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明治安田生命J1リーグ第13節 C大阪戦後 監督会見

145月
5月14日(土)、明治安田生命J1リーグ第13節が行われました。名古屋グランパスは豊田スタジアムでセレッソ大阪と対戦し、1-0で勝利。試合終了後、長谷川健太監督が会見に臨みました。

長谷川健太監督


2点目は取れなかったのですが、最後までゴールへの意識を持ちつつ、しっかり勝ちきるバランスを取り、最後まで闘うことができたのかと思います。先制しても追いつかれるというゲームが続いていましたが、「2点目を取れなくても勝ちきることが必要だ」という話を選手たちにしました。そのあたりのバランスを選手たちはしっかりと取ってくれたと思っています。

 

途中から出た選手、特に石田(凌太郎)などは後半、少し流れの悪い中、前線で彼の持ち味である運動量を発揮してくれました。今日、勝ちきれたことは大きかったと思いますし、ベンチメンバーを含めて全員の気持ちが今日の勝利につながったと思います。


ー石田選手をわりと早いタイミングで起用しました。彼を投入した狙いと、そのためのシステムの変更など意図があればお聞かせください。また、石田選手を入れたことで、選手たちには「耐える」というメッセージを伝えたのでしょうか?

システム変更に関してはここ数試合、試合途中で行っています。やはり守るだけでは守りきれないですから、勝ちを残したいということで酒井(宣福)やマテウス(カストロ)を前線に残しました。その上で、彼(石田凌太郎)の走力をチームに生かしたいと。セレッソ大阪からボールを奪ったところでしっかりと押し返すことにつながったと思います。もちろん、少し(自陣の)バイタルエリアを使われる時間帯がありましたので、そこはしっかりと補填しながら石田をあの時間帯に入れました。今日は雨が上がり蒸し暑く、気温も上がっていたので選手たちの疲労もあったと思いますし、最近勝っていないことでメンタルの部分でのプレッシャーもあったと思います。石田を入れてからは選手たちも割りきりながらプレーできたと思います。また、耐えるのなら、もっと両ウイングバックに守備的な選手、吉田豊らを早めに入れますので、そういうメッセージではありません。追加点を狙いながらしっかりと締めるところは締めようと。そういった形で今週の1週間は準備してきたので、そのあたりはうまくいったかと思います。


ー今日、勝ちきったことはすごく大きな収穫かと思いますが、その中で見つかった課題があれば教えてください。

3バックにしてからいい試合をしていましたが、勝利というところではルヴァンカップの清水(エスパルス)戦しか結果を残せていませんでした。引き分けはありましたが、勝ちきるということはシステム変更後にできていませんでした。その中で今日、システム変更をして以降、しっかりと勝ちきることができました。追加点こそ決まりませんでしたが、勝ちきる試合をできたことはチームにとって大きな手応えになったと思います。また切り替え、次の試合に向けてしっかりと準備をしていきたいと思います。


ー石田選手を投入したところでボランチの数を増やし、チームを安定させたように思います。変更の狙いをお聞かせください。

先ほど言ったように、(相手が)厚くなったことでレオ シルバ1人ではバイタルエリアを埋めきれないというか、引っ張り出されてそこを突かれるというシーンが増えていたので、稲垣(祥)を中に入れてボランチのような形にしてバイタルエリアを埋めました。それによって3バックの前のスペースが締まった状態になったと思いますし、ディフェンスラインの選手が狙いやすくなったと思います。逆に奪ったボールを石田が前へと引っ張ることで、押し返す時間帯を作りました。オフサイドで(得点は)何度か取り消されましたが、もう1点取る形をカウンターから作ることができました。(前半の形を)あれ以上引っ張るのはどうかと思い、後半15分くらいから石田を入れ、攻めの形を残さないと難しくなると感じていましたのであのような形にしました。


ー石田選手は先日のエリートリーグからすばらしいプレーを見せています。最近の姿勢についてはどう感じられているのでしょうか?

私は彼が移籍(レンタルバック)してきてから直接見ることになりました。昨年のプレーを映像では観ましたが、実際には見ていませんでしたので、感じしかわかりませんでした。その状況でエリートリーグの試合があり、こちらが期待した以上のプレーをしてくれました。チームにとって大きな武器になるだろうなと思い、今日は使える選手は使っていこうということで起用しました。彼も呼び戻されたということで、「サイドではなく前だ」という期する思いがあると思いますし、これからも結果を残し、カンフル剤になるような活躍をしてもらいたいと思います。


ー試合とは離れてしまいますが、今年はJリーグが開幕して30年目のシーズンであり、明日がJリーグの開幕日となります。30年前に選手としてピッチに立っていた監督として、この30年を振り返り思うことはありますか?

Jリーグが始まってからワールドカップにも出られるようになりました。それまでは、ドーハで負けてしまったり。それはJリーグが始まってすぐで我々は(ワールドカップに)行けなかったのですが、そこからまたいろいろな外国籍選手や監督が日本へ来て、サッカーからフットボールに変わったといいますか。我々の時代は、サッカーといえば不良のスポーツという印象がありまして(笑)。なかなかやる人もおらず、野球ばかりだったのですが、Jリーグが始まったことでサッカーのイメージが変わっていきました。本場のサッカー関係者も日本へ来るようになってから取り巻く環境が変わってきましたし、ワールドカップに出るようになり、日本の多くの選手が海外でプレーしたり、サッカーというものが大きく変わった30年間だったと思います。我々の頃よりも今の選手は本当にうまくなっていますし、サッカーという部分でも戦術的な面など変わってきています。ルール変更によってサッカーは変わると我々は教えられてきましたが、キーパーがバックパスを手で処理できなくなったことでサッカーがまた変わっていきました。今ではキーパーが11人目のフィールドプレイヤーとしてプレーしている面も出てきていますし、まだまだこれからいろいろな形に変わっていくと思っています。まず我々の頃は、Jリーグが本当に5年、10年続くのかということが心配でしたし、一生懸命やるしかありませんでした。それがこういう形で30年続き、歴史を刻み続けられているのは本当に皆さまのおかげだと思いますし、多くのサポーターやサッカー関係者、メディアの皆さまが支援し続けてくれたことで続けられていると思います。今日も試合前にスタンドの子どもがたくさん、選手に手を振ってくれたりしていました。そういう子どもたちにもっと喜びを味わってほしいなと。その子どもたちが次のグランパスというものを作ってくれますから、「手を振ってくれている子どもに対してもっと手を振ってほしい」という話を選手にしました。なかなかコロナ渦で子どもたちと接する機会が減ってきている中で、楽しみにスタジアムへ来てくれている子どもや若い人、多くのファミリーの方々には、やはり勝たなければ喜んでもらえないと思っています。地元の人たちに喜んでもらうことがまたここからJリーグが10年、20年と続いていく大きなポイントになると思っています。「よく30年続いたな」という思いもありつつ、これからも末長くサッカー界を盛り上げていただくために、我々は1試合1試合を頑張らなければいけないと思います。