NGE

和泉竜司「名古屋で闘えたことを幸せに思う」

41月

1月4日(土)、和泉竜司の鹿島アントラーズへの完全移籍が発表された。同選手の移籍を受けて、『INSIDE GRAMPUS』はインタビューを実施し、移籍の経緯や名古屋での4年間、グランパスファミリーへの想いを聞いた。


インタビュー・文=INSIDE GRAMPUS編集部




鹿島アントラーズへの移籍が決定しました。現在の心境を教えてください。

和泉 また新たな勝負が始まると感じています。今はドキドキした気持ち、ワクワクした気持ちがありますね。ただ、移籍を決断する最後の最後まで本当に悩みました。


決断を下すにあたり、葛藤があったのでは?

和泉 名古屋への想いがあるからこそ、すごく難しい決断でした。名古屋で過ごした4年間では、本当にいろいろなことがありました。いいことも悪いこともたくさんあったと感じています。その中で名古屋への想いは年々強くなっていきました。自分のためというよりも、「名古屋のために」という想いを抱いて闘うようになっていったというか。社長や強化部をはじめ、名古屋に関わる人たちの気持ちをたくさん聞いていたこともあり、今回の移籍は簡単に決められるものではなかったです。僕の性格からしても、クラブを変えるより今後も名古屋でプレーしていくほうが合っているんじゃないかとも考えていましたから。


そういった想いがある中で、移籍を決断した一番の要因とは?

和泉 選手としてさらに成長するためには、環境を変える必要があると考えたからです。もちろん、「名古屋では成長できない」ということではありません。どのクラブに在籍していたとしても、自分の意識次第で成長できると思っていますから。でも、より厳しい環境に身を置きたいという考えがありました。常に優勝を義務づけられているクラブで闘うことで、得られるものは多いのかなと。また、短いサッカー人生において、「ここで勝負しなければ次はないかもしれない」という考えもありました。




大学卒業後に加入した名古屋では4シーズンを過ごしました。改めて、名古屋での4年間を振り返ってもらえますか?

和泉 さまざまな出来事のあった4年間でした。プロ1年目でJ2降格を経験し、次のシーズンにはJ1昇格を決めた。3年目、4年目は結果として残留を争うことになってしまったことを含め、いいことばかりではなかったですけど、いろいろな経験ができて貴重な時間を過ごせたと思っています。名古屋というクラブで、素晴らしい方々と闘えたことを幸せに思いますね。


名古屋での4年間で、印象に残っていることは?

和泉 2016年、ホームでの横浜F・マリノス戦ですね。プロ初ゴールを決め、試合に勝つことができましたから。その一方で、J2への降格が決まった湘南との試合も印象に残っています。その時の僕はスタンドから応援することしかできず、「ピッチに立つことができなければチームを助けることはできない」と改めて感じさせられました。また、2017年にJ1昇格を決めた豊田スタジアムでの福岡戦、2018年の最終節湘南戦もいい思い出として強く残っています。2019年で言えば、豊田スタジアムで行われた川崎F戦ですね。僕自身、プロ入り後初の2ゴールを決めた試合で、チーム全員がいいプレーをして相手を圧倒しましたから。勝てない時期が長く続いた中での白星で、応援してくれた皆さんと勝利を喜び合った時間を鮮明に覚えています。


この4年間は苦しい時期も多く過ごしたかと思います。

和泉 これまでのサッカー人生においても、なかなかないような経験でした。でも、負けたからこそ見えてくるものがあるのも事実です。苦しい経験は間違いなくプラスになっていて、今後のサッカー人生に生きてくると思います。それに、チームが勝つために100パーセントでやってきた結果ですから、後悔はありません。




2020シーズンは鹿島の一員として闘うことになります。どういった目標を持って新シーズンに臨みますか?

和泉 まずは厳しい競争に勝ってポジションを勝ち取ること。そして試合で結果を残したいと思っています。選手としての価値を高め、日本代表に選ばれるような選手になっていきたいですね。


選手として成長するために伸ばしていきたいところは?

和泉 フィニッシュやラストパスのクオリティーです。まだまだ高めていく必要があると強く感じています。前線の選手に求められるのはやはり結果ですから、強くこだわって取り組んでいきたいと思います。今度は敵として闘うことになりますけど、成長した姿を見せられるように頑張りたいです。


名古屋との対戦は想像できますか?

和泉 今はまだできないですね。実際にその時になるまでわからないと思います。ブーイング、されるんですかね……。どういう心情になるのかわからないです。


改めてグランパスファミリーと過ごした時間を振り返っていただけますか?

和泉 チームがどういう状況でも変わらずに応援してくれました。感謝してもしきれないですね。それだけに、勝利の瞬間を多く届けられなかったことを申し訳なく思いますし、悔しい気持ちが強いです。また、生え抜きの選手として僕に期待してくださる方々も多かったですから、その気持ちに応えられないことを残念に思います。申し訳ない気持ちでいっぱいです。ただ、今回の移籍は大きな覚悟を持って決めたことなので、「温かく見送ってほしい」という想いもあります。


名古屋を離れるにあたり、寂しさはありますか?

和泉 すごく寂しいですよ。応援してくれた皆さんの存在があったからこそ悩んだわけですから。直接、お別れを言う機会がなかったことが心残りです。鹿島で活躍して結果を残すことが応援してくれた方々への恩返しになると思うので、皆さんのためにも頑張っていきたいと考えています。


最後に、グランパスファミリーにメッセージをお願いします。

和泉 これまでたくさん応援していただき、本当にありがとうございました。皆さんの応援はすごく熱くて、スタジアムの雰囲気も最高でした。そんな素晴らしいクラブを出ていく決断をするのは、簡単ではなかったです。それでも僕は「鹿島に行って勝負する」と決めました。これからは敵になるわけですけど、僕のチャレンジを温かく見守ってくれるとうれしいです。覚悟を持って挑戦してきます。4年間、本当にお世話になりました。