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【インタビュー連載(1/2)】中谷進之介「新たな景色のその先に」

1112月

3月には目指し続けてきた日本代表に初めて選出。

チームでは丸山祐市の離脱により、ゲームキャプテンという重責を背負った。

そして、自身としても初めてのトロフィーを勝ち獲る。

今シーズンの中谷進之介は新しい景色を見続け、サッカー選手として大きく成長した。

その目に映るものが増えたからこそ、人一倍の悔しさも感じている。

胸に秘める想いを糧に、より良い景色を求めてーー。

頼もしくなった背中で名古屋を頂へ導く。


インタビュー・文=INSIDE GRAMPUS編集部


2021シーズンが終わりました。今の率直な気持ちを教えてください。

中谷 「やっと終わった」というのが率直な気持ちです。最終節は体調が悪くて耐えることに必死で、試合後はセレモニーに参加せずにすぐに帰って寝たため、いつもよりは“終わった感”が薄いですが「やっと終わった」という感覚です。


監督は試合後、中谷選手について「コンディションの問題で起用できるかギリギリまでわからなかった」と語っていました。すぐに帰って寝るほどだったんですね。

中谷 正直辛かったですけど、出ると決めたからにはやるしかないと思っていました。「言い訳にしない」という気持ちでしたが、やっぱりキツかった。前日まで無理かなと思っていたけど、それでもできるということに監督が気付かせてくれました。連戦の時もそうだったけど、不可能だと思っていても、人間の体は意外と強くできているんだなと。そういったことに気付かせてくれたこともそうだし、そこまで信頼して僕を使ってくれたマッシモ(フィッカデンティ監督)には感謝しています。


「やっと終わった」というのは、過密日程の中で公式戦55試合を闘い抜いたからこその感情でしょうか?

中谷 いや、シーズンが終われば「やっと終わった」と思うものです。ACL(AFCチャンピオンズリーグ)のタイ遠征はキツかったですけど、隔離生活や試合が多くあることによる辛さを僕はそこまで感じていませんでした。多くの試合をこなせて楽しかったし、ずっと試合に出続けられている状況は自分にとってすごくポジティブなことなので、そういった期間を楽しめた自分がいましたね。


長いシーズンを闘い抜き、リーグ戦を19勝9分10敗の5位で終えました。この結果をどう評価していますか?

中谷 もったいないですね。グランパスがいるべき順位ではないと思います。3位で終えた昨シーズンからメンバーがほぼ変わらず、補強をしてこの順位ですから、満足いくものではありません。今パッと考えただけでも、取りこぼしたと思う試合が5、6試合はあります。そういうところで勝点を積み上げていれば、さらに上を目指せたと思います。3位以内に入るだけの力は絶対にあるし、それだけの能力を持った選手たちがいるのがグランパスだと思うので、やはりいるべき順位ではない。ただ、1位を目指すだけの力は足りなかったと思います。


それは優勝した川崎フロンターレとの直接対決で力を見せつけられたことや、順位表を見ても数字的に抜けているから?

中谷 そうですね。彼らが目指してきたものの強さはすごくあると思います。グランパスはここ2年間で特に守備の部分を積み上げてきましたけど、彼らがもっと長い年月を掛けて積み上げてきたものにはまだ勝てないのかなと。


今シーズンを振り返ると、開幕後は10試合負けなしで好調な滑り出しをしましたが、川崎Fとの対戦もあった5月は2勝2分3敗と苦しい時期がありました。その後はACLのタイ遠征があり、再開後はサガン鳥栖と横浜での2連戦で3連敗を喫し、その後は7試合負けなしを記録。しかし、終盤戦では勝ちきれない試合がいくつかあり、少し波があったのかなと思います。

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