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【クラブ30周年レジェンドウィーク特別インタビュー連載3/4】阿部翔平さん

105月

5月14日(土)セレッソ大阪戦の試合前に行われるレジェンドマッチを前に、試合に出場するレジェンドOBにインタビューを実施。第3回の対象者は左サイドで攻守で躍動し、2010年にリーグ優勝を経験した阿部翔平さん。現在の状況やグランパスで過ごした8年間、レジェンドマッチへの意気込みを語ってもらった。


インタビュー・文=INSIDE GRAMPUS編集部、写真=J.LEAGUE


まずは現在の状況を教えてください。

阿部 今は東京都社会人リーグのSHIBUYA CITY FCで選手兼任監督をしています。普段は火、水、金曜日に9時から2時間練習をして、週末に試合をしています。決まった練習場所はないので、確保できたグラウンドで練習をしています。


監督としてはどのようなことをしていますか?

阿部 練習の指揮はコーチの戸田和幸さんにやってもらっているので、戸田さんに「こうしてほしい」、「こうなりたい」という要望を伝えて、目指す方向に進めるようにしています。ほかの選手と同じようにトレーニングをしているので、周りの選手はちょっとやりづらいかもしれないですね(笑)。


試合中の采配はどうしているんですか?

阿部 試合の指揮も基本的には戸田さんに任せています。試合に出てしまうとピッチの中での調整という感じになりますからね。全体の空気感を敏感に察知するというのはなかなか難しいので、細かいところは僕が見て、全体の流れを戸田さんが見るという住み分けをしています。


選手兼任監督は考えることも多く大変だと思います。

阿部 もちろん大変ですけど、楽しめていますし、すごく充実しています。ここ数年で一番コンディションがいいんですよ。すごく走れるし、軽い感じもするのでプレー面でも貢献できて、チームの中を考えることもできていて、今はすごく楽しいです。


2019年にヴァンフォーレ甲府から当時は東京都2部に所属していたTOKYO CITY F.C.(2021年にSHIBUYA CITY FCにクラブ名を変更)へ加入しました。どういった経緯で移籍したのでしょうか?

阿部 35歳を迎える年で、普通の流れだと一つずつカテゴリーを落としてギリギリ通用するクラブにいくと思います。でも、35歳からまた上を目指して日本代表を目指すのは冷静に考えると難しいので、それよりかはサッカーの見識を広げたいと思いました。アマチュアリーグの人たちはどういうことをやっているのかを知りたかったし、一緒にプレーすることでいい影響を与えたり、直接的に教えることができるのはとても魅力的だと感じました。あと、ここ何年かでSNSなどをとおして選手たち自身から発信するようになってきていますよね。社会人リーグに所属しながらもそういうところに力を入れているクラブなので、これから先に進むにあたってそういうことを勉強していくのもおもしろいんじゃないかと思いました。この2つが移籍を決めた大きな理由です。


実際にアマチュアリーグでプレーして感じたことは?

阿部 想像よりもサッカーができていないな、というのはありました。初めて一緒にプレーする選手でも、カバーしたりとか、開いてどのタイミングで出ていくっていうのはある程度わかっているものだと思っていたんです。でも、実際は全然そうではなくて。まず基本のところからっていうのが、衝撃的と言ったら言いすぎかもしれませんが、そこまでなのかと感じました。ほかのチームでも普通に起こっていることなので、こういうところから日本のサッカーレベルを高めていきたい、アベレージを上げていきたいなと感じました。


今年は東京都1部で2年目のシーズンを迎えています。

阿部 移籍して4年目なんですけど、4年の中で一番いいと思っています。選手たちのモチベーションがすごく高く維持できていて、今までは試合の中での運動量を確保できていなかったところがあったんですけど、かなり満足できるレベルまでできています。走ることは当然キツいんですけど、それを実際に試合でできるぐらいのメンタルを持てて、すごく前向きに取り組めているので、いい雰囲気でできています。


セカンドキャリアも含めて、今後の目標はいかがですか?

阿部 やれるところまでは選手として頑張りたいなと思います。セカンドキャリアという点では、監督をやっていることもそうですし、チームの集団として人数が少なくてチームの中の仕事がよく見えるので、半分入りかけている感じはしますね。こういうふうにチームが作られていて、こういうふうにチームが運営されているんだっていうのがわかってきました。どちらかというとやっぱり現場寄りにはなってしまうと思うんですけど、そういうところでやっていきたいというイメージはありますね。


ここからはグランパスに在籍していた時のことをお聞きしたいと思います。まずはグランパス加入の経緯を教えてください。

阿部 正直、僕はそんなに選択肢がなくて、むしろグランパスに拾ってもらったという感覚が強いです。大学の時にすごくケガが多くて、練習参加もなかなかできず、代表に選ばれてもケガで辞退することが多くて。ほかのチームからも気にしてもらえていたみたいなんですけど、あの選手はケガが多いからプロに入っても同じことが起こるだろうっていうことで敬遠されてたと思います。その中でケガが治った時に練習参加させていただいたのがグランパスでした。そこでいいアピールができたこともあって、グランパスから「来てほしい」と言ってもらえたので、「グランパスにいきます」という流れでした。


当時のチームの雰囲気はいかがでしたか?

阿部 見たことのある選手たちとプロとして一緒にプレーするので緊張の連続でしたね。それに加えてこの年は、この人が左サイドバッグという決まった選手がいなくて、1枠を5人ぐらいで争っていました。ライバルが多くて、すごいところに入っちゃったなと感じましたね(笑)。最初はたまたま出られたんですけど、本当に最初だけしか出られなかったですね。


印象に残っている選手は?

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