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マッシモ フィッカデンティ監督 4月8日囲み取材

84月

4月8日(水)、トップチームの活動休止を受け、マッシモ フィッカデンティ監督がテレビ電話での取材に応じました。取材の模様をテキストでお届けします。


マッシモ フィッカデンティ監督


ー4月19日までの活動休止が発表されました。

今の状況に合わせた正しい決断だと思います。国として自分が感染しないこと、そして人に移さないことを重要視して取り組んでいる中で、我々が取るべき行動として一番ふさわしいのが一度活動を休止することだと思うので、もちろん受け入れています。


ー選手にはどんな言葉を掛けましたか?

当たり前のことになってしまいますが、チームとしての方向性を決めて共有しました。選手たちはそれぞれが新聞やニュースなどで情報を得た上で日々生活していると思います。今こういう状況だからこうするべきだとゼロから説明する必要はありません。この状況だから我々も休止することが正しいから受け入れようという話をしました。その中でそれぞれが責任を持ち、賢い生活の仕方をしようと。この状況が良くなって、みんなと一緒にサッカーをできる日が早くくることを願おうと伝えました。


ー選手たちはコンディションの維持が難しいと思います。

今年は今までにない、初めての経験をしているので難しいと思います。ただ、日本だけ、サッカーだけがこのような状況になっているのではなく、世界中のたくさんの方が苦しんでいます。難しい状況の中でもしっかりやっていく、柔軟性を持つべきだと思いますので、その都度できることに全力で取り組みたいと思います。


ー再開を待つファミリーへメッセージをお願いします。

お互いに再開を楽しみにしていると思います。クラブとしてはこういう活動できない期間でも、選手たちから皆さんに向けたメッセージや何かをしている動画などをお届けして、皆さんに楽んでもらえる、励ませるようなこともしていきたいと考えています。その中で、また皆さんの前でプレーできるようになった時は、この状況が好転した時です。その時に今の苦しさや辛い思いを忘れていく、喜びに変えていくことが我々の使命だと思います。多くの方が同じ時間を共有できるスポーツであるサッカーの魅力を活かし、スタジアムやテレビを通じて皆さんと一緒にこの状況から抜け出せたことを盛大にお祝いできる日が早く来ることを思い描いています。その日が来るまでお互いに大変な状況ですが、お互いのことを思い合って乗り越えていきましょう。


ーこの休止期間中に選手たちにどんなことを指示しますか?

通常のトレーニングをプログラミングしていく時は、やらなければいけない最低限の項目を並べた上で、それをどういうふうに達成していくかという組み方をします。ただ、今は我々がサッカー選手としての理想を言うのではなく、それぞれが生活している環境の中で可能な限りのことをやっていくしかありません。持ち帰ることのできるトレーングツールを少しは配布しましたが、もちろんそれだけでは十分ではありませんし、我々がこういう職業だからトレーニングをしなければいけないということを近所の方に押し付けてはいけません。家の中や外でトレーニングすることで近所の方に迷惑を掛けてしまうのであればそれは控えなければいけません。そういった中でやれることをやり、前向きに過ごしていくということは選手たちと共通理解できていると思います。


ー監督からクラブにお願いしたことはありますか?

国として、一つのまとまった集団として動かなければいけないという方向性を政府が打ち出しています。私はイタリア人ですのでイタリアの話をさせてもらうと、イタリアが今どういう状況になっているかは皆さんも御存知だと思います。母国の状況をリアルタイムで感じている中で、日本はまだイタリアほど深刻な状況ではありません。この状況を悪化させないためにも政府の方々、医療関係の方々に一番負担のない、国民はどういう行動をするべきかを政府が出していますので、それに従うべきだと思います。監督としてこうしてほしいというような意見はありませんし、今は必要ありません。私としてはこの状況が解決して、サッカーをできるようになった時にまた私がチームを引っ張るべきだと思います。


ー母国のことが心配だと思います。

先ほどの質問の答えに似ている部分があるかもしれませんが、今私がどうこうしたいっていうよりも、この状況の中で日本で暮らしているイタリア人としてどう行動するべきかを一番に考えています。物事がうまくいっていない、苦しい状況の時に国全体が一つになって強さを発揮するのがイタリア人です。イタリアという国の強さを世界から見られている今こそ、このような苦しみを絶対に乗り越えるといった結束力を世界中に見せつけるんだという気持ちをすべてのイタリア人が持っていると思います。なにかをするというよりも、この状況を打破するために家にいる、なにもしないことを受け入れる。それは苦しみも伴いますが、みんなそうやって頑張っています。他人事ではなく私も同じように苦しいですし、状況が少しでも改善したという情報が入るともっとそうなってほしいと熱くなるものがあります。その中で私が個人的にどうしたいっていう考えはないので、すべてのことが皆さんにとっていい方向に進んでいくことを願っています。


ー活動への制限ではなく休止となり、サッカーのことを考えにくい状況になったと思います。

我々の職業が今どういう位置づけをされているかっていうのを見つめ直す機会になると思いますし、サッカーの中に生きる人間としてどれだけサッカーのことに頭を使うかどうかではないと思います。あらゆる職業の方が自分の仕事のことを後回しにしてでも国全体のことを考え、一人の国民、一人の日本で暮らす者としてどういう行動をするかを考える必要があります。サッカーから頭が離れてしまう、もしくは以前よりもサッカーのことばかり考えてしまうではなくて、日本がこの状況から抜け出すために自分が何をするべきかというところに頭を使うべきだと思います。