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【インタビュー連載(4/6)】前田直輝「曇りなき目で」

2512月

長いトンネルだった。

3度のメンバー外も経験した。

苦しみながらたどり着いた答えは

周囲でも、環境でもなく自分自身。

真の成長を果たしたドリブラーは、

曇りなき目で未来を見据えている。


インタビュー・文=INSIDE GRAMPUS編集部

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今シーズンは明治安田生命J1リーグで29試合に出場し、自己最多となる9得点を記録しました。この数字をどのように感じていますか?

前田 全く満足していません。得点数はもちろんですけど、もっと試合に出たかった。スタメンの回数は19回ですし、フル出場の回数は4回。正直、「なんで使われないんだ」と思ったこともありましたよ。でも、それは監督が決めることであって、僕になにかが足りないからスタメンで出られなかったわけです。そういう意味で、考えさせられること、学ぶことがとても多いシーズンでした。


昨シーズンは夏の加入にも関わらず7ゴールをマーク。主力の立場を確立させていた中で、今シーズンに入るにあたってどのような目標や課題を持っていたのでしょうか?

前田 おこがましいかもしれませんけど、当初は「このチームを引っ張りたい」とか、「攻撃の中心でありたい」という想いでした。でも、蓋を開けてみたらそういうことを考える以前の立ち位置だったんです。チームの始動日から、スタメン組とサブ組で毎日分けられていて、自分は天秤に掛けられているというか、行ったり来たりしていました。マルくん(丸山祐市)とかヨネくん(米本拓司)といった選手はずっと固定されているのに、自分はそうではない。それがとても悔しかったです。僕はそういう組分けををすごく気にしちゃうから。


そうだったのですね。「常に自分に矢印を向けている選手」というイメージを抱いていました。

前田 今考えると、そういうのは本当にくだらないと思いますけどね。昨シーズンのプレーに手応えがあったから、「今年もスタメンかもしれない」という期待感を持ってシーズンに入っていたと思います。「昨シーズンに活躍した自分」が頭にあったから、ポジションを失うのがとても怖かった。それでどんどん消極的になって、「監督に怒られないようにプレーしよう」とか、「自分で調子が良くないと感じたら、できるだけ存在感を消して、監督の印象を悪くさせないようにしよう」とか、そんなことばかりを考えていましたね。「目の前の小銭よりも将来の大金」という言葉があると思いますけど、僕は小銭にしがみついてた気がします。「なんのためにサッカーをやっているのか」という問いに対して、「目の前の試合に出るため」という答えは絶対に違うから。今年は、自分にベクトルを向けられるようになった年だと思っています。

(残り: 5606文字 / 全文: 6722文字)

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