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明治安田生命J1リーグ第14節 清水戦 前日監督会見

145月
5月14日(金)、チームはトヨタスポーツセンターで非公開トレーニングを実施。練習終了後、15日(土)に行われる明治安田生命J1リーグ第14節の清水エスパルス戦に向けて、マッシモ フィッカデンティ監督がオンラインでの記者会見を行いました。

マッシモ フィッカデンティ監督


ーおかえりなさい。4月29日の川崎フロンターレ戦を前に喉の痛みがあったことでオンサイト検査を受けました。試合当日に言い出すのは勇気のいることだったと思いますし、すばらしい判断だったと思います。その時の気持ちを聞かせてください。

ありがとうございます。世界中が新型コロナウイルスによって苦しめられており、まだ明確ではない部分も多くあります。なにが一番大切なのか。そこに順位をつけるものではないと思います。その中で我々のようにサッカーの世界で生きている人間にとって、サッカーというものがあまりにも大事なものだと。なによりも大事なものがサッカー。サッカーの人間として生きていくことは変わりませんが、ただ瞬間、瞬間で今はこのような世の中で、新型コロナウイルスとどう接していくか、どう暮らしていくか。そこは疎かにしてはいけないのかなと。今年に限ってはまだそういう状況だと、ということは絶対だと思います。正しい判断ができて良かったかなと。称賛していただいたことはありがたいですけど、試合当日だっただけに、そういった影響がゲームのほうに出てしまったのかなと。私も含めてチーム全体で「そうではいけなかった」という位置づけをしなければいけませんが、(影響が)出てしまったのは残念に思います。


ーブルーノ コンカコーチは7日の会見で「監督は元気と言っていい状況」だと明かしていました。その後の経過や、試合中の指揮についても教えてください。

質問いただいたとおり、ずっと体調は良かったです。今は自宅でDAZNを通じて試合を観戦していると、現場と少し遅れが生じることは皆さんも知っていると思います。テレビの画面を見て、そのタイミングで電話を通じてなにか指示を出しても、20秒前、30秒前の出来事を見ながらになってしまいます。それではあまり意味がありませんので、そういったつながり方はしていません。遠隔操作は、今の状況では難しかったかなと。ベンチにいて、テクニカルエリアで指示を出す感覚を再現するのは不可能なのかと思います。同じタイミングの映像を見られませんからね。ただ遅れながらでも、試合の方向性について指示を出すことはできました。けど、私は瞬間、瞬間の指示を大事にしているので、「現場にいるメンバーでなるべく回してくれ」と伝えていました。


ー監督が離脱している間は、残念な成績が続いてしまいました。そのような結果を受けて、現場に復帰後は選手たちとどのように接しているのでしょうか?

実際に試合を振り返って、結果としてどうだったか。先ほども少し触れましたけど、選手たちが少しショックな状態になってしまって、いつもとは明らかに違う状態でプレーしていました。残念な部分もありましたけど、すべてが裏、表かなと。それだけ選手たちとつながっている強さがあった中、あのタイミングで、いきなり私が欠けた状態でゲームをやらなければいけなかったので、そういったものが出てしまったのかなと。それぞれの役割があって、ここまでやってきたので、1人欠けた影響が出てしまった。逆にそれだけずっとつながれていると思ったので、いなくても同じような感覚でやってくれるのではという思いもありましたけど、それが出なかったと。そういった部分で、取り組み方の当たり前という線引を、私がいても、いなくても上げていかなければいけないと話しました。


ー負けた試合でグランパスの選手がらしくないと感じた部分は?

おっしゃるとおり、名古屋らしくない部分がどこだったというより、名古屋らしくないと見えた部分。名古屋らしく闘えることが我々の強さでしたので、いつも自分たちのやり方で、自分たちの取り組み方を試合で出せるということ。なので、結果の部分より、どういった内容で、どういった闘う姿勢だったのか。そこはすぐに手をつけなければいけない部分だと思います。こういったあまりにも非日常的なことがチーム内で起こった時、いつもどおりの力を発揮できなかった。まだ我々のレベルはここだったのかと。次回からはこういう取り組み方をすることで、そういうことを乗り越えていかなければいけないと思います。あまり次回があるようなことではないです。私は選手たちのことをよく知っていますので、この状態からしっかりと闘える集団に戻す作業は、困難を要するものだと思っていません。スイッチが入っている手応えはあります。明日からまたしっかりと闘っている姿をファミリーの皆さんに見せたいと思います。


ー気を付けて生活していながらも新型コロナウイルスに感染してしまいました。どのような部分で新型コロナウイルスの恐ろしさを感じましたか?

皆さんも感染対策をしている中、我々自身はグラウンドの中で過ごすことが多いです。「我々の生活」イコール「グランパスでどう過ごしているか」になってきます。ウイルスをもらわないこと、移さないこと。自分が感染しているかもしれないという意識を持っている中、私をもとに感染が拡がらなかったのはそういった過ごし方をできていたのかなと。実際に、家にずっといなければいけない期間を過ごしてきました。症状は、最初に違和感を感じたところからひどくなることはありませんでしたが、PCR検査をしていただく中、ウイルスの量がどれだけあるのかという深い検査をしていただく機会もありました。「陽性反応が出る方の中でもウイルスが多い」と言われる時期もありました。幸いなことに、症状が変わることはありませんでした。自分のデータを見ながら、そういったこともあるのかと。新型コロナウイルスによって受けるいろいろな症状が出てしまう危険より、なにもないけどそういう言い方をされたなら、しばらくは陰性にならないのかなという不安がつきまとっていました。また、ここから少し悪くなっていくことがあるのかな、出ていない症状が出てくるのかなという不安と過ごさなければいけなかったので、今振り返ると私の場合はメンタル的な部分できつかったかなと思います。そういった方の気持ちがわかるようになりました。なにかあった時には、そこからなにか得たほうがいいと思いますので、そういった部分は実体験をもとにわかりました。そこは今度に生かしていきたいと思います。


ー今節は中2日での一戦です。体力的にも厳しい中でどのような部分がポイントになってくると感じていますか?

昨年もそうでしたが、ACLに出場するチームは不利な状況でリーグ戦の日程をこなさなければいけません。正しくないと思いますけど、状況的に受け入れざるを得ないことです。ACLに参加するチームは毎年、そういった日程にせざるを得ないこともわかります。なんとも言えないところですね。今のチーム状況、我々自身がどういったチームなのか。闘える集団、勝てるチームということを見せたいです。この日程ですので、すぐに次に闘えるチャンスがある。今のチームの状況や雰囲気を見ると、明日が試合でもなんの問題もないのかなと。メンタル面での充実度はすごく高いです。体力的な部分での疲労を頭で感じる前に、気持ちでそういった部分も乗り越えてくれるのではないのかなと。決して精神論ではなく、サッカーはそういった影響が、試合中にどこまでもう一歩足を出せるのかということにも大きくつながってきます。それをもとに乗り越えられると思います。


ー大事な時期にチームを離れる苦しさやもどかしさがあったと思います。現場を離れていた約2週間はどういった期間になりましたか?

この期間を振り返って、先ほども触れたようにメンタル的にやられてしまうところまでいかなかったのは、自分自身がしっかりと闘えたと思っています。普段ない時間を取れたといえば取れましたが、メンタル的にスッキリとした気分で「切り替えてこの時間はいつもと違うことをしようかな」というものでもありません。新しいことにチャレンジする過ごし方をするものでもありません。私はこの仕事をやりながら頭の中でずっとグランパスのことを考えていますし、今回は離れているからこそいつも以上に考えていました。「現場にいたらこういうことをしているのに」といったことを思っていて、そういったストレスとも闘っていました。自分が新型コロナウイルスと闘っていることに加え、チームを遠くから見なければいけない、思うことがあっても直接働きかけることができない。いろいろなストレスと闘って過ごしていました。そこを乗り越え、今はスッキリした状況です。そこから抜け出してきたからこそ持っているエネルギーをどれだけチームに還元できるか。今は間違いなくすごい強さ、パワーを持って、戻ってこられたと思っています。


ー“再出発”でもある今節に懸ける思いを聞かせてください。

みんなと2週間ぶりに会いましたが、名古屋に対する思い、そしてやりきるというモチベーションは、2週間前よりもはるかに大きなものを持って帰ってきたと選手に伝えています。選手たちにいろいろと話す時間があったら、少しでも走って、少しでもトレーニングして、やるべきことをやって強くなろうとも話しています。あとはしっかりと結果を出して、皆さんにそれを見ていただきたいと思います。