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明治安田生命J1リーグ第34節 C大阪戦 前日監督会見

411月
11月4日(金)、チームはトヨタスポーツセンターで非公開トレーニングを実施。練習終了後、11月5日(土)に行われる明治安田生命J1リーグ第34節のセレッソ大阪戦に向けて、長谷川健太監督がオンラインでの記者会見を行いました。

長谷川健太監督


ー最終節を迎えるチームの状態はいかがですか?

非常に苦しいシーズンでしたが、途中加入の選手が入ってきてからはある程度勝点を積み上げることができたと思いますし、ゲーム内容も尻上がりに良くなったと思います。勝ちきるところまでいくゲームは増やせなかったですが、自分たちが狙っている内容のゲームはできるようになってきたと思います。終盤は(横浜F・)マリノスに負けましたが、コロナの感染者が出たこと以外はしっかりとした試合ができたと思います。今は9位ですが、最終節で勝って1つでも順位を上げて、次につながるようなゲームをしていきたいと思っています。


ー前節のFC東京戦はチームのいいところをかなり出せたと思います。次節でもそれを継続するためにどのようなことを求めますか?

今回もまたいろいろな選手にチャンスを与えていきたいと思っています。その中でどこまでやってくれるかをしっかりと見ていきたいと思います。前節で良かった部分を明日も継続しながら、どうやってゴール前で迫力を出していくのかをチーム全体で考えながら闘っていきたいと思います。


ー「いろいろな選手にチャンスを与えたい」というのは、18名のメンバーの入れ替えなのか、スタメンにさらにチャレンジを加えるのか。どのような意図があるのでしょうか。

チャレンジというか、チャンスを与えてあげたいと思っていた選手はいたので、そういう選手にチャンスを与えていきたいと思っています。


ー年間をとおして「積み重ねが重要」と言い続けてきました。その積み重ねが形になってきていると思いますが、今のチームを支えているのはどんなものだと思いますか?

優勝を目指すというところから始まっているので、そのために今シーズン積み重ねてきたつもりです。それを選手たちも理解した上で、結果が出ない中でもしっかりと継続してやってくれたと思います。そこが今シーズンのベースになっていますし、そこをさらに上げていけば必ず勝てるんだという思いで全員が闘ってくれたと思っています。それが来季以降につながるようにしっかりと闘っていきたいと思っています。


ー以前までのグランパスと変えることができたと感じるのはどんなことですか?

自分たちから仕掛けるというところです。守備においても攻撃でも、強固な守備からリアクションで点を取るのが名古屋のスタイルだったと思いますが、自分たちから相手を動かしてゴールを奪うんだというイメージのところ。それを数多く出せていたかどうかは別としても、選手たちはどうやって動かせばいいのか、どういうところを自分たちのストロングとして生かしていけばいいのか、という理解はしてくれたのではないかと思います。高い位置で連動しながらボールを取りにいくシーンも非常に増えてきています。昨シーズンまではそういう形はあまり多くなかったと思います。自分たちから仕掛けることが裏目に出てやられるシーンもありましたが、そういうチャレンジをしていかない限りは、自分たちで能動的に相手を揺さぶりながら崩して勝ち切るということにはなっていきません。チャンスを作れるようにはなってきたと思いますので、今後はそのチャンスを1つでも多く決めきるという作業を積み上げていかないといけないと思っています。


ー今シーズンをとおして変化を感じる選手はいますか?

それは皆さんが一番わかっていることだと思いますが、マテウス(カストロ)は中央でプレーして、今まで外から見ていたマテウスとは違う側面を見ることができたと思います。稲垣(祥)はシーズン当初は自分でボールを動かすことが得意ではない選手でしたが、祥が起点となってボールを動かしてくれるようになりました。そういう意味では藤井(陽也)も今シーズン1年とおしてやれたという部分と、森下(龍矢)も右サイドで相馬(勇紀)とは違うアクセントを出してくれたと思います。それぞれが良さを出してくれたと思っています。


ー稲垣選手にはシーズン開幕当初に「30歳を超えて伸びる選手は本物だ」と発破をかけたそうですね。

祥が苦手な部分があったと思うので、そこにチャレンジしていけば必ずさらに伸びると。特にボランチは祥くらいの年齢ならもうひと伸びできるポジションだと思います。祥も非常に前向きに取り組んでくれたと思います。ブロック間でターンしてボールを前に出すとか、ボールを前につけるということが苦手な選手だったと思いますが、散らしたり、背後を狙うようなプレーをシーズンが進むにつれて数多く見ることができて、「ああ、変わったな」と試合を振り返りながら改めて思います。稲垣も足の具合がずっと万全ではない中でここまで頑張ってきてくれて、なんとか最終戦を迎えることができました。1年間キャプテンとしてチームをまとめて、プレーヤーとしてももう一段伸びたと私自身は思っています。


ーシーズン当初、「選手を育てるというよりチャンスを与えたい」と話していました。藤井選手や相馬選手、森下選手などがチャンスをつかみましたが、欲を言えばもう少し若手の突き上げがほしかったのかなと思います。

若手が多くなかったですよね。(石田)凌太郎も途中からですが、藤井の下は1年目の選手が多かったかなと。成瀬(竣平)も藤井と一緒の歳なので、その下がなかなかいなかったというのもあります。1年目の選手がいきなりレギュラーポジションを取るのは至難の業だと思いますので。そういう意味では、藤井にはクラブの期待もあったと思いますが、本人もそういう期待を感じて1年間しっかりとポジションを守ってくれたと思っています。そうは言っても、ベテランの選手が締める時は締めてくれたのが大きかった。苦しい時期があったからこそ、そこを乗り越えてチームとして成長することができたのではないかなと思っています。


ー見込む部分があったから石田選手や甲田英將選手を起用されてきたと思います。結果以上に彼らの成長を感じていますか?

まあ、あとは結果を出してほしいなと。ヒデ(甲田)にも話をしましたが、いい選手で終わってしまう可能性もあると。甲田が入ってくれば賑やかしにはなるのですが、そこで終わってしまうと怖い選手にはなっていかないと思うので、「怖い選手になってこい」という話をしています。そうなるためには、結果を求めていかないと。ヒデに(ボールが)入ったらドリブルもできるし、決めきられるという怖さがあると、怖い選手になっていくと思います。まだ惜しいで終わる場面が多いので、それを1つ越えられるかどうかは彼の今後の課題かなと思っています。凌太郎に関しても惜しいシュートシーンは何回かありましたが、そこで決めきるということが自信や成長につながると思います。その段階まではきているので、そこからポジションをつかむということに関しては、結果にもっとこだわって闘ってもらいたいなと思います。


ー相馬選手がワールドカップのメンバーに選出されました。彼もいろいろな部分で成長したと思いますが、どんなところが今回の代表入りにつながったと感じますか?

ウイングバックが得意かどうかという部分に関してはまだわからない部分はあると思いますが、そういうポジションの中で自分なりに折り合いをつけながらよく頑張ってくれたと思います。代表でも状況によっては3バックもあり得るという中で、前回の9月の試合では途中から3バックに変えて、ウイングバックをやっていたので、1つのオプションとして選ばれることになったと思います。相馬自身も1年間苦しかったと思いますが、その中でもしっかりとプレーし続けてくれたことが評価につながったのではないかなと思います。


ー相馬選手は先日の会見で「長谷川監督の下で成長できた」という話をしていました。今シーズンをとおして相馬選手に求めてきたものは?

「もっと仕掛けろ」ということですかね。仕掛ける部分とゴールという部分をもっと意識してプレーしろと。例えば伊東純也は今では代表の中心選手の1人ですが、彼もサイドバックやウイングバック、サイドハーフをやったりして、サイドでのアシスト役、クロッサーというイメージがありました。ヨーロッパに行ってからゴールを決めきる選手に変わっていったと思います。そうなると評価は変わってくるので、相馬もチャンスメーカーだけではなく、ゴールを決めきる選手になってくると全体の評価が変わってくると思います。もっとゴールを意識してプレーしろということを常々言ってきました。あと、後ろ向きでプレーすることも多いので「もっと仕掛けようよ」と。少し安パイなプレーが多くなってくると「取られてもいいからもっと仕掛けろ」という話をしました。そういう中で自分なりにいろいろと折り合いをつけながら頑張ってくれたかなと思っています。


ーそういう意味でもEAFF E-1 サッカー選手権で得点王を取ったことが相馬選手の評価を上げるきっかけになったと思います。

そうですね。ポジションは違いますが、やることは変わらないと思うので、自チームでやり続けて模索した中でE-1で結果が出たと思います。引き続き、どんなポジションでも彼の良さを見せてほしいなと。守備もできて攻撃もできる選手はたくさんいないと思うので、そういう相馬の良さをワールドカップの舞台で見せてほしいなと思っています。


ー相馬選手は代表選出の報告に行った時は「おめでとう」と言ってもらったと話していました。それ以外に相馬選手に掛けた言葉はありますか?

いや、特にないですね。発表はスタッフ全員でスタッフルームで聞いていて、相馬が(メンバーに)入った瞬間にみんなで拍手して。そのあとに相馬がスタッフルームにあいさつに来てくれて、みんなで「良かったな!」と。相馬も満面の笑みでした。あの26人に入るかどうかは大きな分かれ目になると思うので、本当に入って良かったと思っています。


ー次節は相馬選手にとって今シーズンの国内ラストゲームになります。勝って相馬選手を送り出すという新しいモチベーションもあるのでは?

そこまでみんなが考えているかどうかは……(笑)。そこはわからないですが、そういう思いでほかの選手が闘ってくれることを期待したいと思います。ただ、最終戦ですし、他力ですが勝てば順位が上がる可能性もあるので、1つでも上の順位でフィニッシュすることを目指していきたいと思っています。


ー今シーズンも上位の結果を残しているセレッソ大阪をどう見ていますか?

試合を観ていて、さすが上位にいるチームだなと。本当に隙がないというか、チームとしてしっかりとしていて、ずば抜けた個がいるわけではないですが、高いレベルでプレーできる選手がそろっていると思います。その中で、切り札としても(ジェアン)パトリッキや中原(輝)、(アダム)タガートなど非常に特徴のある控えの選手もいて、バランスの取れたすばらしいチームだと思っています。