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明治安田生命J1リーグ第34節 広島戦 前々日監督会見

1712月
12月17日(木)、チームはトヨタスポーツセンターで非公開トレーニングを実施。練習終了後、19日(土)に行われる明治安田生命J1リーグ第34節のサンフレッチェ広島戦に向けて、マッシモ フィッカデンティ監督がオンラインでの記者会見を行いました。

マッシモ フィッカデンティ監督


―試合前の会見も今シーズン最後になりました。ここまでありがとうございました。

こちらこそ取材してくださる皆さんにとても感謝しています。


―今節は勝てばACL出場が決まる一戦です。現在の心境を聞かせてください。

最低でもリーグ4位という状況になっています。そういった順位になったとしても、よほどのことがない限りACLはプレーオフから出場できると思っています。ただそうではなく、残り1試合あり、我々次第でそれをより確実なものにできる状況にあります。1年をとおして言ってきた「可能な限り良い成績を目指すこと」。最後の試合も勝利を目指すことには変わりません。


―1年間積み重ね続け、シーズンをとおして強くなり続けてきたチームだと思います。最終節は一番いい試合を見せたいのでは?

すごく難しい1年だった中、こういった継続性を一つのテーマとして掲げていました。今シーズンだけではなく、長期的な強さのベースを作らなければいけない年としていました。そういった作業ができた上で、ここにたどり着いていると思います。1年間でどこか絶不調な時期があったわけではないと思います。そういった1年だったことを示せる試合にしたいです。


―今節はガブリエル シャビエル選手が出場停止です。前線の構成や攻撃についてどのように考えていますか?

多くの選択肢の中から決めなければいけないわけではありません。山﨑(凌吾)はケガの影響を感じさせない状態になってきていますので、何分プレーできるかというコンディションの部分を見極めていく必要があります。そこをしっかりと見極めた上で、最初からなのか、途中からなのかなど、どういった起用法をできるか。あとはそれぞれの良さを見た上で決めたいですし、広島は昨日試合をやっているのでそこも分析し、最善の形を決めたいです。まだ時間はありますので、ギリギリまで見極めていきたいと思います。


―今シーズンは守備でいいベースができたと思います。攻撃の完成度についてはどのように感じていますか?

サッカーの世界ではどういった形で得点が入るのか。チームを作る側から見た時、FWとして登録されている選手、FWとしてサッカーのキャリアを歩んでいる選手、彼らになにが求められているのか。それはゴールだと思います。どのような選手が必要とされるのか。そういった選手を見ていくと、2ケタ得点など多くの得点を挙げています。今のサッカーでFWはいろいろな役割を求められるようになってきていますし、いろいろな能力が必要です。しかし、得点を取れるFWは、攻撃を構成するには欠かせないのかなと思っています。


我々にそういった選手がいなかったわけではなく、FWとしてプレーするべき選手たちがいた時には、攻撃がすごくスムーズになったこともありました。川崎Fだけがほかのチームと比べて倍くらい得点を取っていますけど、ほかの上位チームと比べて、グランパスは「守備がいいけど、得点が取れない。攻撃はだめ」と言われるような状態ではないと思います。得点を取るという特長を持つ点取り屋がいれば、もう少し変わっていたのかなという自己分析をする必要があると思っています。ただ、どんな形であろうと、結果を出して、このリーグの中で上位にいるために、今いるメンバーたちがそれぞれの役割を担い、勝ち点を伸ばしていくか。役割を全うしてくれたから、今この順位にいると思います。「今年はどういう選手がいなかったからこうだった」というより、「今年はこういう選手がいたから、今我々はこの位置にいれる」という評価や、選手の見方をしてくれると、監督としてはうれしいです。


―さまざまなことが起こった1年でした。最終節はいろいろな感情が入ってくるような試合になりそうですか?

どんな気持ちでこのゲームに入るかという部分では、これだけ1年間闘ってきた選手たちに対し、最後の1試合でもう一度なにか引き締めるような言葉を掛けて、グラウンドに送り出す必要があるのかなと。選手たちはやってくれるだろうと思っています。アドレナリンに満ちた状態でグラウンドに入っていけるか。そういった部分のやり合いも、対戦相手も最後の試合なのでいい形で終わりたいでしょう。戦術云々に関してはある意味、今さらやっても仕方ないという部分があります。約1カ月前に対戦しているチームですし、そういった気持ちの部分、モチベーションにできるものをすべてつぎ込んで、気持ちが伝わるようなゲームをファミリーの皆さんに見せるべきだと思っています。


グランパスの監督に就任して約1年3カ月。去年の終盤戦は、残り2試合目(第33節)は磐田が相手だったと思います。その試合が終わった時、なにかすごく残念な雰囲気しかないような。鳥栖戦に引き分けたことで、残留がほぼ決まっていたような形になっていましたけど、なにかグランパスらしくない、グランパスはこうではいけないというような雰囲気を全員が感じていました。我々自身も感じていましたし、サポーターの方の不満も強く感じていました。そこから約1年経過して、こういう状況になり、グランパスについての愛を記者の皆さんと話せる状況にできました。選手たちと一緒にそういうふうにやりきって、そういう終わり方ができるようにやっていこうという取り組みから始めました。それがほぼ形にできたのではないかなと。1年を振り返って、ある程度やるべきことができたと思います。


―先ほど「長期的な強さのベースを作らなければいけない年だった」と話していました。数字が表しているように、守備が一つのベースになったと感じていますか?

先ほど去年の今の時期と比べて、「今日こういった話ができる状況をすごく喜ばしく思える」と言いました。見方を変えていくと、段階的にグランパスがしっかりと闘えるチーム、上位を争えるチームになっていったかというより、今シーズンの頭からガラッと変わった姿を見せられたのかなと。それをさらに継続的にできたと思いますので。去年より良くなったという簡単な違いではないのかなと思っています。シーズンをとおして継続的にこういう取り組みができたということはすばらしいですけど、長期的なプロジェクトになっていくには、我々自身がこういった目標を掲げながらも本当にこういう形にできると信じた上で、長期的なところに物差しを向けて、取り組んでいたのかなと。実際に「これができた」、「本当だ」という実感を得た関係者もいると思います。本当にこういうことが成し遂げられるんだという感覚で、よりリアルに物事を見ることができます。もちろん、ここで満足してはいけません。次のステップに進むことをやっていかなければいけないのかなと。堅いベースが作れたと思います。サッカーの面で、いいところ、数字的に変わったところ、攻撃がどうなった、守備がどうなったということもあります。しかし、なによりも1年とおしてどう取り組むべきか、どういった感覚でサッカーと向き合うべきか、強いチームとしていられるベースになるのかなどといった部分を作れたことが、今年グランパスが得た一番のことなのではないかと思っています。


―勝利すれば3位が確定します。鹿島vsC大阪の結果次第でも3位になります。同時刻キックオフとなる他会場の結果を逐一チェックしていくのでしょうか?

取り組み方のベースとして、本当にいろいろな部分で、全力で取り組めているのか。それは選手と取り組む中で、絶対に見過ごしてはいけない部分、絶対に守らなければいけない部分としてやってきました。我々自身が勝つことで、我々が臨んでいる方向に持っていけるなら、まずは自分たちが全力で試合に臨むことに尽きると思います。ほかのチームの結果を見ながら、「こういう結果でも許される」と計算し始めたら、我々が1年間とおして見せることができた今年のグランパスの強さを発揮できないのかなと思います。全力でやりきることに選手も私も集中して試合に入りたいと思います。


―監督自身の最高成績はFC東京時代のリーグ年間4位です。3位で終わりたいというこだわりは?

なによりもグランパスのためですけど、しっかりと3位で終わることで、ACLは予選から出場できる可能性が高まります。なによりもいい結果を出すことで、その先にもいいつながり方をします。私の記録はおまけです。グランパスのために、勝てるように頑張りたいと思います。FC東京時代の4位だったという話をされるたびに、勝ち点では3位と同じだったけど、得失点差で4位になったなと。今後もこの質問をいただいたら、同じことをずっと言っていきますよ(笑)。