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【ハイライト&レビュー】2020JリーグYBCルヴァンカップ グループステージ第1節〜第3節

138月
8月13日(木)、2020JリーグYBCルヴァンカップ プライムステージの組み合わせ抽選会が行われ、名古屋グランパスはFC東京と対戦することが決定。今回はグループステージ3試合のハイライト映像とレビューをお届けします。


2月26日(水) グループステージ グループA第1節
名古屋グランパス 1−0 鹿島アントラーズ(@パロマ瑞穂スタジアム)



新生“マッシモグランパス”の船出は、その後の戦いを占うような完封勝利から始まった。


試合は鹿島がボールを保持して攻め込む展開からスタート。まずは相手の攻撃を受けて見定め、その後に自分たちの流れに持っていくという戦い方が今シーズンのグランパスには多く、その形は開幕戦からも見受けられた。最初にして最大のピンチは18分、自陣でのミスからボールを失うと、昨年までグランパスに在籍した和泉竜司が最終ラインを抜け出して右足でシュート。これはポストに弾かれて事なきを得た。


グランパスは30分過ぎからスピードに乗ったショートカウンターでゴールに迫る形が増えたが、決定機には至らない。双方とも決め手を欠く中で、試合を決めたのはマテウスの一発だった。43分、右サイドの奥深くでFKを得るとマテウスがキッカーに。角度のない位置から左足を振り抜くと、やや縦回転の掛かった強烈なシュートがゴールに突き刺さった。


リードを得てスタートした後半は守勢に回る時間帯が長くなった。72分のエヴェラウドのシュートなど、危険なシーンを作らせることもあったが、守護神ランゲラックを中心にシャットアウト。“ウノゼロ”で開幕戦勝利を飾った。余談だが、ランゲラックは自身への危険なタックルで退場となった松村優太に対し、ツイッター上で「大丈夫だから心配しないで!」とメッセージを送っている。


注目されたマテウス、前田直輝、相馬勇紀を同時起用する布陣は、“この時点では”機能していたとは言い難い。中谷進之介が「少し引きすぎてしまったと感じる部分もあった」と語ったように無失点とはいえ、守備にも課題は感じられた。それでも、フィッカデンティ監督が「『今年はこういうサッカーをやるんだ』と見て感じていただけるプレーをほとんどの時間帯でできたのではないでしょうか」と総括したように、固い守備とスピーディーな攻撃をベースとする今シーズンの戦い方は遺憾なく発揮されていた。


グループステージ第3節終了時点と比べても、核となるベースは変わっていない。その上で、開幕戦で出た課題はかなり明確に整理されている印象を受ける。ブレずに、ベースとなる戦い方を進化させつつ勝つ。これが2020シーズンの“マッシモグランパス”だと言うような開幕戦だった。


8月5日(水)グループステージ グループA第2節
名古屋グランパス 3−0 清水エスパルス(@IAIスタジアム日本平)



初戦から約6カ月後が経過した8月5日、リーグ戦に続いてルヴァンカップが再開した。グループステージ、プレーオフステージ、プライムステージからなる従来の大会方式から、プレーオフステージを廃止。グループステージが1回戦総当たりのリーグ戦に変わり、各グループ1位チームの4チームと2位チームのうち上位1チームの計5チームがプライムステージに進出する方式へ変更となった。


第2節の相手は清水。前田やガブリエル シャビエルなどをケガで、金崎夢生を規定の関係で欠く厳しい台所事情の中、藤井陽也、太田宏介、青木亮太、秋山陽介の4人が今シーズン初先発を果たした。試合序盤こそ固さが見られ、相手にボールを握られる展開になったものの、前半アディショナルタイムに先制点が生まれた。マテウスが強烈なFKを放つと、GKの弾いたこぼれ球に丸山祐市が反応。「マテウス選手が練習の時からキーパーがこぼすようなキックをしていたので、そこをしっかり詰めていたことが得点につながったと思います」。狙いどおりの形でゴールネットを揺らし、そのまま前半終了のホイッスルが吹かれた。


後半は54分にマテウスが追加点を挙げると、試合終了間際に山﨑凌吾が待望の移籍後初ゴールをマーク。フィッカデンティ監督が前々日会見で「総力戦という形でいかないといけない」と語ったように、ピッチに立った全員が最後まで集中力を切らさず、3−0で完勝した。指揮官は「限られたメンバー構成の中、全力を出して闘っている素晴らしいゲームだった」と試合を振り返り、「しっかり闘ってくれた選手に満足している」と称賛。大会2連勝で川崎Fとの直接対決を迎えることになった。



8月12日(水)グループステージ グループA第3節
名古屋グランパス 2−2 川崎フロンターレ(@パロマ瑞穂スタジアム)



勝ち点6で並んだ首位川崎Fとの第3節は、プライムステージ進出を懸けた直接対決となった。引き分けでも両チームの突破が決まる状況だったが、「とにかく勝ちにいくことが重要」(山﨑)という言葉どおり、序盤からアクセル全開で試合に入る。


開始30秒、右サイドの高い位置でボールを奪い、左サイドの相馬へ展開。ペナルティーエリア外から右足を振り抜くと、シュートは相手DFに当たってゴールに吸い込まれて幸先よく先制に成功した。6分に同点に追いつかれるも、直後の7分、得意の形から再びリードを奪う。前線から激しいプレッシャーを掛けて山﨑がボールをカット。ドリブルでペナルティーエリアに侵入し冷静に中央に折り返すと、この日ボランチで先発出場したシャビエルが丁寧にゴールに流し込んで勝ち越し点を挙げた。「分析で相手のアンカーの脇が空くとわかっていた」と相馬が語ったように、相手の急所を突くポジショニング、そしてテンポのいいパスワークと激しいプレッシャーで序盤から主導権を握ったが、一瞬の隙を突かれる。38分、クロスから三笘薫にこの日2点目を決められ再び同点に。徐々に川崎に主導権を握られるが、集中した守備を見せて同点のまま前半を終えた。


試合開始時点で30度を超える暑さの影響もあり、後半はスローな展開に。71分に大島僚太が2枚目のイエローカードを受けて退場となったが、試合は大きな動きを見せなかった。お互いチャンスを決めきれず、同点のままアディショナルタイムに突入すると、引き分けでの突破を視野に入れて、ディフェンスラインでボールを保持して試合終了。この結果、2勝1分けでグループステージ2位でのプライムステージ進出をつかみ取った。「いい立ち位置で、近い距離感でプレーできれば、自分たちの時間を作りながら押し込んでいけるという感覚をつかむことができた」と稲垣祥が語ったように、「ぶっちぎりで今一番状態の良いチーム」(フィッカデンティ監督)相手に手応えを得る内容で、次のステージ進出という結果を残した。