1年間で55試合を闘った2021シーズン、選手やコーチ陣はもちろん、スタッフたちの奮闘も見逃せない。裏方としてチームを支える副務の北野眞一とチームマネジャーの三田実にインタビューし、日々の業務やコロナ禍でのACL遠征など、2021シーズンを振り返ってもらった。
インタビュー・文=INSIDE GRAMPUS編集部
今シーズンもお疲れさまでした。まずはそれぞれの業務内容を教えてください。
北野 「これ」と説明するのは難しいですが、用具を乗せたトラックを運転したり、ウェアの管理をしたり、時にはバスに乗って送迎をすることもあります。具体的に挙げると膨大な数になるので“なんでも屋”と言っています。
三田 僕も同じく“なんでも屋”になりますが、新幹線やホテルも含めてチームと一緒に行動して、スケジュール管理やサポートをしています。旅行代理店やいろいろな人とコミュニケーションを取りながらスケジュールを調整したり、クラブの事業部とチームとの間に入っていろいろな調整をしています。
今年は過密日程で試合が続き、ずっと張り詰めている状態だったと思います。心身的な疲れはありましたか?
北野 アウェイでは2ndユニフォームを着ることが多いので、前日に宿舎で寝ていると「あ、ユニフォームを忘れた」とか、「あ、間違えて1stユニフォームを持ってきちゃった」という夢を見て起きるんです(笑)。実際にそんなことは一度もないんですけど、何十年やっていてもそういう夢を見ます。自分としてはそこまで心身的な疲れは感じていないんですけど、体がそうなっているということはかなりのストレスが掛かっているんじゃないかなと思いますね。家にいても目が覚める時があるけど、オフになるとそういうことはなくなるので、やっぱりシーズン中はずっと張り詰めているんだと思います。
三田 僕はずっとチームと一緒に行動しているので、選手たちを困らせられないという緊張感がいつもあります。新幹線やバスが遅れたらどうしようとか。自分が一つでもミスをしたら流れが崩れてしまうんじゃないかと。北野さんと一緒で、寝坊した夢とか、遅刻した夢を何十回も見ました。
北野 自分で言うのもなんですけど、大変だなと思いますね(笑)。
今シーズンは過密日程の中で55試合をこなしました。
北野 僕はユニフォームを畳んでいるので、「もう見たくない」とユニフォームが嫌いになりました(笑)。今年は『鯱の大祭典』用ユニフォームやACL(AFCチャンピオンズリーグ)用ユニフォームがあり、ルヴァンカップの決勝もユニフォームが変わったりして、いろいろな種類があったので管理にも気を使いましたね。でも、楽しかったです。海外遠征もあって大変は大変でしたけど、なかなかできない経験なので、いい1年間だったと思います。
30年近いキャリアの中で「ユニフォームを見たくない」と思ったことは?
北野 ここまで思ったことはなかったですね。倉庫で畳んでいると、スタッフから「北野さん、また畳んでいるね。昨日もやっていたよね」と声を掛けられるんですよ。たしかにそれくらい畳んでいました(笑)。
三田さんはチームマネジャーになって2年目で異例の過密スケジュールをこなしました。
(残り: 6697文字 / 全文: 8020文字)