日本代表デビューに始まり、ルヴァンカップMVP、ベストイレブン選出、チーム最多得点。
超過密日程となった今シーズン、公式戦全55試合に出場した稲垣祥の多大なる功績だ。
加入1年目から主軸として活躍し、2年目にしてその地位を確固たるものとした。
キャリアを重ねるごとに円熟味を増すタフな男はこれからも走り続ける。
インタビュー・文=INSIDE GRAMPUS編集部
2021シーズンは稲垣選手にとってグランパス加入2年目のシーズンでした。環境やチームに慣れてきたかと思いますが、どのようなテーマを持って2021シーズンを迎えましたか?
稲垣 今年は昨年積み上げてきたものがあったので、個人的としても、チームとしても自信があったというか、ある程度の土台があると感じていました。個人的には加入2年目ということで環境面にも慣れてきて、安心感を持ちながら今シーズンをスタートさせることができました。チームとしては昨年逃したタイトルをなにか一つ獲りたいという想いが強く、それに対してチャレンジするような1年でした。
昨シーズンのベースがあった上で、新たに取り組んだことや変化を加えた部分はありましたか?
稲垣 新たなものは特になくて、取り組んできたものをより分厚くするイメージでした。外的な要因として移籍してきた選手が入ったことで新たなエッセンスが加わり、表現の仕方が多少変わる部分はあったかもしれないですね。
稲垣選手も昨年は新加入選手という立ち位置でした。今シーズンから新たに加わった選手たちに対し、なにか働き掛けるようなことはありましたか?
稲垣 僕が加入した時もそうでしたけど、良くも悪くも選手の入れ替わりが激しく、古参と言えるような選手が少ないので、いい意味で新しい選手が溶け込みやすいんです。確立された空気感があるわけではなく、移籍加入の選手が“外部者”と見られることもありませんでした。共に闘っていく仲間にスッとなれるのはグランパスの特徴かもしれません。ですので、新加入選手をあえてケアするとか、彼らに意識的に話し掛ける必要はなかったですね。
沖縄キャンプを経て、2月28日の開幕戦を迎えました。開幕直前の練習試合では敗戦してしまいました。
(残り: 6276文字 / 全文: 7187文字)