。先ほどと同じ話になりますが、これまで通りしっかりと続けて、なるべく相手の良さを出させないような試合に持ち込まなくてはいけないと思っています。


得点数がもっと増えたら良かったのですが、攻撃陣に関しては信頼関係、お互いの理解という点で、スムーズさが出てきていると思います。とはいえ、「前より良くなったね」と感覚を競っているわけではないので、得点数が伸びてこないと意味がありません。川崎はほかのチームと比べて、少ないチャンスしか与えてくれないと思います。前回のゲームでも外しすぎているという話をしましたが、より少ないチャンスを確実にものにすると試合前からイメージをして、1本外してから「次は締めていこう」となるのではなく、「1本目のチャンスを決めなかったら終わりなんだ」という空気を選手の中に作って、試合に臨みたいと思います。


―川崎Fとの対戦にあたって、チームが持つ特長のうちどういった部分が強く出てほしいと思いますか?

どんな試合になっても、試合単位で見ても、試合中のシチュエーション、流れが変わったり、予想通りだったり、全く予想していなかった流れで試合が始まったりと、いろいろある中で、さまざまな状況に対応できる対応力を鍛えていて、試合の中でも見えていると思います。リーグ戦とカップ戦で2度、川崎と対戦していて、我々の良さが出ている時間帯は、川崎にとってすごく嫌な感覚で試合を過ごしていたのではないかと、そういう手応えがあります。ハイプレスにいく、引いて守ると、このチームはいろいろな試合展開をできるようになっているという感覚がある中で、川崎にやらせてはいけないこと、我々がやらなくてはいけないことを考えると、我々のゴールに近いところでブロックを作っているようなシチュエーションはあまり作りたくはありません。リスクがあっても、なるべく前から奪いにいって、川崎が川崎の陣地内でボールを持っているようにすれば、そこまで怖くないと思います。逆に我々がディフェンスラインだけでボールを回していても、川崎にとってはなにも怖くないと思います。なるべく相手にとって嫌な時間帯を長くして、同時に選手たちがそういった時間帯が相手にとってどういう時間帯なのかを考えて、賢く考えながら90分間闘うところを披露できれば勝機は出てくるのかなと。前回の対戦で圧倒的な強さを感じた川崎が、今も同じように結果を出し続けているということは、対策をされた上でそれだけの結果を出しているということです。前回勝っているから、前回と同じくらい頑張れば勝てると位置づけてはいないと思いますが、改めて分析した上で、前回よりも遥かに強くなっているという見方をしなくてはいけないと思います。あくまで予測に基づいて準備をしますが、予測していないことが起きても対処できるようなベースとなるものを落とし込んで、試合に臨みたいと思います。


―本日ガブリエル シャビエル選手、相馬勇紀選手の負傷が発表されました。どのような影響を見込んでいますか?

今回は離脱期間がすぐにはっきりと把握できるものでした。(負傷の程度がわからない中で)中途半端に発表して、やっぱり大丈夫でしたとなるのは、プロクラブとしてどうかなと思います。長引かないでほしいですし、可能であればそれより早く戻ってきてもらいたいですが、今回はある程度わかった時点で発表すべきと判断しました。決して、これまでは隠していたということではありません。はっきりしなかったケガというものがありましたから。吉田(豊)の負傷もありましたが、吉田と相馬に関しては疲労が溜まっていたり、これまで抱えていたものが悪化してしまったものではなく、試合中に起きてしまったトラブルでした。残念ながら(ガブリエル)シャビエルは筋肉系の故障ということで、この日程でゲームをやるのは負担が大きすぎると言ってきた中でこういうことが起こってしまいました。ここに来て3人がケガをしてしまって、いろいろなやむを得ない事情があるのはわかりますが、川崎戦に関してもそこまでの期間がない中で試合に向かっていかなくてはいけません。川崎戦後には中2日でマリノス、中2日で仙台、その間に移動もあり、その先には鹿島と鳥栖のアウェイ2連戦が組まれています。その中でも結果が求められているわけですし、それはどうなのかなと。実際に負傷者が出ているわけですし、ほかのチームの負傷者の情報も毎日のように出ています。もう少し慎重に、丁寧にケアされなくてはいけないのではないかと思っています。


細心の注意を払いながらになりますが、選手たちに言うことは「しょうがない」ということでしょうか。私も日本語として「しょうがない」を使えるようになってきましたが、それは「負けてもしょうがない」という意味ではありません。「負けてもしょうがない」と捉えるのは絶対にだめですが、「この日程でサッカーをやらなくてはいけないのはしょうがない」と。今年はいろいろな人が大変な思いをして、それでも多くの方が、我々がサッカーをできる環境を作ってくれました。だから、サッカーをできることに感謝して、日程に関してはしょうがない、やれるだけのことをやろうと。選手たちもそれに応えてくれるでしょうし、そのための練習の取り組み方、リカバリーの仕方、あるいはどちらにせよ外出できないので家での過ごし方、そういうところで工夫しているからこそ、選手たちには「あれだけ走ったのに、まだこんなにも走れるのか」と、毎週のように驚かされています。繰り返しになりますが、受け入れるところは受け入れて、しょうがないと。どこにしょうがないと思うかを間違えなければ良いのだと。この難しい1年をやりきった人が上に行くと思うので、そういったスピリットでやっていきたいと思います。


―前回の試合後の会見でも日本語で「しょうがない」と語っていました。気に入っている日本語なのですか?

しょうがないという言葉を、最初は少し便利な、ずるい言葉ではないかと思っていました。使ってみると使い心地がすごくいいので、これからもうまく使いたいと思います。


―負傷者の影響でこれまで出番がなかった選手の活躍が期待されます。選手起用をどのように考えていますか?

彼らがプレーしているポジションはオフェンシブなポジションで、そこであまりゲームに絡めていなかった選手たちに出場機会が訪れる可能性はもちろん上がります。誰が出るか、ということに関しては、我々にはそこまで多くの選手がいるわけではありません。登録上、こういう選手になるかなというのは出てきます。具体的に名前を挙げると、宮原(和也)は神戸戦でいいゲームの入り方をしました。その後はゲームで起用してあげられていませんが、ゲームに関わってこなくてはいけません。秋山(陽介)も常にチームに帯同していますし、石田(凌太郎)もトレーニングでいい取り組み方をしていて、最後に18人に絞る時に外れてもらっているという状況が続いています。相馬とシャビエルのポジションで代わりをできるか、彼らの特長に近いものを持っているかというと、そういうわけではありません。攻撃的な戦い方、ボランチが2人いて、1トップの選手の後ろにオフェンシブな選手が3人いるというやり方を続けるなら、そういう考えもあると思います。メンタル面の充実度、トレーニングでのコンディションを見て、その選手をベースに形を作ったほうがいいこともあると思います。中2日で3試合が来ますので、まずは川崎戦をどうするか。それが終わったらマリノス戦をどうするか。その取り組み方は変わらず、どういうチームを用意するかに関しては、この形を続けるために誰を代わりに使えるか、あるいは選手を使うためにやり方を変えるか。まだ具体的にはありませんが、アプローチの仕方として2つのやり方があると思います。