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明治安田生命J1リーグ第16節 広島戦 前日監督会見

275月
5月27日(金)、チームはトヨタスポーツセンターで非公開トレーニングを実施。練習終了後、28日(土)に行われる明治安田生命J1リーグ第16節のサンフレッチェ広島戦に向けて、長谷川健太監督がオンラインでの記者会見を行いました。

長谷川健太監督


ーこれまでは難しい試合で勝点3を得られていなかった中で、最近はしっかりと勝ちきってリーグ戦3連勝を挙げました。どういった点でチームの成長を感じていますか?

積み上げがあると思います。勝てなかった時にもしっかりと修正、反省をして、次の試合に生かしながらやってきていました。なかなか勝てない時期が続きましたが、そういう中でもしっかりと積み上げたきた成果が、ここ数試合表れているのではないかなと思います。


ー苦しい状況から持ち直したり、いい状況をより良くさせるような、試合の中での対応力についてはどのように感じていますか?

チームとしてやることをほぼ全員がイメージできるような状況になってきました。誰が出てもというところでは、エリートリーグも含めて試合をだいぶこなすことができたので、チーム全体に落とし込むことがやっとできたのかなと思っています。


ーチームスタイルがある上で、「今はこうするべきだ」という判断が出てきたという感覚でしょうか?

そうですね。使われる選手によってどんなことを意図しているのかというのは選手たちも感じてくれていると思いますし、入る選手も自分がどんなタスクを受けてピッチに入っていくかをしっかりと理解してやってくれています。状況に応じながら、チームのやり方が全員の頭の中にあって、その上で自分の役割、自分の個性を落とし込んでくれていることが、苦しい状況を好転させたり、なんとか持ちこたえるというところにつながっているのではないかなと思います。


ー個別に「こういうところを期待している」という話はされていますか?

全員と個別に話すということではないですが、最近は(吉田)豊なんかにそういう話をしています。


ー任せる選手には任せるし、チーム全体でミーティングをする中で吸収してほしいというところもあってそういう形にしているのでしょうか?

当然チームのベースがあって、基本的な動き方がある中で、例えば相馬(勇紀)と豊では個性が違うので、その個性を生かしたプレーというところを期待しています。豊に相馬(のようなプレー)を期待しているわけではないですし、逆に相馬に豊(のようなプレー)を期待しているわけではないので、それぞれの個性をチームの戦い方に反映してもらえればと思っています。豊は「もっと攻撃的にいかなければいけないのではないか」、「もっとこういうポジションを取らなければいけないのではないか」と迷っているようなシーンもあったので、「いやいや、豊を使うということはどういうことかわかるよね」という話をしています。もちろんそういう中で、プラスアルファで攻撃の部分もさらに磨きを掛けてもらえればと思っています。相馬と全く同じ動きを期待して豊を起用しているわけではないのですし、彼もそれを理解して、納得してやってくれています。明らかにタイプや個性が違うような選手に対してはいろいろな話をしています。


ーここ数試合はセットプレーからチャンスを作れていて、試合を動かす大きな力になっていると思います。どういった話をして今の出来まで持ってきたのでしょうか?

(セットプレーの)コーディネーターではないですが、セットプレーの専門職というところで、ディフェンスとオフェンスでそれぞれコーチをつけています。はじめはなかなか伝わりづらかった部分があったと思いますが、もっと伝わりやすいようなやり方というところをみんなで話し合いながら、回数を重ねることによって選手たちも理解してくれるようになったと思います。あとはキッカーと中の入る動きが合ってこないと、いいキッカーがいてもなかなか合わせることができないので、そこがだいぶ合うようになってきたのも大きいと思います。


ーセットプレーのコーチはどなたが担当しているのでしょうか?

遠征に帯同するコーチから選ぼうということで、攻撃はGKコーチの河野(和正)、守備のところは大島(琢)がやっています。


ー勝てていなかった時期に「ここはブラさずにやろう」と重視していたのは?

アグレッシブにいくサッカーというのは、システムを変える前から一緒です。選手たちにはサッカーの基本の部分は変えないと伝えていますので、理解してやってくれていると思います。


ーシステムを変えたとしても、アグレッシブにいく姿勢は変えないという部分が一番大きかったのでしょうか?

そうですね。アグレッシブに奪いにいくため、アグレッシブに仕掛けるため、ということでやっています。そのベストはなにかというところで4バックで始めましたが、どうもしっくりこないということで(後ろを)3枚に変えました。感じは悪くなかったのですが、細かい部分での落とし込みがまだまだ足りなかったというところで、いい試合を勝ちに持っていけなかったので、細かい部分を詰める作業をしながらずっとやってきました。勝てていないけど方向性は変わっていないし、目指すべきところはここだよということを話しながら、選手たちもブレずにやってくれたと思っています。


ー前節の試合後には丸山祐市選手に疲労が見えたという話もありました。過密日程やチアゴ選手の出場停止なども考えて、4バックに戻す選択肢を用意する作業も現状で進んでいるのでしょうか?

現状は進んでいないです。3枚から4枚に変えるのはそんなに簡単ではないというか。どちらかと言えば、4枚から3枚に変えるほうが楽なんです。準備する日程がない中で急にまた4枚に変えようとすると、やれるとは思いますが、細かいところのニュアンス、感じ方が変わってきますので。以前にも言いましたが、3枚から4枚、4枚から3枚と頻繁に変えるのは好きではありません。ワンボランチなのかダブルボランチなのかというのはありますけど、3バックと4バックを臨機応変に使いわけるというのは。もちろんそれをやられている監督もいますが、私はあまりそういうのは好きではありません。攻撃的にいく時に4枚にするのであれば初めから4枚でやればいいのではないかと思いますし、守備の時だけ4−4−2にするというように可変でやるチームもありますが、であれば初めからそうすればいいのではないかと思ってしまうので。もちろんケガ人などで(DFが)3枚そろわないということであればそこは考えなければいけないと思いますが、宮原(和也)も3枚でやろうと思えばやれると思います。コンディションということもありますし、もしまたメンバーがいろいろな状況でそろってくれば考えますが、そうではない現状のままであればそんなに大きく、すぐに「人がいないから4バックにします」という感じにはならないと思います。ただ、やった時に「嘘を言いましたね」と言われてしまうので、やらないとも言いません(笑)。そういう状況になってみないとなんとも言えないかなと思います。


ーコロコロと変えることはしたくないと。

若干のニュアンスで選手の意識が変わりますからね。例えば、4−3−3のサイドの選手と4−4−2のサイドの選手では全く感じ方が違います。4-3-3というとすごく攻撃的な感じになって、サイドの選手はガンガン攻撃にいこうという感じになるんですけど、4−4−2のサイドは守備もしっかりしないといけないというような形になって、あまり攻撃的にならないというようなこともあります。実際にやることはそんなに変わらないのですが、選手の受け取り方としては変わってきます。3枚から4枚に変えるというのは、前回の変化よりもさらにすごい変化だと思いますので、選手の受け取り方というのはだいぶ変わるのではないかなと思います。本当に4枚に変えるとなれば変えるかもしれませんが、コロコロと入れ替えるのはあまりしたくないかなと思います。


ーSNSを見ていると、長谷川監督がガンバ大阪を指揮していた時の成績の辿り方と似ていて、「三冠ルートに乗ってきた」というような声もあります。タイトルを獲るために今意識していることはありますか?

いや、今は一戦一戦でそんな余裕はないです。目の前の一試合を全力で闘うということで、あまり先を見据えずに目の前の試合に集中して闘っていきたいと思っています。


ー前節の終盤に丸山選手を代えて酒井宣福選手をセンターバックに移しました。ケガなどのアクシデントがない中で、練習でもやっていない形でFWの選手をセンターバックにするというのは珍しいと思います。万が一、最後に失点していたら監督に厳しい声が上がるような思いきった決断だったと思います。ああいった大胆な策を打つ時にはどんなことを重視しているのでしょうか?

感性です(笑)。データとかなにかというよりは、「いけるだろう」ということで。ノリ(酒井宣福)ならやれるという確信めいたものがありました。もちろん負けたら批判を受けると思いますが、あのまま丸山を残すよりもノリに代えたほうが自分の中で納得できるということで代えました。


ー監督キャリアをスタートさせた清水エスパルス時代からそういった思いきった策を打てていましたか?

(イビチャ)オシムさんがよく、守りに入る時に巻(誠一郎)を後ろで使っていました。先人たちがそういうことをしていましたので、参考にさせていただきながら、というところもあります。


ー参考にしているというのは、定石に捉われず自分の感性を大事にするというところですかね?

例えば、クバ(シュヴィルツォク)選手と一緒にやったことがないのでわからないですが、クバ選手に(センターバックを)やれと言ってもたぶん無理なタイプだと思います。FWの中でも適正があるタイプとないタイプがいて、生粋のストライカーにセンターバックをやれと言ってもなかなか難しいと思います。ノリはストライカータイプの選手でありながらも献身性を併せ持っている選手ですので、そういう選手であればああいう緊急時にやってくれるという信頼はありました。


ー練習でも試していないという話でしたが、緊急事態ではそういうこともあるという話はしていましたか?

していないと思います。試合を見ながら、ディフェンスラインが足を止めたらどうしようかなとずっと考えていて、「ノリだな」という話を大島とはしていましたが、本当にそういう状況が来てしまいました。チアゴが退場したということもあって、最終ラインになにかあった時のことを考えて、宮原をディフェンスラインに落として中盤に誰かを入れるとというのも一つの案としてありました。ただ、終盤には相手の前線に大きな選手がズラッと並んでいて、宮原は(ジョルディ)クルークスを止めるのに効いていたので、宮原を落とすよりは、ノリを落とすという話をしていました。終盤のピンチの場面ではオフサイドで助けられましたが、あれはマルがもう少し早く戻れるシーンだったと思います。もちろんしっかりと藤井(陽也)とラインが合っていたのでオフサイドを取れたというのもありますが、あの局面ではもう少し対応があって確信を持ってオフサイドを取ったという感じではなかったと思いますので、ああいったプレーを見て「ちょっと疲れてきたかな」と感じました。本当はそのままやってほしい、なんとか最後まで持ってくれれば思っていたんですけど、残り10分くらいからちょっと怪しいなとも思っていたので、試合中に話していた交代を使うという決断をしました。


ーサンフレッチェ広島は新型コロナウイルスの感染者が出ている状況ですが、ルヴァンカップも含めて3度目の対戦ということも含めて、印象はいかがでしょうか?

新しい外国籍選手(ナッシム ベン カリファ)とジュニオール サントスの2トップに変わっているので、以前対戦した時とは印象がちょっと変わっています。誰が感染してしまったかはわからないですが、ここ数試合の広島を見ていると、前線の外国籍選手が非常にパワーがあって、そこに満田(誠)や森島(司)が絡んでくると。右のウイングバックの藤井(智也)は足が速いので、彼のスピードには警戒しなければいけないですし、左の柏(好文)もドリブルしながらいいクロスを上げてくると。全体的には前線の2トップを生かしたサッカーに変わってきたという印象があります。ハイプレス、ハイプレッシャーというところも継続しながら、2トップの良さを前面に出すようなサッカーに少しずつ変わってきているのかなと思っています。