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明治安田生命J1リーグ第11節 京都戦 前日監督会見

25月
5月2日(月)、チームはトヨタスポーツセンターで非公開トレーニングを実施。練習終了後、3日(火・祝)に行われる明治安田生命J1リーグ第11節の京都サンガF.C.戦に向けて、長谷川健太監督がオンラインでの記者会見を行いました。

長谷川健太監督


ー明日のチケット販売状況についてですが、現時点で4万枚を超えていると聞きました。やる側としては気合いの入る状況だと思いますが、このことを聞いた感想はいかがですか?

コロナ禍では初だと思いますので、多くのファミリーの皆さんに喜んでもらえるような試合をしなければいけない、という気持ちです。


ー先日、国立競技場で行われたJ1第10節のFC東京対ガンバ大阪の試合でも、43,000人以上の入場者数を記録しました。だんだんとJリーグの観客が増えてきている現状についてはどのように感じていますか?

これはもう、ファミリーの皆さんの支えというか、なんとかこの状況でも自分たちの力で応援したいという思いと、クラブ関係者の皆さんの努力があると思います。現場の人間はそれに応えるしかないなと思っています。


ー前節のジュビロ磐田戦は残念な結果に終わりましたが、チームを切り替えさせることが重要だと思います。この4日間でどのようなことに取り組みましたか?

(前節は)前半の闘いは非常に良かったのですが、後半は勝ちたいという気持ちがあって受けに回ってしまった部分もあったと思います。やはり、最後までゴールを目指すという姿勢は崩さずに闘わなければいけない、と改めて痛感した試合でした。1点を守ろうという思いが、その前の(ファビアン)ゴンザレスのプレーはファウルだと思いますが、その一連の流れでセットプレーから1点取られてガクッときてしまったことにつながったと思います。やはり、あくまでも1点取ったら2点目、ダメ押しというところをチームとして目指していかなければいけないと我々も強く思った試合でしたし、選手たちもそういう思いを共有したと思います。もちろん終盤に1点差であればしっかりと守りきるということも選択肢に入ってきますが、その時にどうするのかというところも大事。試合後の会見で「チームとしてそういう共有をされたんですか?」という質問もありましたが、そういうところの甘さがあったことは否めなかったと思います。改めてこの4日間でいろいろなシチュエーションの確認をすることができたと思いますので、あとは思いきって京都(サンガF.C.)戦に臨むだけだと思っています。


ー試合をコントロールして、マネジメントするためには攻め続けるのも一つですし、守り切ることやボールを保持して時間を進めるなどいろいろなやり方があると思います。その中でも監督が強調するのは攻めの姿勢を貫く、守りに入らないということでしょうか?

勝っている時のリスク管理はもちろん大事ですが、そればっかりを気にしていると重心が後ろに掛かってしまうので、あくまでも2点目を取りにいくことをチームとしてやっていかなければいけないと思っています。(前節は)私の声掛けが若干ネガティブな方向に動いてしまったのか、それとも選手たちの勝ちたいという気持ちがそういうプレーにブレーキを掛けたのかはわかりませんが、後半の闘い方はだいぶ消極的になってしまいました。ジュビロのほうが「勝たなければいけない」という姿勢で、気持ちで押されてしまったのが後半の内容だったと思います。ただ、そうは言っても残り15分まではしっかりと闘えていたと思いますので、最後の15分の闘い方というところは、大きな代償だったかもしれませんが、痛い経験をして確認しなければいけないな、詰めなければいけないと痛感しました。この短い時間でそういうこともある程度、選手全員と確認できたと思いますので、あとは思いきってチーム全体で闘うことが必要だと思っています。


ー極端に言えば、敵陣でサッカーをしようと考えることが重要という意味合いでもありますか?

それができれば一番いいですけどね。それは理想であって、そうなるのはもっともっとチームの状態が良くなってからかなと思っています。ただ、やはりロングボールを受けて、受けてとなってしまうとなかなか厳しいので、最後まで前線のチェイスや迫力を落とさずにやっていかなければいけないということは間違いないと思います。それが4バックであろうが、3バックであろうが、終盤でも前線からのチェイシングを最後まで落とさないことが一番理想だと思っています。そういうようなことができるような形というのを選手に提示をしきれなかったというのも事実だと思いますので、そういうところも確認できました。今言った理想のような展開で、終盤を迎えられて、しっかりと締められる試合をできるかどうかだと思っています。


ー不運なトラブルなどもありましたが、リーグ戦10試合を終えた今の順位をどのように捉えていますか?

もちろん全く満足していないというか、胸を張れる状況ではないと思いますのでもっともっと勝点を。10試合で勝点20くらいないと優勝できるペースではないので、全然足りないと思っています。ただ、一つずつ階段を登るしかないと思っていますし、今シーズンは初めからそうやって積み上げということでずっとやってきていますので、現状は10しか取れていませんが、ここから積み上げていけるように一試合一試合大事に闘っていきたいと思っています。


ーこのような逆境から這い上がるために、監督の経験値をどのように生かせると考えていますか?

ガンバ(大阪)で3冠を獲った時は前半戦は15位か16位くらいで、後半から(巻き返した)と。もちろんチームのサポートというところも、夏のウインドウで必要になってくると思いますが、チームとして今やれるべきことをしっかりとやっていかなければいけません。それはしっかりと闘える土俵を作るということだと思っています。そういう意味では、前節はジュビロに負けてしまいましたけど、ここ数試合はしっかりとチームとして闘うことはできて、締まったゲームをできるようになってきたので、今は続けて、そこからどうやって勝ちに持っていくかということをチームとしてやっていきたいなと思っています。


ー磐田戦の後半については、相手の立ち位置が変わったことへの対応で押し込まれる展開になった、という話を選手が試合後にしていました。試合中に相手が立ち位置を変えてきた時に対応していく力という部分での積み上げについてはどのように感じていますか?

それも準備不足だったと思います。ジュビロが3−5−2でやってきたのは初めてで、そういうことも我々がしっかり準備しなければいけない。相手がそうなった時にどうするのかという対応力がまだ足りなかったと思います。そういう意味では、京都も試合の途中でシステムを変えるチームです。1試合以外は途中で3バックに変えて、3−4−3なのか3−5−2という形に変えていますので、今回もそういう対応力が求められるゲームになるのではないかと思っています。


ーここ数試合不在だった選手についてお聞きします。特に前線は駒が足りない状況だったと思いますが、明日以降には選択肢に入ってくる状態に戻ってきていますか?

磐田戦後の会見の時に名前が挙がったすべての選手というわけにはいかないのですが、何人かは戻ってこられそうです。


ー改めて、明日の試合は初めて観戦に来る方や、久しぶりにスタジアムに足を運ぶ方がいると思います。どんな戦いを見せたいですか?

観ている方が熱くなるような試合をまずしなければいけない。そのためには、京都も闘うチームなのでそれに負けていたら話にならないと思います。我々が熱くサッカーをすることによって、観ている人たちの気持ちに伝播していくと思います。観ていて手に汗を握るような試合をしていきたいと思っています。


ー昨夜、元日本代表監督のイビチャ オシムさんが亡くなったというニュースが飛び込んできました。長谷川監督は清水エスパルスを率いていた時に対戦経験があります。オシムさんとのエピソードや影響を受けた部分はありますか?

Jリーグの1勝目がオシム監督との対戦でした。清水の時は開幕から6試合勝てなくて、7戦目にホームでオシムさんが率いるジェフ(ジェフユナイテッド市原・千葉)と闘うという状況でした。開き直ってぶつかっていくしかないということで、2-1というスコアで初勝利を収めることができました。試合後の会見でオシムさんが「エスパルスは序盤戦で苦しんでいる中で、長谷川監督が進めているサッカーは決して間違っていない」とあえておっしゃってくださいました。負けた時に、勝った監督をフォローすることは我々には到底できないと思うのですが、オシムさんは序盤戦でうまくできていない監督の心境を汲んでくれて、負けたにも関わらず、そういうような形でフォローというか、認めてくれるような発言をしてくださいました。それで私は非常に勇気づけられたというのがあって、今こういう形で監督を続けることができています。直接お話するということはなかなかできませんでしたが、オシム監督の背中、姿勢を闘う中で見ることによって、いろいろな影響を受けました。本当に感謝しています。日本サッカーの発展というか、オシムさんがいなければここまでサッカーが変わってこなかったと思いますので、非常にJリーグの発展に貢献した方だと思っています。


ー何色ものビブスを使うなど、オシムさん独自の練習メニューがたくさんありました。取り入れた指導法などはありましたか?

多色ビブスは何回かやったことがあります。目から入る情報をいかに脳で処理するのかというのを、トレーニングから刺激を与えるということは、よく考えられているなと感心しました。あとは3対3をフルコートでやったりとか、いろいろなトレーニング法をJリーグの監督たちも、「どんな練習をしているんだろうと」いろいろな形で参考にさせていただいたことはすごく記憶に残っています。


ーオシムさんは日本サッカーにどのような影響を与えたと感じていますか?

リスクをかけないと点を取れないよと。いく時にはガンガン追い越していくけど、どうやってリスク管理をチームとしてやるのかとか。相手によって柔軟に選手たちの自主的に考えさせたり、それはトレーニングから落とし込んでいると思いますが、選手たちが臨機応変にグラウンドの中で考えなければいけないような状況をどうやってトレーニングの中で作っていくのかとかもそうですね。「あ、そんなサッカーがあるんだ」というような、マンツーマンで古典的に思えるのですが、人がどんどん追い越して、入れ替わっていくという形で、アグレッシブなサッカーというところでそれまでのサッカー観をガラッと変えてくださった監督だったと思います。オシム監督のジェフと対戦する時には守るというよりは攻めなきゃ失礼だというような思いで対戦したような記憶があります。