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【インタビュー】相馬勇紀「五輪へのスタートライン」

175月

何度も口をついた「楽しみ」という言葉。

同世代の中で自分はどのレベルにいるのか。

自分の武器が世界でどれだけ通用するのか。

東京五輪出場を目指す若き韋駄天が、

自信と期待を胸に初の国際大会に挑む。


インタビュー・文=INSIDE GRAMPUS編集部




U-22日本代表に初選出されました。今の心境はいかがですか?

相馬 今はシンプルにうれしいですし、わくわくしています。最近はリーグ戦でなかなか結果を出せていなくて、「選ばれなくても仕方ない」という気持ちがあったので。ただ、ここで代表に選ばれることがゴールではありません。僕が目標としているのはその先ですから。


東京五輪への道のりという意味で、今大会への出場は一つの目標としていたものでしたか?

相馬 いや、特別に意識していたわけではなかったです。とはいえ、出場が決まった今は「楽しみ」という思いしかないですね。まずは同世代のチームメイトとの競争があるので、そこで絶対に負けたくないです。試合に出られれば、自分の武器が海外の選手にどれだけ通用するかを試すことができます。それが一番の楽しみですね。

東京五輪を1年後に控えたタイミングで代表メンバーに初選出されたことをどう捉えていますか?

相馬 日頃のトレーニングや試合を大切にしてきたからこそ、つかみ取れたものだと考えています。ただ、それは僕だけの力でつかみ取ったわけではありません。一緒にプレーする仲間がいて、みんなにいいプレーをさせてもらえたからこその結果だと思います。一部の東京五輪世代のメンバーは、(6月14日に開幕する)コパアメリカに出場するかもしれないという報道を見ましたけど、それはあまり関係ないと思っていて。僕がU-22日本代表に選ばれたことに変わりはないですからね。


代表に選ばれた要因はどこにあると思いますか?

相馬 自分の特長や武器を出し続けたからではないかと思います。ただ、Jリーグではそれが結果に結びついていないので、まだまだ足りないですね。


このタイミングでの招集には、プロ入り後の変化が影響しているのではないかと思います。大学生からプロになり、どのような成長があったと感じていますか?

相馬 いろいろな面で成長したと思いますけど、まずはフィジカルの部分ですね。もともと自信はあったんですけど、やっと体がJ1の強度に順応してきました。フットワークもJ1で求められるレベルに追いついたと思いますし、スピードも大学の時より速くなっています。もう一つは技術的な部分ですね。グランパスはかなり速いスピードでボール回しを行うので、必然的に正確な技術が求められます。それを繰り返してきたことで技術が上がり、徐々に相手の逆を突くことができるようになりました。技術に加えて、ボール回しで判断を下すための頭の速さが上がったり、選択肢を増やすために、視野を広げることも身についたと思います。ここはグランパスで成長してきた部分なので、同世代の中で、自分がどれくらいのレベルにあるのかを確認できるのは楽しみですし、圧倒できなければといけないと思っています。


プレー面における質の向上はもちろん、幅も広がったのではないでしょうか?

相馬 そうですね。左右のサイドハーフだけでなく、サイドバックでプレーできたことは自分にとって大きな出来事でした。ボールを持った時にどのようなプレーをされるのが嫌なのか、ボールを持っていない時にどのようなランニングをされるのが嫌なのかなど、学んだことを上げたらキリがないです。サイドバックでプレーしたことで、多くのことに気づきましたし、プレーの幅は間違いなく広がりましたね。代表ではまた違ったフォーメーションやポジションでプレーすることになると思いますけど、必ずこの経験が生きてくると思います。


この世代の代表は3-4-2-1を基本システムとしています。このチームの中で、どのようなプレーをイメージしていますか?

相馬 試合に出るとしたら、シャドーかウイングバックのところですかね。僕を招集した理由は、個で相手を剥がせることにあると思います。どのポジションで出たとしても、自分のやるべきことは変わりません。それこそ、グランパスの「システム11」の中でプレーしてきているわけですから、どこで出場しても違和感はないと思いますよ。


新しいグループに入っていくにあたって、大事にしていきたいことはありますか?

相馬 あまり意識していないですね。チームメイトと仲良くなれないことはないと思うので、普通にいきますよ(笑)。ピッチの中では、仲間を助けるプレーやハードワーク、球際で戦う部分を意識していきたいですね。その上で結果を残していければ、自然と認められるはずです。


信頼をつかむためには、最初のトレーニングが重要になりそうですね。

相馬 そうですね。特に大事にしていきたいのは「点を取ること」、「アシストをすること」、「相手を抜くこと」、「ボールを奪い取ること」の4つです。練習の一つひとつのセッションで、「すごい」と思わせるぐらいに最初からガンガンいきたいですね。




日本を代表して国際大会に挑戦するのは自身にとって初めての経験だと思います。国際大会にはどのようなイメージを持っていますか?

相馬 それぞれの国や地域ごとに特長のあるサッカーしてきて、それがぶつかりあうイメージですね。アフリカは身体能力が強みだろうし、南米のチームは個人のテクニックが高いと思います。ヨーロッパはリーグごとのイメージがあって、イングランドはフィジカル、スペインは技術、イタリアはブロックを敷いた守備に強みがあると思いますね。


これまでに海外のチームと対戦した経験はありますか?

相馬 大学時代、選抜チームで何度か海外の選手とやったことあります。スペインや韓国、アルゼンチンのチームと戦いました。海外のチームとの対戦では1対1の局面が多くなるので、個人的には得意なイメージを持っているんですよ。海外の選手はより個人でボールを奪う意識が強いから、相手の矢印がわかりやすい。突っ込んでくることが多いので、そのタイミングさえつかんでおけば一歩前で外せるイメージですね。そうは言っても世界の代表ですし、以前に自分が対戦した時の感覚とは違うかもしれません。もっとうまくなっているかもしれないし、その逆もあるかもしれない。そこはやりながら、アジャストしていければいいですね。


世界の選手たちとの対戦において、試してみたいことはありますか?

相馬 一番はドリブルですね。どれだけ自分で打開していけるかというのは楽しみなところです。あとは身体能力ですね。個人的に、海外の選手と日本人選手の差はそこだと思っているので。例えば、ネイマールや(キリアン)ムバッペと同時に走り始めたら、技術どうこうの前に追いつくか追いつかないかの問題になりますよね。フィジカルの差で、そもそもデュエルにならない可能性がある。そこの部分で自分がどのレベルにあるのかをこの大会で感じてきたいと思っています。




国と国の意地がぶつかりあう場でもあります。国を背負うということについて、意識していることはありますか?

相馬 まだ日本を背負って戦っていないので、その時になってみないとわからないですね。ただ、試合前に『君が代』が流れるのはうれしいですし、楽しみです。しっかり歌おうと思っていますよ。


今大会のグループステージではイングランド、チリ、ポルトガルと対戦します。

相馬 どこも強豪国なのでわくわくしますね。プレミアリーグでプレーしたいという目標があるので、イングランドとの対戦は特に楽しみです。


この大会はヨーロッパのクラブにアピールするチャンスにもなります。

相馬 そうですね。パフォーマンス次第では、海外のクラブでプレーできるチャンスがあるかもしれません。活躍すればチャンスをつかめるかもしれないですし、シンプルに自分次第ですよね。こういった機会はあまりないと思いますけど、アピールすることを意識してもプレーが変わるわけではないので、いつも通りにやれればいいと思います。


今大会の目標を教えてください。

相馬 優勝です。個人としては、結果を出して帰ってきたいと思っています。


最後に、グランパスファミリーに向けてメッセージをお願いします。

相馬 いつも熱い応援をしていただき、ありがとうございます。皆さんの応援を力に変えて、フランスでも頑張ってきます。テレビで放送があるので、見ていただけたらうれしいです(笑)。オリンピックにつなげられるように、そしてグランパスの優勝争いで力になれるように、一皮むけて帰ってきたいと思います!