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【The Scene】第22節横浜FM戦、第21節鹿島戦(相馬勇紀)

168月

選手が自身のプレーを振り返り、瞬間的に思い描いていたイメージやその選択に至った理由を明かす『The Scene』。今回は15日(水)の横浜FM戦でジョーの決勝点を演出し、2試合連続でアシストを記録した相馬勇紀にフォーカスし、プレーの真意に迫った。


―横浜F・マリノス戦から一日が経過しました。ご自身にとってどのような試合でしたか?

正直言うと、アシストという結果以外はもの足りなかったと思います。クロスがGKに捕られてしまったり、狙った場所ではないところがありました。個人的には悔しい思いが大きく残った試合でした。ただ、4本蹴ったら1本は得点につなげないといけませんし、最後の1本はうまくいったと思います。ジョーのところへ、カーブをかけてGKが出られないように蹴ろうと思っていたので、狙い通りでした。


―その結果、2試合連続アシストを記録しました。ここまでのパフォーマンスをどう評価していますか?

この2試合で2アシストができたことは、自分の強みをしっかり出せた結果だと思います。でも、まだまだ足りない部分が多くあります。大学リーグとJリーグではレベルが違うので、普段気付かない点が浮き彫りになりました。自分が次に何をやらなきゃいけないかがハッキリしましたし、収穫と課題が明確になったのは良かったと思います。


―実際にプロのレベルでプレーして、どのような課題を持ちましたか?

攻撃の部分では、クロスの精度を高めなくてはいけないと感じました。また、カウンターで出ていった時のドリブルの迫力をつけたいと思いました。守備ではボールを奪い切るシーンが少なかったと感じています。パスを出させない守備をしながらも、ボールを取れる選手になりたいと思っています。なので、しっかりとしてポジションを取りつつ、相手に体を寄せていく部分はもっと上げていきたいです。

―2試合とも、途中出場から結果を出しました。どのような意識で試合に入りましたか?

途中出場で自分が出される意味というのは、試合の流れを変えたり、自分の特長を生かして攻撃を活性化してほしいということだと思います。昨日は遠目からクロスを上げてGKに捕られたシーンがあったんですけど、そこでもう一度自分が出された意味を考えて、ドリブルでどんどんいくようにしました。そこからチャンスを作れるようになったと思います。途中出場の場合は攻撃の活性化を意識してやっています。この2試合は同点の状況で出されているので、点を取ってこいというメッセージだったと思います。その点については得点に絡めたので良かったと思います。


―デビュー戦となった鹿島戦では、カウンターからアシストを記録しました。

カウンターは意識して狙っています。このシーンではまず(小林)裕紀さんがボールを触ったところで、チラッと前のスペースと相手のサイドバックの位置を確認して、「これはいける」と感じました。初めはDFが食いついたところでうまく入れ替わるイメージだったんですけど、遅らせる守備に変えてきました。ここから仕掛ける選択をしましたが、時間帯も考えてボールをキープする選択肢も持てれば良かったと思います。選択肢を1つしか持てなかったのは反省点なのですが、攻撃の選手として、あそこでいかなかったらピッチにいる意味がないのかなとも思います。チームの勝利が一番なので、そこを最初に考えた上で2つの選択肢からあれを選べれば良かったと思います。


―仕掛ける部分はいかがですか?

相手の足が揃ったタイミングで交わしにいきました。かなり振り切れていたので、しっかり中を見ることができました。初めは(ガブリエル)シャビエルに出そうと思ったんですけど、いい感じに釣られているのが見えて。ドリブルからクロスまで、イメージ通りにできました。満員のスタジアムでデビューできましたし、勝利に近づく4点目のアシストができて良かったです。



―横浜FM戦では積極的な1対1の仕掛けが印象的でした。振り返っていかがですか?

マリノスは3バックでプレーしていました。相手にとって嫌なのはセンターバックが外に引っ張られることだと思って、そこを狙っていました。ただ、最初の1対1はドゥシャン選手に取られてしまいました。そこでプロの選手の間合いだったり、足の出る幅は違うと感じましたね。


―88分のシーンでは完全に抜き去り、クロスを上げています。

シャビエルが見えていたので、クロスはゴロで速いボールを狙っていたのですが……単純なキックミスです。まだまだ技術が足りませんね。1対1の部分はイメージ通りにできました。自分のドリブルの特長として、左右両足を使うところがあります。この場面のように、逆の足を使うことで半歩外すことができるんです。最近特に意識しているドリブルが出せました。



―そしてアシストのシーンを振り返っていただきます。

先程のシーンと似た抜き方でした。どちらの足でドリブルしても違和感はありません。このシーンではインサイドでタッチした左足が1歩目になって、そのままスピードに乗れています。この点も両足でドリブルするメリットだと思います。これで相手を半歩外すことができれば、そこからスピードで抜ける自信はあります。スライディングがきていましたけど、あれだけ外れていればいけるなと。クロスで良かったのは、GKに捕れそうだなと思わせて、そこから鋭く曲がるボールが蹴れたことです。解説の方は「GKのポジションミス」と言っていましたが、これは常に意識している球種ですし、狙い通りにうまくいきました。このシーンまでにミスしていたクロスで、GKが前に出てくると分析できたのも良かったと思います。



―改めて、この日のパフォーマンスを振り返っていかがですか?

やっぱり、外してしまった3本のクロスですよね。ただ、勝って反省できるのは良かったです。結果は何よりも大事ですし、あのクロスが結果につながったことが良かったと思います。今の順位を考えても、その先のことを考えても、結果を出せたのは良かったです。


―こだわりを持つ「アシスト」という部分で結果を残しました。

J1の舞台でも、自分のストロングポイントでは誰にも負けたくないと思っていました。そこで結果を出せたのは良かったです。大学でやっている普段の形をそのまま出せましたし、「負けない」という手応えをつかむことができました。


―以前のインタビューで、「チームに一人、自分みたいな存在がいることで、周りももっと生きるのではないか」と語っていました。異質さをうまく表現できた2試合だったのでは?

自分の得意なことをすることだけに集中していれば、自然とボールが来る感覚でした。みんなのレベルが本当に高いので、無理して苦手なことをする必要がなかったと思います。得意な部分に最大限の集中力を注げる環境を作っていただけるので、僕はやるべきことをやるだけでした。


―最後に、今後に向けた意気込みをお願いします。

早慶戦を除いて、これほど多くの人に注目されて、応援していただける環境はありません。出た試合はすべて結果を残すという気持ちでプレーしますし、結果を残さなければここにいる意味がないと思っています。出た試合すべてで結果を出して、チームに貢献していきたいと思います。その中で自分が輝けるように頑張っていきたいと思うので、これからも応援をよろしくお願いします。