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明治安田J1リーグ第23節 東京V戦後 監督会見

57月
7月5日(土)、明治安田J1リーグ第23節が行われました。名古屋グランパスは豊田スタジアムで東京ヴェルディと対戦し、0-0で引き分け。試合終了後、長谷川健太監督が会見に臨みました。

長谷川健太監督


ホームでシュート4本というのは寂しいなと思います。暑い中、来てくださったたくさんのグランパスファミリーの皆さんに勝って喜んで帰ってもらおうと、試合前に選手たちに伝えました。選手たちもそういう気持ちで試合に臨んでくれたかと思いますが、もっとゴール前に迫るシーンを作らなければいけません。マテウス(カストロ)のアクシデントもありましたし、「縦に仕掛けろ」と伝えて途中から入れた中山(克広)は一度も仕掛けなかったので、(森)壮一朗に替えるということもありました。かわいそうな交代になってしまいましたが、それぐらいの活を入れないといけない状況でした。ヴェルディが組織的に守ってくるなか、何か突破口を見つけたいと思い、短い時間ではありましたが壮一朗を入れることにしました。彼が右サイドではつらつとプレーしてくれたことは、一つの収穫だったのかなと思います。今日のようなプレーをしてくれれば、長い時間使えるようになると思います。今後は彼のプレーを注視しながら、楽しみにしていきたいです。今日はピサノ(アレクサンドレ幸冬堀尾)を中心としたディフェンス陣に助けられた試合だったと思います。ヴェルディは自陣を固めてつつ一発引っ掛けてカウンターを狙う形で、終盤は交代選手を含めてゴールをこじ開けようとしてきました。ホームでそれを受けてしまうような戦いをしたくなかったので、早め早めに交代カードを切り、「自分たちからどんどん仕掛けよう」というメッセージを送りながら、「何とかこじ開けてくれれば」と思っていました。ただ、なかなかそういった展開に持っていけず、焦れる展開になってしまいました。引っ掛けられて危ないシーンもありましたけど、ピサノが落ち着いて、自信を持ってプレーしてくれました。前節に続き、ピサノに助けられたゲームだったと思います。稲垣(祥)とピサノには名古屋の代表として足跡を残してくれればと思います。天皇杯に彼らを起用するのは難しい状況なので、残されたメンバーでしっかり準備し、(ロアッソ)熊本に勝って次のラウンドにいけるようにしたいです。


ー前線でボールを収められなかった印象です。相手の守備が良かったのか、それとも攻撃時に工夫が必要だったのか、どのように捉えていますか?

前半は流動的に動いたことで、なかなかチームの狙いを出せなかったので、そこに関してハーフタイムに話をしました。もちろん、相手のディフェンスがすごく集中していたことも影響していると思いますが、前半からセットプレーの数が多かったのも事実です。流れの中で難しいのであれば、セットプレー絡みで取れればなと。そこで「あわや」というシーンを作れなかったことも含め、課題の残る試合だったと思います。


ー流動性が出たことで狙いを出せなかったとお話しされましたが、狙いとどういったギャップがあったのでしょうか?

永井(謙佑)が中にいったり、右にいったりして、逆に山岸(祐也)は左に開いたりしていました。山岸は真ん中でポストプレーするというか、あくまでも彼が起点になり、森島(司)や永井が飛び出すようなシーンをもっと作りたかったです。永井が速いタイミングで飛び出して、ボールが出てこないから真ん中にきて、バランスを取るために山岸が左にいってしまうと、徳元(悠平)にボールが入ったときに幅を取る選手がいなくなってしまいます。右サイドでも和泉(竜司)が中に入るのは構わないのですが、そこに森島がいないと。いつもは右サイドの深いところを取ったりするのですが、原(輝綺)と和泉、森島と稲垣が絡むシーンを作ることができなかったので、そこに関して話しました。今日の試合は山岸が中央、綱島(悠斗)のところで起点を作ることができれば、永井のスピードを生かすことができると考えていましたが、前半はうまく表現することができませんでした。


ーマテウス選手は痛めていた箇所を悪化させてしまったのでしょうか?

検査の結果を聞かないと分かりませんが、前節で内側に捻ったところを、今回は相手の足が入って外側に捻ってしまったようです。場所は違うようですが、同じ足首ですから、悪化させたと言えばそうかもしれません。メディカルから大丈夫と聞いていましたし、本人も「いけます」ということでしたので、決して無理をして使ったわけではありません。途中から出てプレーできるだけの練習を積んで今日の試合に臨んでいます。


ー稲垣選手とピサノ選手には、代表活動に参加することでどういったものを持ち帰ってきてほしいと考えていますか?

稲垣は自分の存在感というか、足跡を残してきてほしいと思います。ピサノは試合に出られるか分かりませんが、少しでも代表の空気に触れるだけで刺激になるのではないかなと思います。


ーピサノ選手がこのタイミングで代表に招集されると予想されていましたか? また、彼の特長において最もいいところを教えてください。

まずはU-20に入れればと思っていて、今回のE-1(東アジアE-1サッカー選手権2025決勝大会 韓国)でも大枠には入っていると聞いていましたので、もしかしたら“経験枠”で入れてくれるのかな、と。また、ピサノ次第でもあると思っていました。名だたるGKが他のチームにもいますので、3人の枠に入っていくのは簡単でないとも思っていました。ただ、最近のゲームでは大迫(敬介)に引けを取らないプレーをしてくれていましたので、「もしかしたら入れてもらえるのではないか」という期待もありました。代表うんぬんというよりも、今シーズンはU-20で正GKを取れるかどうかだと思っています。経験を積んで、代表に呼ばれるGKに成長できるかどうか。今回はそういう意味合いも含めて呼んでもらったのかなと思います。ピサノの特長はキックの精度です。左右両足で素晴らしいボールを蹴ることができますし、飛距離も出すことができます。最初はみんなに助けられる試合もありましたけど、最近はピサノが助けてくれています。森保(一)監督の話ではないですが、1試合1試合成長を感じさせるようなプレーを見せてくれているのかなと思っています。


ー野上結貴選手のバックパスをしっかりと足元で止めたシーンもありました。ピサノ選手であれば安心して見ていられるという印象ですか?

そうですね。今は「GK」ではなく「GP(ゴールプレーヤー)」と呼ぶ時代になりました。ピサノは新時代の選手だと思いますし、ああいうキーパーが世界でも活躍していると思っています。名古屋にもそういう選手が出てきたということだと思います。


ー怖さはないですか?

怖いときもありますよ。目を背けてしまうこともありますけど(笑)、ピサノが落ち着いてやってくれているからこそ、ケネ(三國ケネディエブス)やガミが安心して渡すことができるというか、ディフェンス陣がかなり落ち着いたのかなと思います。左足で蹴れないと、相手が右からきたときに右足で処理しようとして焦ってしまうと思いますが、左足でも普通に蹴ることができるので。また、相手が出す裏へのボールもしっかり見えていて、危険なプレーになる前の察知能力に長けているとも思います。ピンチになる前に芽を摘んでくれていると思います。ベンチから見ていてハラハラするときもありますけど、落ち着いてさばいてくれています。今日はケネに出したボールが長くなってしまい、かっさらわれてしまうシーンもありましたが、自作自演でシュートを止めていました(笑)。そこも含めて“持っている”選手なのかなと思います。